12月17日、加藤勝信官房長官、麻生太郎財務相、田村憲久厚生労働相の3大臣で「毎年薬価改定の実現」について合意した。薬価と市場実勢価格の「乖離率5.0%超」を基準に、改定品目を定めることが決まった。【本根優】
21年度の薬価改定をめぐっては、その実施の是非や改定品目の対象範囲が大きな議論になった。診療側や製薬業界などは「平均乖離率の2倍(16.0%)以上」に対象を絞ることを主張したが、落としどころと予想された平均乖離率の1倍(8.0%)以上」をも下回る「5.0%超」で決着した。
財務当局の「圧勝」で、製薬業界には落胆が広がる。
医療費影響額は全品改定の場合は▲4900億円だが、今回の基準でも▲4315億円となり、影響額の面は「ほぼ全品改定」と言える。
厚生労働省は通常の2年に1回とは違う位置付けを意識して「中間年改定」という用語を好むが、財務省は全く異なる。あくまで「毎年改定」だと言い張る。
その違いは何か。財務省主計局関係者が語る。
「奇数年度でも偶数年度でも毎年同じ改定をするという意味だ」
21年度は新型コロナウイルス感染症の経営影響を考慮し、調整幅2%のほかに、「コロナ特例」で0.8%を上乗せし、緩和を図った。
このため、次の23年度の中間年改定の方法や適用するルールは今後議論されることになるが、その際にも、今回の改定が「下敷き」となることは疑いがない。