日本医師会の中川俊男会長は11月18日の記者会見で、新型コロナウイルスへの感染者数増と政府の観光支援事業「Go To トラベル」の関連について「エビデンスははっきりしないが、きっかけになったことは間違いない」と述べた。【本根 優】
翌19日、自民党のコロナ関連の会合で、発言の真意を問われた中川氏は「原因とは言っていない。きっかけになったと言っている。言葉を正確に理解してもらいたい」と弁明した。
中川氏周辺によると「“きっかけ”というのは、政府のGo To トラベルに対し、決して批判的にならないように腐心して絞り出した言い回しだった」。しかし、与党側からは「中川発言」に対し、疑問の声が相次いで上がっている。
特に強い口調で語ったのが、公明党の石井啓一幹事長だ。20日の会見で「中川氏はそう思っているのかもしれないが、証拠がないのになぜ断定できるのか」と首を捻った。
与党幹部との溝は深まるばかり。だが一方では、中川氏を推す著名人も現れた。それが作家でタレントの室井佑月氏だ。日医の定例会見を毎回チェックしているという室井氏は、政府分科会会長の尾身茂氏の「ふんどしを絞めなおす時期」という発言を皮肉りつつ、「同じ専門家でも覚悟のある専門家と、政府のご意向によって動いている専門家とは随分違う」と述べ、中川氏を持ち上げている。