自民党は7月19日、衆院小選挙区のいわゆる「10増10減」をめぐって、東京28区(練馬区東部)など都内5選挙区の候補者を決定した。公明党が擁立を模索していた28区については、医師で元職の安藤高夫氏を選んだ。しかし、波乱要素がなお残る。【本根優】
安藤氏は東京都医師会理事、全日本病院協会副会長などを歴任。医療法人社団永生会理事長として、八王子市を中心に病院や介護老健施設などを運営してきた。
17年の衆院選で、自民党比例東京ブロックから出馬し、初当選。21年には菅原一秀氏の辞職を受けた東京9区の後任候補として選挙に臨んだが、比例復活もかなわず議席を失った。
一方で、25年の参院選に向けては、日本医師会の政治団体「日本医師連盟」(委員長=松本吉郎・日医会長)が羽生田俊氏の後継となる組織内候補を公募する流れ。安藤氏は、これまでこの「有力候補」とも言われてきた。
ただ、安藤氏は永田町でも「いわくつき」候補とのイメージが拭えない。
日医連は07年の参院選で組織内候補として武見敬三氏を擁立したが、次点で落選(12年12月に繰り上げ当選)。民主党政権下の10年には当時の政権与党の安藤氏を「推薦」、野党・自民党の西島英利氏、みんなの党の清水鴻一郎氏を「支援」と重みづけして戦った結果、3人全員が落選の憂き目に遭った。
その後、安藤氏は民主党を離れ、自民党候補として17年に衆院選に臨み、バッジを付けたことになる。「節操がない」といった批判の声は、医師会内からいまだに聞かれる。
ただ、医師会組織の中で、全国区の知名度と影響力を持つ都医の尾﨑治夫会長は、日医連の次期組織内候補として安藤氏を強く推している。自民党、日医、都医の思惑が複雑に絡み合う中、このまま安藤氏が東京28区から衆院選に出馬するのか、違う選択肢が浮上するのか、なお予断を許さない状況と言える。
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