厚生労働省は12月25日、社会保障審議会(社保審)医療保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第123回会合を開き、受診時の顔認証システムの導入などに向けた対応案を示した。(新井裕充)
厚労省は同日の部会に、「オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況について」と題する資料を提示。厚労省保険局医療介護連携政策課の山下護課長が35分間にわたって今後の対応案などを説明した。
山下課長の説明は以下のとおり。
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
それでは定刻になりましたので、ただいまより第123回医療保険部会を開催いたします。
委員の皆さまにおかれましては年末の大変お忙しいなか、お集まりをいただきまして、どうもありがとうございます。
まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、一瀬委員(全国町村会理事/長崎県波佐見町長)、尾﨑委員(前高知県知事)、樋口委員(NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長)、藤原委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長)よりご欠席のご連絡をいただいております。
続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りをいたします。
藤原委員の代理としまして井上参考人の出席につき、ご承認いただければと思いますが、よろしゅうございますか。ありがとうございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは議事に入ります。
本日は、オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況について、被用者保険の適用拡大について、全世代型社会保障検討会議の議論について(報告)、新経済・財政再生計画 改革工程表2019について(報告)、令和2年度予算案(保険局関係)の主な事項について(報告)──を議題といたします。
それでははじめに、「オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況について」を議題といたします。
事務局から関連の資料の説明をお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療介護連携政策課・山下護課長
はい、医療介護連携政策課長でございます。
「資料1」をお開きいただきたいと思います。
「オンライン資格確認等の普及に向けた取組状況について」でございます。
この資料でございますけれども、これまで保険者、医療機関の皆さま、支払基金、国保中央会などの審査支払機関など、責任者、実務者の皆さま方の議論を積み重ねて、そうした積み重ねの結果まとめたものを今日、ご報告ということをさせていただくとともに、
報告とともに、今後こういう形で検討を進めていきたいという方向性につきましても、お伝えをさせていただきたいと思っております。
それでは、スライドめくっていただきまして、2枚目のスライドをお開きいただきたいと思います。
1つ、議論いただきたいのは、まず1つ目は「オンライン資格確認等の普及に向けた支払基金の業務規定の追加」ということでございます。
前回の法改正で、「医療情報化支援基金」というものが設置されまして、
これがマイナンバーカードを健康保険証として利用するための、医療機関のほうでカードリーダーを含めたシステム改修も含めた、それを補助するということで出来上がった医療情報化支援基金がございます。
令和2年度の予算案では768億円ということになりますけれども、
今後、この2枚目のスライドの下のほうにあります今後の方針、スケジュールなんですけれども、
2020年8月、来年の8月までに詳細な仕様を確定しまして、どのような形でマイナンバーカードを読み取って、
そして支払い、医療機関のほうでレセプトのコンピューターシステムとつなげ、
さらに支払基金、審査支払機関のほうとつなげていくのかという仕様を確定して、
その上で医療機関のほうでシステム整備をしていただく。
そのシステム整備にかかる費用を補助するということになります。
その上で、2021年3月末には健康保険証利用の本格運用ということで、
マイナンバーカードを使って、これが健康保険証として現場で使うことができるようになると。
