求人倍率が20倍と言われる歯科衛生士の人材不足に対応するため、厚生労働省は12月13日の中医協総会で歯科衛生士の配置要件を緩和する方針を示したが、「歯科衛生士さんの代替えとして、歯科医師っていうことですよね?」などと疑問の声が上がった。(新井裕充)
厚労省の担当者は、歯科医師が歯科衛生士の業務範囲を全て網羅していることを説明し、歯科医師が歯科衛生士の業務を行えば「(歯科医療機関の)レベルアップになるのかな」と理解を求めたが、多くの委員は納得しなかった。
ところが、いつも診療側に手厳しい健康保険組合連合会の理事だけはあっさり承認。「歯科衛生士の業務について医師が担ってやるということであれば、それは異論なかろう」と厚労省案に賛成した。
厚労省や健康保険組合連合会は、医科や調剤には厳しいのに、なんで歯科にはこんなに甘いのか。
職員を研修することを条件に基本診療料を引き上げるとか、歯科衛生士が辞めると要件を満たせなくなるから緩和するとか、もうめちゃくちゃな提案なのだが、どうやら通りそうな雰囲気である。さすが日歯。強すぎる。
議論の模様は、以下のPDFを参照。厚労省のめちゃくちゃな提案はP137~142、質疑はP155以降。健康保険組合連合会の思いやりあふれる発言はP164)
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▼ 診療報酬のアップや要件緩和について、支払側委員が無条件で一発承認するのは、極めて異例のことである。厚生労働省や健康保険組合連合会はなぜ日本歯科医師会に甘いのか。いろいろ書きたいところだが、今回は自粛しておく。興味がある人は、「下村健」「日歯連事件」などのキーワードで検索してほしい。ところで、この日の中医協は午前9時から12時過ぎまで3時間以上にわたって開かれた。メインは最初に開かれた薬価専門部会で、次期薬価制度改革の骨子案が示された。この部会が終わって総会に移ると、パラパラと傍聴者が退出したが、多くはまだ帰らずにとどまった。総会では、処方のルール化に関する「使用ガイド付きの医薬品集」(フォーミュラリー)をめぐる議論が延々と続いた。開始から2時間半が経過した11時36分。ようやく最後の議題である「歯科医療」に入ると、一斉に傍聴者が席を立った。ランチの混雑を避けるためなのか、あるいは関心の低い歯科医療がテーマだからか。私も帰ろうかな~と思ったが、議事録を作っているので仕方なく最後まで傍聴することにした。まさかこんなに盛り上がるとは思わなかった。