日本式費用対効果

日比谷公園_2021年3月23日

 日本で医薬品などの費用対効果評価制度が本格導入され、間もなく2年が経過する。しかし、まだ実際に価格調整まで行われた事例はない。【本根優】

 費用対効果評価の対象に選ばれた品目のうち、グラクソ・スミスクラインの慢性閉塞性肺疾患(CОPD)治療薬「テリルジー」と、ノバルティスファーマのCAR-T細胞療法「キムリア」の2品目が先行し、総合的評価(アプレイザル)結果が3月24日、中医協総会に示され、了承された。

 品目によっては複数の適応症を持っているケースもある。これを受けて、価格決定の際は対象集団ごとに比較対照技術やICER(増分費用効果比)区分、患者割合を提示。さらに対象集団ごとの価格を算出し、患者割合で加重平均することで全体としての価格を決める。24日に示された資料では、対象集団の多さなどから複雑さが際立ち、しかもキムリアに至っては肝心の患者割合が「企業秘密のため非公表」とされた。

 こうしたICERを価格調整の拠り所にする仕組みは日本独自のものだ。

 関係者によれば、「日本が世界で初めてICERに基づく価格決定を始めた国」と、海外では認識されているという。かつて日本は「値ごろ感」や「鉛筆ナメナメ」を重視し、HTA(医療技術評価)の世界的な潮流から大きく出遅れたが、そのアンチテーゼとしてやや「勇み足」気味に、ICERに基づく価格決定を始めたというのだ。

 日本でHTAを専門とする有識者からは「理論的な正当性が不十分。多面的な価値を捉えられていない」といった批判や、「現在のやり方のまま、価格調整を超えて、保険償還の可否にまで用いようとなったら、非常に危険」といった懸念の声が漏れる。

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