で、2021年10月には、今度は薬剤情報についての閲覧ができるということで、
自分が受けた診療に伴って出てきた、交付された薬剤について、
それを自分の「マイナポータル」という所で見ることができるようになるということ。
続いて、2022年3月末までに医療機関の9割程度でマイナンバーカードの保険証としての利用が進むということを計画をしております。
そして、2023年3月末までには、おおむねすべての医療機関で導入されるように、そういった形で支援をしていこうというのが、この「医療情報化支援基金」でございます。
次のページをめくっていただきまして、
じゃあ、いったい、どういうものが導入されるようなのか、ということで、イメージ図を用意させていただきました。
資格確認端末と顔認証付きカードリーダーということです。
まず医療機関の窓口では、マイナンバーカードを預からないという運用にしていきます。
顔写真の確認について、目視ではなくて端末で読み取るという場合もありますので、その場合にはマイナンバーカードの読み取りを行うカードリーダーと、
さらに顔、持ってきた方の顔を認証するための、撮影するカードリーダーと、顔認証のものを置きまして、
それで、その人がマイナンバーカードを持っている人と、その持ってきた、
そのマイナンバーカードにある情報と、
その持ってきた顔の方を確認した上で、それを本人と確認した上で、
オンライン資格確認等システムのほうに、その情報が飛びまして、この方が誰なのかということ、
また、それだけじゃなくて、どの保険者に加入してるのかっていうことが返ってきまして、
それによって、本人であるということと、どの保険者に入ってるっていうことを、都度、都度、確認をしていくということになります。
次に、そういうようなシステムということで、
この顔認証付きのカードリーダーっていうものがどういう仕様にしていくかっていうことを今、詳細を詰めているところなんですけれど、
これを各医療機関で導入をしてもらうということでございます。
次に5ページ目に行っていただいて、じゃあ、そういうことをする前提としまして、どういうふうにしていこうかと言うと、
われわれとしては顔認証付きカードリーダーというのは、「PIN無し認証」ということで、
これ、実はマイナンバーカードを持っている本人が、
そのマイナンバーカードと持っている本人が、同じ人なんですよということを証明するために、
マイナンバーカードにあらかじめ自分で入れたピンコードですね、4桁のピンコードを自分で入れるということによって自分がその人であるということを証明するということ。
そのためのディスプレイに必要だということと、あとは医療機関のほうからの案内文を表示するということのメリットがあります。
加えて、マイナンバーカードの健康保険証利用に向けた環境整備については、
今年の6月4日の閣僚会議決定において本人確認は顔認証方式によって登録処理を進めるということにされてされております。
そこで、令和3年3月からの顔認証方式による本人認証を進めるためには、
顔認証付きカードリーダーの導入というのを各医療機関でやっていただくことが不可欠でありまして、
けど一方で、これを各医療機関が購入するとなると、一体どういうもの買えばいいのか、いくらなのかっていうこともありますので、
可能な限り、その端末の単価を抑えて医療機関の負担感を軽減して幅広く普及するための施策を講ずる必要があるということが背景としてございます。
その一方で、いま現在、社会保険診療報酬支払基金のほうにおかれる医療情報化支援基金、そしてその医療情報化支援基金を使って、社会保険診療報酬支払基金が行う事務、これは「医療機関等情報化補助業務」と言ってますが、
その業務は、読み取り端末やシステム整備に要する費用を補助するということが書かれておりまして、
そういった中でどうするかってことを考えていかなきゃいけないということでございます。
そこで論点としまして、下のほうに論点なんですけれども、
顔認証付きカードリーダーの端末単価をいかに抑えていくか。
それとあわせて、医療機関に広く普及するためにどうするかということで、
われわれが考えていますのは、社会保険診療報酬支払基金が医療機関にカードリーダーの購入に要した費用を補助するのではなくて、
一括して支払基金が顔認証付きカードリーダーを購入して、そして各医療機関に提供するということを考えてはどうかと思っております。
これによって費用の補助と比べて1医療機関が1つひとつ購入するのと比べて一括で購入するということによって医療機関側の負担感が抑えられ、幅広く速やかに普及ができる。
また、医療機関は各ベンダーと直接やりとりすることをせずに済み、端末価格も抑えやすくなるということが期待されると考えております。
