政府は2月10日、かかりつけ医機能の制度整備を盛り込んだ「全世代社会保障法案」を閣議決定したが、国会審議や、制度構築に向けた議論はこれからだ。医政局での経験を持つ厚労省幹部に素朴な質問として「かかりつけ医は患者ひとりに1人か、複数か」と尋ねると「メインは1人だろう」との答えが返ってきた。【本根優】
かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けては、すでにある「医療機能情報提供制度」による国民・患者への情報提供の充実・強化を24年4月に開始し、かかりつけ医機能報告と患者に対する説明を25年4月からスタートさせる。
医療機能情報提供制度はすでにある仕組みを拡充する。「かかりつけ医や医療機関を選ぶ情報が不足している」との指摘を踏まえ、情報提供項目を見直しつつ、全国統一のシステムを導入する。
かかりつけ医機能報告は、医療機関から都道府県への報告を求めるもの。すでにある入院の「病床機能報告」、有床診療所・病院などの「外来機能報告」に加え、無床診療所や在宅医療を担う医療機関などを対象に「かかりつけ医機能報告」を新設するイメージだ。
日本医師会のスタンスは、かかりつけ医は「国民が選ぶもので、義務付けたり、割り当てたりするものではない」というもの。また、診療科別や専門性の観点から「複数のかかりつけ医を持つことが自然」としつつ、「登録制」や「人頭払い」に強く反対している。
前述の厚労省幹部に「1人の患者にかかりつけ医が何人いてもいいのか」とも聞いてみると、「そこは制度の仕組み方にもよるだろう」との答えだった。
登録制でも認定制でもない、さらに政府「全世代型社会保障構築会議」が提言した「医療機関、患者それぞれの手上げ方式」とした場合、かかりつけ医というのは、「患者が通う医療機関の医師すべて」ということになってはしまわないだろうか。
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