一般の人にも名前が知られた薬としては、かなり上位に来るであろう「バイアグラ」。もっとも、それが流通しているのは自由診療の世界だった。だが、4月からの不妊治療の保険適用に伴ってバイアグラなども、公的医療保険で使えることになった。【本根優】
2月2日の中央社会保険医療協議会総会はバイアグラなどの医薬品6成分16品目の薬価収載を了承した。
ヴィアトリス製薬のバイアグラ(一般名=シルデナフィル)と日本新薬の「シアリス」(タダラフィル)はPDE(ホスホジエステラーゼ)5阻害薬。両剤の適応は勃起不全だが、保険適用の対象は「勃起不全による男性不妊のみ」となる。
PDE5阻害薬は、肺動脈性肺高血圧症や前立腺肥大症に伴う排尿障害などに使われるものもある。
松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、自由診療のケースと、保険適用のケースが混在することになることを踏まえ「適切な保険給付を担保する観点から、レセプトへの記載の工夫を」と求めた。さらに「後発品があるものはしかるべきタイミングで収載してほしい」とも要望した。
バイアグラやシアリスに関しては、複数社が後発品の承認を取得している。早ければ6月の後発品収載のタイミングから使えるようになる見通しだ。
ただ、PDE5阻害薬の中で、バイエル薬品の「レビトラ」(バルデナフィル)は、今回の収載品目に入っていない。これは、21年10月に販売中止がアナウンスされ、さらに企業から薬価収載希望が出されなかったためだ。
もっとも、レビトラの後発品についても複数企業が承認を得ており、それらが収載希望を出せば、バイアグラやシアリスの後発品と同様に、早ければ6月に収載される可能性がある。