次に6枚目のスライドに行きまして、そうしたことを踏まえて「対応案」としまして、
支払基金が顔認証付きカードリーダーを調達し、医療機関等に提供する業務を当分の間、行えるように「医療機関等情報化補助業務」ということで医療情報化支援基金の業務の中に、この支払基金が費用を補助するというだけじゃなくて、支払基金が顔認証付きカードリーダーを調達して、そして医療機関に配布することができると、そういう業務を追加してはどうかということでございます。
その業務規定を設けるために、次期通常国会に提出予定の法案に、その業務規定を設けるということを考えております。
続きまして、8枚目のスライドをご覧いただきたいんですけれども。
ちょっとこれ、先ほどの資料を少し分かりやすくした資料なんですが、
オンライン資格確認の本人確認なんですけれども、患者がマイナンバーカードを持ってきた場合、または健康保険証を持ってきた場合とあります。
まず、マイナンバーカードを持ってきた場合は、3つやり方がありまして、
まず1つは、「顔認証による本人確認」ということで、顔認証を「顔認証付きカードリーダー」を通じてやる場合と、職員の目視を通じてやる場合があります。
一方で、目視になると、今度は職員をずっと配置しなきゃいけないので、でかい病院なんかではちょっと難しいという場合には、
例えば顔認証付きカードリーダーを通じて顔認証による本人確認というのがあるだろうと。
もう1つは、マイナンバーカードを持ってきた場合であっても、真ん中なんですけれども、
自分で入れた暗証番号、4桁の暗証番号を入れることで本人確認という形でするということがあります。
さらに今度は、また下に行きますけれど、健康保険証を持ってきた場合がありまして、
健康保険証を持ってきた場合は、今度は通常どおり、健康保険証を病院の事務、診療所の事務の方々が自分で記号番号を入れて、それで、その上で支払基金・国保中央会にある被保険者番号のデータと突き合わせるということ。
やり方として、3つの方策で患者の資格情報を確認するということがあるということでございます。これが最初の論点でございます。
次に9枚目のスライド、行きますが、「薬剤情報の閲覧方法について」ということの話でございます。
この話をする前提として1つ、法律をちょっと見ていただきたいと思いますので、資料の18枚目のスライドをお開きいただきたいと思います。
18枚目のスライドには、「個人情報の保護に関する法律」というのがありまして、
見ていただきたいのは第23条「第三者提供の制限」というものでございます。
これ、個人情報保護というのは個人情報保護は、個人情報を扱う事業者に対する規制の法律になってるんですけれども、
その個人情報を扱う場合、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」という規定になっております。
じゃあ、いったい、その例外として「あらかじめ本人の同意を得ない」でいい場合というのはどういうことかと言いますと、
1号として「法令に基づく場合」、つまり法律で個人情報を扱って第三者に提供することが法律上の義務となってる場合、これは本人の同意は不要だということ。
また2号で、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」とか。
3番で「公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合」とか。
また、「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合」とかいうことがありますが、
まず押さえておいていただきたいのは、「第三者提供」はあらかじめ本人の同意が必要だということ。
一方で、「法令に基づく場合」はその限りではないことっていうのはあります。
その前提で次に、大変申し訳ないんですけれども、10枚目のスライドに移っていただきまして、
薬剤情報・特定健診情報を照会・提供するということについて、どのように考えてるのかということでございます。
このオンライン資格確認のシステムを整備していくと同時に、私どもとしましては特定健診の情報、またレセプトにある薬剤情報について本人に提供するということを、サービスをして行くことを考えてます。
これにより、患者自身が特定健診の情報であれば自身で予防健康づくりをしていただくとともに、診療する主治医と共有することによって、引き続き、自身でどういうふうに健康づくりをしていけばいいのか、
また過去の薬剤情報を主治医に提供することによって、その診療のさらなる質の高い診療サービスを受けることができるということにつながるということを考えてます。
