中長期的な視点も含めた社会保障政策の立案を担う自民党・社会保障制度調査会の会長に加藤勝信前厚生労働相(茂木派)の就任が決まった。24年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬「トリプル改定」に向けた、自民党側の陣容について「極めて順当。予想に違わない人事」(厚労省幹部)との声が聞かれる。【本根優】
これに先立ち、党政務調査会(会長=萩生田光一氏)の厚労部会長には、古賀篤氏(岸田派)の起用が決まっていた。年末の予算編成では、大臣折衝前に与党幹部が財務省、厚労省双方の関係幹部を集め、ひざ詰めの議論で一定の着地点を見出すのが通例だが、今回の自民党役員人事などからは、その役割を田村憲久政調会長代行(岸田派)が担うことが濃厚だ。かつて田村氏は長く政調会長代理を務め、厚労分野を担当してきたが、今回の人事では政調ナンバー2の会長代行に出世している。
トリプル改定の「方向感」という大局的な視点からは、加藤氏率いる社会保障制度調査会が深く関与をするとみられる。
そして、法案や税制に絡む案件には古賀氏が部会長として、同じ派閥の田村氏とコミュニケーションを取りながら、進めることになる。政調からは、山下貴司氏(茂木派)も副会長として厚労分野をウオッチする。
岸田政権が政権の目玉として掲げるテーマを除けば、最大の懸案となるトリプル改定。政府側からは鈴木俊一財務相(麻生派)、武見敬三厚労相(麻生派)が最終決定に当たってはキーパーソンになるが、どちらにも影響力を行使できる立場にあるのが、麻生太郎党副総裁になる。
そして、党側からは首相派閥の岸田派(田村氏ら)、茂木派(加藤氏ら)の面々がテーブルに付く。
政権のバランスとしては、全体を統制し、時には改定率の最終局面にも絡む官房長官の松野博一氏、そして政調会長の萩生田氏が最大派閥の安倍派という布陣になっている。
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