窓口負担15%、理由の記載を求める声も

表紙_【資料3】医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について_2022年8月19日の医療保険部会

 厚生労働省が8月19日の会合で公表した資料によると、患者の窓口負担は15%だった。これについて委員から、その理由を資料に記載するよう求める声が上がった。【新井裕充】

 この資料は同日の社会保障審議会・医療保険部会で示された。タイトルは長い名称で、「医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について」となっている。

 この資料について厚労省の担当者は「広く国民の皆さまに対して医療保険の財政、特に保険料・公費・患者負担のバランスをわかりやすく示す必要がある」との目的を挙げ、「一昨年より、この医療保険部会の場でご説明した上で、毎年、厚生労働省ホームページ上で公表している」「わかりやすさを重視する」と説明した。

 質疑で、委員の発言は資料4ページ「医療費の財源構成」に集中した。資料によると、令和元年度医療費41.5兆円のうち窓口負担が6.1兆円(14.8%)で、後期高齢者の医療費17.1兆円のうち窓口負担は1.4兆円(8.3%)だった。
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 厚労省の担当者は「いわゆる法定給付率、1割とか3割とか、それより少し低い水準になっているが、これは高額療養費制度等があって、実際にはこのような割合となっている」と説明。委員から「その旨を記載していただきたい」との要望が出された。

 別の委員は乳幼児の医療費を挙げ、「無料の自治体もあるので、国民には自己負担以外が保険料により賄われているという認識が浸透していない」と指摘。「国民がわかりやすいスライドも追加してほしい」と求めた。

 今回の資料では、「生涯医療費」「余命にかかる医療費」も示された。それによると、0歳から死亡までの「生涯医療費」は平均で2,679万円、50歳の人が死亡するまでの「余命にかかる医療費」は2,067万円だった。
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 これに委員から「男女別も出してほしい。ジェンダー統計を充実すると何年も前から言われているが進んでいない」との意見があった。
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〇田辺国昭部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 (前略) ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。それでは、意見もないようでございますので、本議題につきましてはこれまでとさせていただきます。

 次に、事務局から別途、報告事項があるということでございますので説明のほうをお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。

資料説明

 
〇厚労省保険局調査課・鈴木健二課長
 調査課長でございます。資料3の「医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化」について、ご説明をさせていただきます。
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 こちらの事項について、そもそもどういった経緯でこのようなものを始めたのかといったものが1ページ目でございます。 
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 従来、医療保険制度におきましては、医療費の動向などを定期的に公表していましたりですとか、また制度改正等の財政影響について、その都度、公表をして、ご説明したりといったことをしているわけではございますけれども、
 
 広く国民の皆さまに対して医療保険の財政、特にですね、保険料・公費・患者負担のバランスをわかりやすくお示しする必要があるということで、
 
 そういったものを公表することによってですね、国民の皆さまに医療保険制度というものをより理解していただき、安心して利用していただくということで、
 
 一昨年より、この医療保険部会の場でご説明をさせていただいた上で、毎年、厚生労働省ホームページ上で公表させていただいているというところでございます。
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 2ページ目は、一昨年の医療保険部会で整理いただきました「対応方針」でございまして、
 
 ①から④、ここにお示ししている内容について年1回、医療保険部会においてご報告するとともにホームページ上で公開する。
 
 資料については、わかりやすさを重視するというところになっております。 
 
 次ページ以降が今回用意させていただいた資料となっております。
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 まず4ページ目でございますけれども、こちら医療費の財源構成というかたちになっております。
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 こちら、「令和元年度」となっておりますけれども、現在、確定値ベースの医療費が出ているのが令和元年度は最新ということで、今回の資料は全て令和元年度の数字ということで、ご理解いただければと思います。
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 こちらの図の一番上が医療保険全体41.5兆円、左のほうに書いておりますけれども、その中で自己負担が約15%。
 
 医療保険から支払われる額、こちら「実効給付率」と申しておりますけれども、約85%というふうになっております。
 
 この85%のうち公費が約33%、保険料が約52%というかたちになっております。
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 こちらを後期高齢者とそれ以外の方で分けたものがその下の図というかたちになっておりまして、
 
 自己負担の割合を見ますと、後期高齢者の方で約8%、それ以外の方で約19%というかたちになっておりまして、
 
 これはいわゆる法定給付率、1割とか3割とかですね、それより少し低い水準になっているんですけれども、
 
 これは高額療養費制度等があって、そういったことがあって実際にはこのような割合となっているというところになっております。
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 続きまして、5ページですけれども、こちらについては制度別に財政の構造を見たものになっております。
 
 医療保険制度では、制度別に年齢構成による医療費の違いなどがありますので、まずその前期調整というかたちで制度間での財政調整を行っておりましたり、
 
 また、後期高齢者に係る給付費の一部というのは支援金というかたちで他制度が負担をしているというわけですけれども、
 
 こちらは、そういった各制度間の調整の状況等を表したものになっております。
 
 紫色で示したものが前期調整の流れ、
 
 緑色で表しているものが後期支援金の流れというかたちになってございます。
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 続きまして、6ページでございます。
 