このことについて、先ほどの「第三者提供」とどういうふうに整理してるのかということでございます。
次に、11枚目のスライドでございます。
まず患者のその情報を、
患者の薬剤情報とか特定健診の情報を患者の主治医、
診療中に、
患者の主治医に見せる場合には当然、その患者さんの本人の情報、
第三者である医療機関に見せるということになりますので、本人の同意が必要ということでございます。
このため、患者さんが来院した時にカードリーダーに自分をかざして保険資格を確認する時を利用しまして、
そのモニターに患者さんに対し、「あなたの情報薬剤情報とか特定健診の情報を主治医の方に見せていいですか」っていうことを
来院のたびにその都度、同意を取るということが必要になってきます。
その同意の取得ということが、この顔認証端末を使ってこう、やるということになります。
その結果、同意を取った暁にはどうなるかというと、
今度は右側の支払基金・国保中央会にある個人単位の被保険者番号にある特定健診情報、また薬剤情報が、この資格確認端末を通じて主治医の電子カルテや調剤システムの所にデータが入ってきて同意が取られれば、それを使って診療のほうにこう、使って、役立てていただくというふうにします。
けど一方で、それは誰でも見られるのかっていう恐れもありますので、その時に見る方というのは、
この電子カルテの所に赤の括弧で入ってますが、「有資格者」(医師、歯科医師、薬剤師等)のみ、この情報を取得して患者の情報を取得するというふうにシステムをつくっていこうとしております。
また一方で、今度は支払基金側の、右側のほうにありますけれども、
誰が、どの医療機関が、どの薬局がそういった情報を入手したのかっていうことをログ管理をする仕組みもをつくっていくということをしております。
これが一般的なオンライン資格確認を通じた特定健診・薬剤の提供になるんですけれども。
次に論点としまして12枚目のスライドでございます。
今は「通常時」の話なんですけれども、論点としましてオレンジの所なんですけれども、
「災害時をどうするか」ということについて皆さんにご議論いただきたいと思います。
地震が起きた場合などの災害時には、これまで患者さんが普段飲んでいる薬剤がなくなりましたと、慌てて逃げてきますので、なくなりましたとか、その薬剤がどういうものかということを覚えてないというようなことがあるだろうと思います。
一方で、また災害時にマイナンバーカード、これ、紛失している方もいらっしゃいますし、
マイナンバーカード未取得の方もいらっしゃると思いますので、
「閲覧の必要性及び緊急性が高い場合」には、「特別処置」としまして、
災害の規模に応じて、例えば、その災害の場所の範囲に応じて医療機関、薬局の範囲、および期間を限定しまして、
マイナンバーカードを紛失した場合であっても、別途、患者の同意を得た上で閲覧をすることができる、
つまり診療時に「見ていいですか?」っていうことを診療時に患者さんの同意を得た上で、
「じゃ、見ていいです」って言われたら、この情報を診療の現場から取ってくることができるということにしたいと思っております。
その時、どういうふうにしていくのかっていうことで次の13枚目のスライドを見ていただきたいんですけれども。
例えば、「災害時の運用イメージ案」というふうにありますけれども、
真ん中に「照会方法の例」としまして、患者さんが来た場合、
お名前、生年月日、性別、それと保険者、どの保険者に加入してるのか、
もしくは患者さんのご住所を確認することによって、
それを資格確認端末に入力することで、それらの情報から患者さんの被保険者番号を特定して、それを基に、薬剤情報・特定健診情報を取ってくるというようなことをすることで、
災害時、どの薬剤なのかも忘れたとか、その薬剤がありませんとか、だけど持病で必要なんですっていうときに対応することができるようにしてはどうかということを考えております。
続きまして、今度は「2-2 薬剤情報の開示の範囲について」ということで、
16枚目のスライドについて論点を提示をさせていただいて、ご議論いただければと思ってます。
まず現行なんですけれども、
保険者に対して例えば患者さんがレセプトの開示請求を行った場合、
いま現在、どういう運用しているかと言いますと、
保険者はそのレセプトのもとで診療を担当した保険医療機関に確認した上で開示をするということになってます。
けれど一方で、この論点としまして、先ほど私申しましたオンライン資格確認のシステムを通じて、薬剤情報をその診療している先生に、本人の同意を取って見せる場合に、
それ、保険者が毎回毎回、その薬剤を処方した、その診療をした保険医療機関に確認を取ってると、これ、大混乱というか、
