自民党の社会保障制度調査会(会長=加藤勝信衆院議員)は11月7日に役員会を開き、24年度診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定について、協議を開始した。その場では、財務省が財政制度等審議会で示した考え方に対する疑問の声が相次いだ。【本根優】
財務省は診療報酬本体の「マイナス改定が適当」との主張を展開。医療法人の事業報告書を基に、診療所の経常利益率が20~22年度で3.0%から8.8%に急増し、利益剰余金が2割程度増えたとのデータを示した。
出席した関係者によると、こうした主張に対して「財務省の認識が間違っている」「プラス改定にしなければ賃上げはできない」などと、反論意見が数多く出たという。
この日の会合では、調査会の役員人事も報告。加藤会長以下、顧問に田村憲久氏、衛藤晟一氏、会長代理に後藤茂之氏、根本匠氏、宮澤洋一氏、副会長に金田勝年氏、幹事長に丸川珠代氏、幹事長代理に高鳥修一氏、福岡資麿氏、古川俊治氏が就いた。事務局長は橋本岳氏が務め、事務局次長に田畑裕明氏が就いた。
各委員会の委員長については、医療委員長に田村氏、介護委員長に衛藤氏が回る。「創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム(PT)」、「こどもまんなか保健医療の実現に関するPT」の座長は橋本氏が務める。
一方で、厚生労働省は改定に向けて、課題をまとめた資料を厚労関係議員に配布。その中では診療報酬改定に関して「30年ぶりの賃金上昇、物価高騰への対応」「コロナ期の一時的な収益構造を前提としない持続的な改定」を課題に示した。
調査会の加藤会長、そして厚労部会長の古賀篤氏も元財務(大蔵)官僚。これに政調での経験豊富な田村氏が加わり、プラス改定に向けた政府との調整で、どこまで“仕事”ができるのか。
.