賃上げ財源にメド!?

財務省前_2021年3月23日

 政府は、与党の議論を踏まえ、近く24年度予算編成の基本方針を閣議決定する。11月28日の経済財政諮問会議では、トリプル改定について「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」とした。果たして、賃上げなどの財源確保は、実現するのか。【本根優】

 12月1日の自民党・政調全体会議に示された資料でも、トリプル改定に関する記載は同様だった。書きぶりは6月の「骨太の方針2023」策定時と変わっていない。

 一方で、公明党は11月30日、「物価・賃金上昇に対応するための財源は、いわゆる『歳出の目安』とは異なる扱いにすべき」とする要望書を岸田文雄首相に提出した。

 政府は「骨太2023」で、社会保障関係費に関して「実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めることを目指す」と示した。これが「歳出の目安」となる。

 岸田首相は、その目安とのバランスを取りながら対応する考えを示したという。

 一方で、厚生労働省は、社会保障費の伸びを高齢化による増加分にとどめる「財政フレーム」が嵌められていることから「フレームの枠外で、物価・賃金対応のための予算を確保できる仕組み」を目指す方針だ。

 一連の文脈の中で「目安」と「財政フレーム」はほぼ同義と言っていいだろう。

 自民厚労関係幹部議員によると、厚労省は財源確保の選択肢として「消費税収の増加分」の活用を検討しているという。消費税1%あたりの税収が3000億円程度増えているのに対し、「社会保障の充実」に振り向ける予算は増額されていない。「社会保障・税の一体改革」の中では、増税分5%のうち、1%分を「社会保障の充実」に充て、4%分を「社会保障の安定化」に充てることにした。

 厚労省は、消費税1%あたりの税収が2.8兆円から3.1兆円に増えてもなお、「社会保障の充実」予算は2.8兆円から増額されていないことに着目。今回、物価・賃金対応を行うための財源の選択肢に消費税収の増加分を据えたい意向だ。

 一方で、厚労省は「財政フレームの枠内だと、0%近傍の改定しかできない」との見解も示している。

 前述の厚労関係幹部議員は「賃上げの優先度は介護の方が高いが、医療も上げないわけにはいかず、その財源は別枠で確保できる可能性が出てきた。その反面、通常の診療報酬改定財源の確保が、より厳しくなる可能性がある」と語る。

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