毎回毎回、こう、確認するということになると、非常に事務フローとしてこれは難しくなっていきますんで、これをどうするかっていう論点があります。
そこで17枚目のスライドなんですけれども、
この薬剤情報につきましては、医療機関が患者に情報を提供することとされてる範囲を、
いま現在、診療報酬の明細書を、その医療機関は求められれば発行しなきゃいけないということになっておりますので、
その求められれば発行しなきゃいけない、
明細書として発行しなきゃいけない薬剤の範囲と同じものの範囲を薬剤情報として提供するんですということを省令に位置付けることによって、
その都度、その都度、診療した医療機関に確認をするということを省略をしまして、診療報酬上の明細に記載される薬剤情報を、
こう、同じ内容を、こう、薬剤情報としてオンライン資格確認システムから患者さんの同意を経た上で提供するということにしてはどうかと考えております。これが論点でございます。
続きまして、ずっと飛びまして23枚目のスライドでございます。
「特定健診データ等の保険者間引き継ぎの同意の在り方について」ということでございます。
この説明をするにあたって1つ、また法律を確認をしていただきたいのでちょっと飛びますが、27枚目のスライドをお開きいただきたいと思います。
まず個人情報の保護に関する法律、これ同じように「第三者提供の制限」で23条を見ていただきたいんですけれど、先ほどと同じ説明です。
個人情報取扱事業者は、まず「あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」。
一方で、1号で「法令に基づく場合」には、これは例外として本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供するというふうになってます。
その上で、次に「高齢者の医療の確保に関する法律」、同じ27枚目のスライドの上のほうにありますけれども、
高齢者医療確保の法律において、保険者は、当該加入者が加入していた他の保険者に対して、その他の保険者が保有している特定健診、特定保健指導のに関する記録の写しを提供するよう求めることができるということが法律に書かれております。
その上で、3項として「特定健康診査若しくは特定保健指導に関する記録又は健康診断に関する記録の写しの提供を求められた他の保険者」は、「当該記録の写しを提供しなければならない」というふうに書かれております。
つまりどういうことかと言いますと、例えば私が転職をした場合。
私、いま厚生労働省の共済組合の加入者なんですけど、転職しまして、どこかの中小企業に行った場合は協会けんぽの加入者になりますけれども、
そのときに協会けんぽのほうで特定健診の情報を知ろうとした場合、
私がこれまで加入していた共済組合で特定健診の情報、または私は特定保健指導を受けているのであればその情報が本来、必要になってきますので、それを求めるということになります。
これは「第三者提供」にあたりますけれども、法律にこのように書いてありますので、あらかじめ本人の同意を得ないで「法令に基づく場合」として提供するというふうになっております。
その上で、見ていただきたいんですけれども、戻っていただきまして、24枚目のスライド、戻っていただきたいんですが。
特定健診のデータを、
転職をする人、もしくは退職をして次の保険者に行く人という場合での保険者間での引き継ぎ、
この引き継ぎを円滑にすることで、例えば保険者で新しく加入した方の過去の特定健診のデータを活用しまして、
本人に応じた、その個別の保健事業ということができるというメリットがあります。
一方で、いま現在やろうとしてるのはオンライン資格確認のシステム、
これはマイナンバー制度のインフラを活用したオンライン資格確認システムの整備を進めている中で、
特定健診のデータが各保険者からこのオンライン資格確認等システム、この絵を見ていただきたいんですけれども、
(オンライン資格確認等システム)の所に格納されて集められるということになっていきます。
その上で、どの保険者でも、このオンライン資格確認等システムを通じて、加入者のデータを見ることができるというようになっていく中で、どういったことをしていくべきかっていうのがあります。
その上で、25枚目のスライドを見ていただきたいんですけれども、まず現状。
やはり継続的に被保険者に対して的確な保健指導を行うことが、やはり本人の健康保持にとっては必要不可欠でありますので、
過去の受けた特定健診の情報っていうことをしっかりと活用した上で、次の自分の健康づくりとか次の保健指導に役立てるということになります。
