診療報酬改定のない年度に行われる初めての薬価・毎年改定(中間年改定)を巡り、4月から適用される新薬価が3月5日に官報告示された。【本根優】
その日の官報を逸早く手に入れようと、都内の官報販売所には医薬品業界関係者が早朝から行列をつくるのが、この時期の風物詩となっている。しかし、今年は薬価の告示日の情報が事前に業界関係者に伝わらず、ちょっとした騒ぎになった。
あるメーカーの薬価担当者は「過去には官報屋さんから、薬価掲載日の官報について事前予約を受け付けるFAXが送られてきていたが、今年は告示日が明記されていなかった」と話す。
いつ新薬価を告示するかは厚労省にとって、多少なりとも機密性が求められる情報。それを官報販売業者が事前に“漏らしていた”ことに対し、厚労省が不快感を示したもようで、今回は予約申し込みを受け付ける段階での案内は見送られた。
代わりに、苦肉の策で、「ちなみに前回は3月5日でした」と参考情報を示し、暗に今年も同様と推察させる体裁になっていた。
今回の改定は、薬価と市場実勢価格の乖離率が「5.0%超」の品目を対象に実施される。厚労省によれば、全体の約69%が改定対象となる。
薬価改定を免れることができる特別な仕組みである「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の対象品目であっても、乖離率5.0%超の基準に当てはまれば引き下げを受ける。実に加算品目のうちの約40%が改定対象になったという。
製薬業界の関係者は当初「価格乖離の大きな品目」だけが毎年改定の対象と考えていたが、蓋を開けてみれば、実態は「価格乖離が小さな品目」に限って、改定を免れることができる仕組みとなった。