自民党政調の「社会保障制度調査会・デジタル社会推進本部」の健康・医療情報システム推進合同プロジェクトチーム(PT)は4月11日、「医療DX令和ビジョン2030」の実現に向けた提言をまとめた。医療関係者の関心を集める診療報酬改定の施行時期については「数ヶ月後ろ倒しにする」ことを求めた。この通りなら、24年度改定は春ではなく「夏改定」となる可能性が高い。【本根優】
これに先駆け、「医療DX令和ビジョン2030」厚労省推進チームは4日に「改定施行時期を後ろ倒しし、システム改修コストを低減」する方向性を提示。「施行時期は中央社会保険医療協議会の議論を経て今夏までに決定」すると示していた。
自民党PTの提言内容から、問題意識を探ると、まず現状は「医療現場で診療報酬改定に際して新規項目の追加やコードの修正などに係る作業が発生しており、大きな業務負担が生じている状況」。さらに「点数ロジックは共通にもかかわらず、それぞれのベンダが改定時に多大な労力を割いてそれぞれのシステム解消を行っており、その費用が医療機関等の負担に転嫁されている」という。
そこで「標準化されたマスタ・コードによって結ばれた共通算定モジュール・標準型電子カルテを併せて提供し、医療機関システムを抜本的に改革する」ことを目指す。その上で施行時期について、提言では「共通算定モジュール等の提供に係る段階的な施策の実施を考慮に入れつつ、合理的な期間が確保されるよう、数ヵ月後ろ倒しにする」ことを求めている。
厚生労働省の説明では、2~5月の繁忙期には医療機関の改定業務に携わるベンダの保守人員が通常の2.5~3倍必要とされ、改定作業のコスト増要因となっているという。
中医協の診療側関係者は「自民党が『数ヶ月』と言っている以上、4月を5月にずらすだけでは不十分。遅すぎるのも問題があるとなれば、やはり6月とか7月が妥当な線なのだろう」と推測する。
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