一方で、オンライン資格確認等システムにこういった特定健診の情報が格納されることになりますので、
当然、そのオンライン資格確認等システムということでは、最適なセキュリティを確保しなきゃいけませんし、
一方で、さらにそれが、なる、ということで、
効率的にデータの引き継ぎは行われるようにしていかないといけないということでございます。
で、次の丸なんですけど、先ほど私が言ったところで、
「高齢者の医療の確保に関する法律」27条では、本人の個別の同意なく、この法令に書かれておりますので、個人情報保護法上、「法令に基づく場合」で保険者間の引き継ぎはできるとなってるんですけど、
ここでもう1つ見ていただきたいんですが、28枚目のスライドで、
「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」という厚生労働省令がありまして、
特定健康診査に関する記録の写しの提供を求められた他の保険者が、
その記録の写しを新しい保険者に提供するに当たっては、
あらかじめ、前の、その自分の保険に加入していた加入者に対して、
記録の写しを提供する趣旨および提供される記録の写しの内容について説明を行い、
この同意を得なければいけないということが省令で書かれているということでございます。
その上で、次に戻って、
こういった状況の中、オンライン資格確認等システムの稼働、
この25枚目のスライドに戻っていただきまして、
こういった法律と条例がある中で、
オンライン資格確認等システムの稼働後、どういうふうにしていくかということでございます。
まず、オンライン資格確認のシステムが稼働後は、特定健診のデータというのが、どの保険者にあるデータであっても、このオンライン資格確認等システムに集約されることになります。
これは本人にそのデータを返すということになりますので、その本人に返す時にあたって、このオンライン資格確認等システムに格納されてるところで、自分のものを探し出してこう取り出すということになりますんで、ここに集約されております。
当然、そのシステムというのはセキュリティはしっかりと万全なものにしていくことはあるんですけれども、
一方で、その集約されたシステムを通じて効率的に記録の提供・取得というのが行われることになります。
これは、自分のデータは自分のデータとして、そこから入手するだけじゃなくて、
各保険者間で自分の加入者がどう移った……、
移ったたびに、その集約されたデータを通じてこう、入手するということになります。
これを通じて、被保険者に対して継続的かつ的確な保健指導が提供できるようになります。
けれど一方で、この現行の基準省令、先ほど申しました省令の規定で、本人の個別の同意を要するというふうにしてしまいますと、
システムのほうで過重になるということがあるのではないかということでございます。
その上で、個人情報保護法の状況というのは、実は3年ごとの見直しとしまして、
いま現在、個人のデータをどのように使うのか、また、その個人のデータは個人で管理するということで、個人の利用停止請求権ということをきちんとこう、やっていこうという議論も進められているということでございます。
これらを踏まえて、この「同意」というものをどのように扱っていくのかっていうことを検討しなきゃいけないということでございます。
それで26枚目のスライドでございます。
われわれとしての「対応案」。
本人の意図しないところで、新しく移った職場の事業主や従業員に、自分の過去の特定健診のデータが閲覧されるという懸念がございますので、
この懸念が当然ありますので、
新しい省令には、保険者において被保険者の特定健診のデータが他の関係のない、その者に漏れないよう、きちんとした措置を講ずるということを規定したいと思ってます。
あわせて、オンライン資格確認のシステムを通じて、特定健診データを保険者間で引き継ぐ場合、これはもう既に格納されているデータのところを保険者でそれぞれ見にいくということになりますので、
この場合については、本人の個別の同意は不要としてはどうかということを考えております。
一方で、現在、その個人情報保護法上の見直しというのはありますので、
それらも注視しながら、当然、われわれとしては健康保険の法律だけじゃなくて個人情報保護法の法律もきちんと守っていかなきゃいけませんので、
それにあわせてシステム上も法令上も対応していくということを考えております。
ちょっと長々となりますが、そういうようなことについて議論をしていただきたいということでございます。
次の論点は29枚目のスライドで、特定健診のデータをマイナポータルで閲覧の仕組み、
マイナポータルを通じた閲覧の仕組みについて、いま現在、構築中なんですが、それの検討状況の報告になります。
