次の自民党総裁、すなわち次の首相を選ぶ選挙戦が9月29日投開票で実施されることが決まった。その座を狙う面々のさまざまな思惑が交錯する。引き続き、新型コロナウイルス対策が最大の懸案となるだけに、医療界もその動向を注意深く見守っている。【本根優】
コロナ対策で後手後手に回り、国民の信頼をすっかり失っている菅義偉政権。解散のカードを切るタイミングも失い、窮地に立たされている。
対照的に勢いを取り戻したのが、岸田文雄前政調会長。8月26日午後、都内で記者会見を開き、総裁選出馬を正式に表明した。
安倍晋三前首相の辞任に伴って実施された20年9月の総裁選は、国会議員と都道府県連の投票による方式だったが、今回は党員・党友投票を含む「フルスペック」で実施され、国会議員と党員・党友の各383票、計766票で争われる。
菅氏、岸田氏のほか、高市早苗前総務相や下村博文政調会長が出馬に向け準備を進めている。ただ、高市氏、下村氏は推薦人の20人を集められるか、という入口段階での課題が残る。
20年9月の総裁選で菅氏に惨敗した岸田氏は、今回の総裁選に政治生命をかける。その表れと言えるのが、総裁を除く「党役員は1期1年、連続3期までとすることで権力の集中と惰性を防ぎたい」と表明したこと。「特定の方を念頭に置いていない」としながらも、永田町ではもっぱら、二階俊博幹事長への“宣戦布告”だと受け止められている。その二階氏は8月24日、二階派として菅氏の首相再選を支持する考えを示しているが、二階派議員からは異論も出るなど、盤石ではない。
そして、国民から人気を集める石破茂元幹事長、河野太郎規制改革担当相、小泉進次郎環境相は、今回の総裁選への出馬に否定的な考えを示す。
自民党関係者は「今回の総裁選を制したとしても、10月の衆院選で大幅に議席を減らせば、降板せざるを得ない。衆院選後に狙いを定める候補もいるだろう」と解説する。
医師会幹部は「総裁選、衆院選と続くと、すぐに22年度診療報酬改定になる。勝ち馬を早目に見極めないといけない」と話している。
.
■ 中医協の速記録(非公式)をご希望の方はこちらのページをご覧ください。