 6ページは先ほど少しご説明しました実効給付率を年次推移で見たときの図となっております。
 
 基本的に医療保険全体としての実効給付率というのは、こちら緑色の線でお示ししておりますけれども、
 
 高齢化の進展等に伴って基本的には上昇傾向にある。その中で制度改正等によって若干、上下しているというようなかたちとなってございます。
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 続きまして、7ページでございます。7ページ、今、見ていただいた実効給付率について、保険料と公費がどのように影響しているのかといったところを見ているものでございます。
 
 全体としては上昇傾向というふうに申し上げましたけれども、保険料と公費、いろいろとそれぞれの動きがあるわけでございますけれども、
 
 こういった動きについては、例えば高齢化によって後期高齢者が増加をすることによる公費の増であったりとか、
 
 逆に、被用者化が進んで国保加入者が減少していくと公費が減ったり、その他にもさまざまな制度改正等が影響して、こういった動きをしているというかたちになってございます。
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 続きまして、8ページは少し目線が変わりまして、年齢別で医療費がどのように違うかというものを示したものになっております。
 
 上の青い部分が医療費、年齢別の医療費で、
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 下に出ている赤斜線の部分や緑の部分が負担の部分、これ自己負担や保険料ということになっております。
 
 保険料はもちろん現役世代の間が比較的高くなるというわけでございますけれども、
 
 医療費については高齢になるほど高くなるというのがこの図でわかるかというふうに思います。
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 続きまして、9ページですけれども、こちらは「生涯医療費」という概念を説明したものになっております。
 
 生涯医療費というのは、0歳の人が平均的に生涯でどの程度、医療費が必要になるかという金額を表したものになっております。
 
 人によって長生きする方、早く亡くなられる方、さまざまでありますけれども、それを平均的に見たときに、どれぐらい生涯で医療費がかかるかというものを示したものになっております。
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 次の10ページが、その実際の生涯医療費の数値を表したものになりまして、
 
 直近では、生涯医療費は約2,700万円というかたちになっておりまして、そのうち約85%にあたる2,300万円は医療保険から賄われるというかたちになっております。
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 最後、11ページですけれども、こちら、生涯医療費は0歳の方が生涯で平均的にかかる医療費ですけれども、
 
 それを特定の年齢でスタートしたときに見たときにどうなるかっていうのがこちらの資料になります。
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 例えば、今、50歳の方がいたとしてですね、その方が今後、平均的にどれぐらい医療費がかかるかというふうに見たい場合には、このグラフの50歳の所を見ていただきますと、例えば2,067万円というふうにあるわけでして、
 
 そのうち保険給付分が1,808万円というかたち。平均的にこれぐらいの、今後、医療費がかかるというところをお示ししたものになっております。
 
 こちらも生涯医療費と同様、実際の死亡の状況はさまざまでありますけれども、平均的に見たときに、こういうようなかたちになるというところで、ご理解をいただければと思います。
 
 以上、こちらの資料についてですね、昨年同様、厚生労働省のホームページのほうにも掲載させていただければというふうに思っております。ご説明のほうは以上でございます。

 (中略)

〇田辺国昭部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 はい。どうもご説明ありがとうございました。報告事項ではございますけれども、ご意見、それからご質問等ございましたら、手短にお願いいたします。では藤井委員、よろしくお願いいたします。

質疑応答

 
〇藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)
 はい、すいません。ありがとうございます。1点、お願いがございまして、
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 「資料3」の4ページに記載されております実効給付率につきましてですね、
 
 医療費窓口負担の割合から見て高くなっている部分の理由の1つがですね、高額療養費制度によるものだということを先ほどご説明いただきましたので、
 
 その旨ですね、ちょっと、記載をしていただければなと思います。以上でございます。

〇田辺国昭部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 ありがとうございました。

 (中略)

 それでは安藤委員、よろしくお願いいたします。
 
〇安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)
 はい、ありがとうございます。まず「資料3」についてですが、
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 先ほど藤井委員のほうからもご指摘ありました「資料3」の4ページにあります実効給付率が85%という高い理由について、
 
 より国民がですね、この高額療養費制度のメリットについて、そしてまた、その果たしている役割についても国民がわかりやすいというような説明をぜひしていただくということが非常に大事かなというふうに思っております。
 
 また、乳幼児等に係る医療費につきましては、各都道府県と、ならびに市区町村におきまして、自己負担分に対する援助制度が設けられており、医療費が無料の自治体も存在いたします。
 
 しかし、国民には自己負担分以外の部分が保険料により賄われているという認識が浸透していないというふうに感じております。
 
 今後、乳幼児等医療につきましても、その財源の構造をきちんと明示していくべきであるというふうに考えております。
 
 ぜひ国民がわかりやすいスライドも追加していただければというふうに思います。以上です。
 

 (中略)
 

〇田辺国昭部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)
 では袖井委員、よろしくお願いいたします。
 
〇袖井孝子委員(高齢社会をよくする女性の会副理事長)
 はい、お願いでございますが、「資料3」でですね、生涯医療費だとか、
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 それから余命にかかる医療費っていうのは大変貴重なデータで、今までこういうのはなかったので、すごくいいと思うんですが、
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 できましたら男女別も出してほしいと思うんですね。
 
 国の方針として、ジェンダー統計を充実するっていうことがもう何年も前から言われてるんですが、なかなか進んでおりませんので、
 
 どうせデータはあると思いますので、ぜひ次回からそういう男女別もお願いしたいという、これはお願いでございます。よろしくお願いします。

 (以下略)

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