政府の22年度予算編成で焦点となっている診療報酬改定率について、財務省と厚生労働省の事務レベルでの折衝が断続的に行われている。【本根優】
診療報酬技術料(本体)と薬価に分かれるうち、薬価部分は、21年9月の薬価調査結果から平均乖離率が7.6%と判明。すでに、「▲1.3%程度(▲1500億円程度=国費ベース)」(自民党厚労関係幹部議員)との見通しが出ている。
本体に関しては、岸田文雄政権が強く打ち出している「看護職員の賃金引き上げ」で0.2%程度、菅義偉前政権が決めた「不妊治療の保険適用」で0.3%程度というプラス要因が存在する。これを改定率として、そのまま計上すれば前回20年度改定(0.55%、うち働き方改革への対応0.08%)と同規模のプラス改定となる。
厚労省はこれらとは「別に本体のプラス改定が不可欠」と主張している。
これに対し、財務省は看護や不妊治療にかかる計0.5%のプラス要因を、本体部分のやりくりで吸収しつつ、本体のマイナス改定まで踏み込みたい意向だ。
政府関係者によれば、鈴木俊一財務相と各府省大臣の折衝を、12月22日に設定する方向で調整している。その後、24日に予算案を閣議決定することを見据えている。
後藤茂之厚労相との折衝では、診療報酬改定率や各科配分、薬価の調整幅(現行2.0%)の取り扱いなどの懸案にも、正式に結論が出される。政府は当初、21日に予算案を閣議決定することを想定していたが、「審議時間を長く確保したい」という野党の強い要望で臨時国会の会期が17日までの12日間から、21日までの16日間に延びたため、予算案の閣議決定もずれ込んだ。
自民党側のキーパーソンは、党社会保障制度調査会長で前官房長官の加藤勝信氏となっている。