厚生労働省保険局は3月26日、社会保障審議会(社保審)の医療保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で「傷病手当金について」と題する16ページの資料を示し、支給要件の見直しに向けて委員の意見を聴いた。(新井裕充)
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健康保険と共済組合の支給期間については「統一すべき」との意見が多数を占めたが、資格喪失後の継続給付については議論があった。
保険者の代表は「精神疾患(患者)が本当に労務不能であるのかを資格喪失後に把握することは極めて困難」と指摘し、「精神疾患について実態把握をした上で支給の適正化を図るべき」と主張した。
厚労省担当者の説明は以下のとおり。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
(前略) はい、それでは皆さま、本日もよろしくお願いいたします。それでは、はじめに欠席議員の代わりに出席される方についてお諮りをいたします。
平井委員の代理としまして谷長参考人、藤原委員の代理としまして井上参考人のご出席につき、ご承認いただければと思いますが、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは議事に入らせていただきます。本日は「医療保険制度改革について」を議題といたします。
具体的には、
傷病手当金について
任意継続被保険者制度について
改革工程表2019における検討項目について
予防・健康づくりについて
の4つについて議論をしたいと思います。
それではまず、傷病手当金について事務局から説明をお願いいたしたいと思います。
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〇厚労省保険局保険課・姫野泰啓課長
はい、ありがとうございます。保険課長でございます。「資料1」について、ご説明をいたします。
まず1ページをおめくりいただきまして、傷病手当金の概要の資料でございます。
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こちら、被保険者が業務外の事由による療養のため労務に服することができないときに支給されるものでございます。
支給を始めた日から起算して1年6カ月を超えない期間、支給されることになってございまして、
至急件数につきましては、協会けんぽ、健保組合、共済組合、合わせまして約190万件、支給金額にしますと約3,600億円となってございます。
その疾病別の構成割合は、このグラフにありますとおりでございますが、新生物(がん)の方が約2割、そして「精神及び行動の障害」の方が約3割という状況になってございます。
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また、次のページで「継続給付の概要」としてございますけれども、こちらの傷病手当金につきましては、資格喪失時に受けていた傷病手当金について1年以上被保険者であった方については、資格喪失後も同一の保険者から継続して受給できることになってございます。
一番下の「支給される期間」でございますけれども、「被保険者として受けることができるはずであった期間」ということで、
例えば、資格喪失前に6カ月、傷病手当金を受給している場合には残り1年分、受給することができるという形になってございます。
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この点につきまして、3ページでございますけれども、健康保険と共済組合で若干、支給期間の考え方に違いがあるところが論点となってございます。
健康保険におきましては、支給開始から起算して1年6カ月を超えない期間、支給する仕組みになっておりますが、
一方で共済組合におきましては、支給期間を通算いたしまして1年6カ月を経過した時点まで支給される仕組みとなってございます。
従いまして、その下の図にありますように、健康保険ですと、例えば支給開始から1年6カ月までの間に、一時期、経過が良好になって出勤をいたしましても、1年6カ月が経過しますと、そこで支給がストップすると。
その後、再度また出勤できなくなった場合にも、1年6カ月を超えた後については不支給になってしまいますが、
共済組合におきましては、この不支給期間というものは、うしろにですね、通算して支給。
1年6カ月、合計、達するまで支給できるという形になってございます。
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この点につきまして4ページでございますけれども、「働き方改革実行計画」の中でも、この点について検討課題として指摘がされてございます。
特に、「治療と仕事の両立」という観点から、この傷病手当金の支給要件について検討し、必要な措置を講ずるとされておりまして、
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具体的な時期につきましては、次の5ページでございますけれども、こちらの工程表の中で、一番下の所、赤く囲ってございますけれども、
傷病手当金の検討につきましては、2021年度中に検討、措置をするという方向性が示されているところでございます。
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同様の論点、「がん対策推進基本計画」の中にも記載をされてございます。
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次、7ページでございますけれども、この点も含めまして過去、医療保険部会における議論の整理をしてございます。
まず、2014年7月に議論いたしました時につきましては、今の論点に加えまして、3つ目の丸でございますが、
「資格喪失者の継続をどうするか」と、そういった点についても問題提起を頂いてございます。
一方で、10月の議論の際には2つ目の丸にありますように、「資格喪失者への支給も維持すべき」というご意見も頂いております。
この点も2つ目の論点になろうかなというふうに考えてございます。
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参考に、9ページ以降、支給金額などの推移を付けてございますけれども。
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9ページにございますように、平成24年度以降、協会けんぽ、健保組合、いずれも支給金額、増加傾向にございます。
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また、次の10ページですが、支給件数につきましても同様に増加傾向となってございます。
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11ページに疾病別の構成割合を年齢階層別にお示ししてございますけれども、「精神及び行動の障害」の割合につきましては、50歳未満の階級で最も割合が高いという状況になっておりまして、
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一方で、がんの方の割合は年齢階級が高くなるほど増加しているという状況でございます。
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12ページは支給期間の分布でございますが、平均が164日。
そして、支給件数の全体に占める(割合の)分布でございますけれども、「30日以下」が23%で、90日以内まで積み上げますと48%という形になってございます。
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また、13ページですけれども、先ほども「継続給付の在り方を見直すべき」という論点を頂いておりますが、
継続給付を受けている方の状況、協会けんぽについてのみですけれども、詳細をお示ししてございます。
傷病手当金の資格喪失後の継続給付を受けている方が協会けんぽの中で約2割いらっしゃいまして、
その傷病別の内訳を見ますと、約半数が「精神及び行動の障害」ということになってございます。
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また、14ページ以降は、先ほどの、がんの基本計画の関連もありますが、がんの生存率が向上しているということと、
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それから15ページからは、治療形態も変わり、在院日数が短くなり、その一方で外来患者さん、外来で通院で治療される方が増加していると、そういったことをお示しするグラフでございます。
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16ページについても、通院患者の方が増えてきているというグラフになります。説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
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〇遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
はい、ありがとうございました。
それでは、ただいま報告のあった内容について、ご意見、ご質問を承りたいと思います。では佐野委員、お願いいたします。
(後略)