消えたフォーミュラリー、裏切りの協会けんぽ、腰抜けの薬剤師会


 「これまでの議論の整理」といえば、たいていの人は「これまで議論したことを整理したものでしょ」と考えるかもしれない。今年4月の診療報酬改定に向けて、厚生労働省保険局医療課は1月10日(金)、「これまでの議論の整理(案)」を中医協総会に示したが、それはもう、とても残念な内容であった。(新井裕充)

 「議論の整理(案)」には、これまでさんざん議論してきた処方のルール化(フォーミュラリー)に関する記載がなかった。

 時の政権に寄り添う日本医師会が猛反対しているので、やむを得ないのかもしれないが、ならばいっそのこと、「日本医師会様にご承認いただいた事項」というタイトルにすべきではなかろうか。
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番長_20200110中医協総会

■ 詐欺に等しいパブリックコメント

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 このタイトルで国民からの意見募集(パブリックコメント)を実施するのは詐欺に等しいのだが、どうせ今回も「意見を出してくるのは歯科関連だらけですよ」ぐらいに思っているのだろう。

 厚労省は続く15日(水)の総会で、ほぼ原案どおりの「議論の整理(案)」を再提示。「文言の修正のご意見はなかった」という理屈でまとめてしまった。

 これを受け厚労省は同日、パブリックコメントを開始。次期改定について中医協で審議した内容として、この「議論の整理」を公表している。
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20200110中医協総会

■ 裏切りの協会けんぽ、腰抜けの薬剤師会

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 「議論の整理(案)」を示した10日の議論のうち、フォーミュラリーに関する発言は以下のPDF(抜粋)の107ページ以降をご覧いただきたい。

【抜粋P100から閉会まで】第444回中医協総会(2020年1月10日)【議事録】

 あらすじを言うと、フォーミュラリーの導入を求める保険者の代表が文句を付けたが、別の保険者代表は沈黙の裏切り。薬剤師会の委員は相変わらずの腰抜けで、ジャイアンとスネ夫に逆らえないのび太のようである。

 なお、冒頭の写真の左側は、日本医師会に寄り添う吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)、右側は日医委員から「少数派」と揶揄された幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)である。

2020年1月10日の中医協総会【議事録全文】 .
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