30枚目のスライドでございます。
いま現在、その特定健診のデータ、これは自分のデータをマイナポータルというマイナンバーカードを持っている方で、自分で自分の情報を見ることができる。
例えば、年金の情報とか税の情報を自分のマイナンバーカードを通じて見ることができる、
そういうポータルサイト、一人ひとり、ポータルサイトがあるんですけれども、
その一人ひとりのポータルサイトに特定健診のデータも見るようにすることをしようというふうにしてるんですけれど、
その検討なんですけれども、どういう検討をしてるかと言いますと、
例えば特定健診のデータ、どれだけの期間のデータを提供すればいいのかとか、
また保険者から……、
保険者が実施して集めている特定健診のデータをどのように効率的に登録すればいいのかということとか、
あと、マイナポータルで自分の健診データを自分で見る場合にはどのように表示すると、より刺さるというか、より理解できるのかっていう、そういったことを今検討しているということでございます。
次の論点としまして、32枚目のスライド。
33枚目、具体的には33枚目のスライドでございます。
こういったそのオンライン資格確認のシステムを実際に稼働させてやっていく場合には、当然のことながら運用コストがかかります。
その運用コストについての説明でございます。
まず、オンライン資格確認等、
あとは、それによってできるレセプトの振替、
レセプトを振り替えっていうのはどういうことかと言うと、月の途中で保険者が変わった場合、非常に今、非常に大変なんですけれども、
それが実はこのオンライン資格確認を通じてやれば、どこまでがこの保険者で、前の保険者で、どこからが次の保険者かっていうことが分かりますので、
それが非常にできるようになるということがあります。
さらに、特定健診や医療費や薬剤情報を提供するというような、そういったシステムになりますが、
これらにつきまして令和4年度全体で、まあ、まあ、全体が移行できる前提となると、
計算すると、約年間21億円がかかりますということでございます。
次に下に行きまして、一方で、そのオンライン資格確認等システムの運用・保守だけではなくて、
実は中間サーバーというものを持たなきゃいけません。
中間サーバーっていうのはどういうものかと言いますと、
マイナンバーカードのデータと、被保険者番号を管理するデータをそれぞれ行き来しないといけないことになりますので、
その行き来するために中間的なサーバーっていうものを置かないといけない。
その運用・保守……、
その中間サーバーを通じて、被保険者と、
から、
マイナンバーのデータを取ってくると、
その人のマイナンバーを取ってくるということになるんですけれども、
この中間サーバの運用・保守費用がクラウドに移行後になりますけれども、まあ、19億円ということでありますので、
合わせますとトータル39億円が、まあ、運用コストとしてかかるのでないかということで試算をしております。
これは次の資料の34枚目のスライド、これは 昨年の5月に、この医療保険部会でどれくらいの運用コストなのかっていうことを示したことの「バージョンアップ」ということで、33枚目のスライドでございます。
一方で、なお、これだけでは費用はおしまいではなくて、
マイナンバーカードの、この33枚目のスライドの上の丸の星(=※)の2の所なんですが、
マイナンバーカードによるオンライン資格確認には電子証明書の有効性確認のための手数料が発生をします。
その手数料について、この費用には含まれておりません
一方で、じゃあ、この手数料はいくらなのかということにつきましては、
この前の6月の閣僚会議決定において、このマイナンバーカードの健康保険証利用に伴う運営費については、可能な限り縮減に取り組むこととし、
この手数料のやり方についても検討するというふうにされておりまして、
現在、われわれとその関係省庁、あとは「J-LIS」(地方公共団体情報システム機構)という、このマイナンバーカードを運用する機関と協議しているところでございます。
非常に長々と説明を差し上げましたけれども、いま現在、こういう議論をしながら、
今、検討してるところはこういうところ、ということを紹介をさせていただきました。事務局からの資料の説明は以上でございます。
.
〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
はい、ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、ご質問、ご意見等いただければと思います。
はい、それでは佐野委員、どうぞ。
(以下略)