21年度の薬価・毎年改定(中間年改定)は、製薬業界全体で医療費ベースで▲4300億円程度の大ダメージとなった。【本根優】
これは、菅義偉首相が強い拘りを見せ、官邸主導で進めた結果だが、製薬業界の想定をはるかに凌ぐ内容だった。粗く見積もって、新薬系企業で▲4%程度、後発品専業企業で▲10%程度の影響を受けた。
「団体は何をしていたのか」
そんな批判も聞かれるが、日本製薬団体連合会とその政治団体は、手をこまねいていたわけではない。自民党の厚生労働関係議員らには、新型コロナウイルス禍での「毎年改定を阻止」するよう、強く働き掛けていたのだが、その力が及ばず、官邸に対抗することはできなかったのだ。
それを受けて、日薬連がどう動いたか。さすがに「示しがつかない」とばかりに、21年度からの自民党への政治献金を約1億円から約9000万円に10%減らすことで、抗議行動に出た。
個々の議員が行う政治資金パーティーの券(パー券)購入に充てていた費用も、同様に10%減とする意向だ。これにより「我われ(製薬業界)は毎年改定の結果には不服です」ということを明確に示す狙いだ。
こうした抗議の献金1割減に対し、議員の反応はさまざま。ある長老議員は「1割減らしたところで何も響かない」と効果を疑問視する。他方、別の中堅議員の秘書は「1割でも献金が減るのは、きつい。衆院選が近いのにコロナの影響で、パーティー自体も開催が難しい状況にある」と嘆く。
製薬団体の幹部も苦しい胸の内を明かす。
「結局、最終的に頼るのは厚労族以外にいない。もちろん業界内にも1割減では意味がないとする意見があるが、あまりやり過ぎると関係が冷え切ってしまう」