「都道府県にそんなこと(認定や取り消し)ができるわけがない」「かかりつけ医は、患者が選ぶものだ」。政府が今通常国会に提出する予定の法案に含まれる「かかりつけ医機能」について、全国の医師会から反発の声が上がった。【本根優】
厚生労働省は、全世代型社会保障制度の構築に向けた「健康保険法等改正案」(全世代社会保障法案)に盛り込む「かかりつけ医機能報告の創設」について、1月末に日本医師会と事前の調整を行った。
すでに全国の医師会からは与党議員らを通じて、政府法案の中身に関する懸念の声が出ており、日医の松本吉郎会長ら幹部は、厚労省が示した法案の一部の文言に対して、強い抵抗感を示した。
かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けては、すでにある「医療機能情報提供制度」による国民・患者への情報提供の充実・強化を24年4月に開始し、医療機関からの機能報告と患者に対する説明を25年4月からスタートさせる青写真を描いている。
厚労省は当初、かかりつけ医機能を「都道府県知事が確認し、要件に該当しなくなったときは、確認を取り消さなければならない」と規定する方針だった。
かかりつけ医機能の要件に該当するか、都道府県が確認し、該当しなくなったときはその確認を「取り消す」ことを想定していたわけだ。だが、こうした事実上の認定制度に対して日医が反発を強め、態度を硬化させたことから、最終的に、都道府県に取り消す権限を与える文言は削除された。
新たな文言は「都道府県知事が機能を確認し、協議の場に報告するとともに、公表する」というもの。「取り消し」を伴わない内容に変更されたことになる。
ただ、法案審査を行った2月3日の自民党厚生労働部会では、田畑裕明部会長に「一任」という形に至らず、6日に再審査を行うことになった。
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