広告が可能な新たな標榜診療科として「睡眠科」を設ける機運が関係者の間で高まりつつある。超党派でつくる「国民の質の高い睡眠のための取り組みを促進する議員連盟」(会長・田村憲久元厚生労働相)は4月11日、日本睡眠学会の内村直尚理事長(久留米大学学長)から意見を聞いた。標榜診療科は医療法施行令で定めているが、08年以降、15年以上追加されていない中、果たして睡眠科はどうなるか。 【本根優】
内村理事長は、睡眠の悩みなどを抱える人たちが増え、国民から「睡眠科」新設の期待が高まっているとし、標榜診療科に追加するよう要望した。
同学会は23年11月、18~79歳の男女3600人を対象に調査を実施。それによれば「約6割」が睡眠に何らかの問題を自覚していた。その一方で、実際に受診した人は、内科や精神科が多かったが、「半数以上」はどの科を受診するか迷う結果となった。そんな中、もしも睡眠科ができれば受診しようと考える人は「約8割」に上った。
内村理事長は「睡眠科というわかりやすい名称で国民に示すことで、受診しやすくなるのではないか」と主張した。また「どの診療科を受診すべきかわからない」「精神科受診を躊躇して、受診までに時間がかかる」「患者ニーズが高い」といった現状から、標榜診療科として新設する要件を満たしていることを訴えた。
現在でも「内科」や「外科」は単独で標榜が可能。「糖尿病内科」「消化器外科」のように、身体や臓器の名称、症状・疾患などの名称を組み合わせて使用することもできる。
内村理事長は、睡眠を症状・疾患の名称に加えることを提案。関係学会にも賛同をもらう手続きを進めているという。
国会でも取り上げられ、4月2日の参院厚生労働委員会では、睡眠科についての質問に対し、浅沼一成医政局長が「精神科、呼吸器科、耳鼻咽喉科、神経内科、小児科などさまざまな診療科で睡眠障害の診療実態があることを踏まえて、まずは関係学会の意見を聞きながら検討していきたい」などと答弁していた。厚労省は後ろ向きではないものの、やや“受け身”の姿勢のため、睡眠科新設を実現するには政治の「突破力」が必要とされる展開だ。
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