政府は「骨太の方針2023」を6月16日に閣議決定する方向だ。経済財政諮問会議で検討を進めるのと並行して、自民党内での議論が活発化している。自民党を支持する団体などから、あれもこれも「盛り込んで」と要望が相次ぎ、そうした声を代弁すべく、さまざまな業界の族議員たちが張り切っているためだ。【本根優】
5月26日の自民党政調全体会議では、少子化対策の財源などをめぐって「社会保障を聖域化すべきでない」といった声と、それとは対照的に「社会保障関係費を削るのは本末転倒だ」との声が上がった。
社会保障関係費の削減を回避したい立場なのが、医療・介護業界。5月25日、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本認知症グループホーム協会の計12団体は、合同声明を発表。「骨太の方針に24年度トリプル改定での物価高騰と賃上げへの対応を明記」するよう求めた。
また、日医の政治団体である「日本医師連盟」(松本吉郎委員長)は25日、都道府県医師連盟に対し、文書で地元自民党国会議員への働きかけを要請した。
12団体の合同文書とほぼ同じ内容で、骨太への明記を求めている。異なるのは、日医連のほうは「自民党政調全体会議などの場で、国民の生命と健康を守るために(日医連の主張のような)発言を」と会議名とその日時(26日午前8時、29日午後3時)まで示して、後押しを呼び掛けていることだ。
自民党医療系議員の関係者が解説する。
「会議名まで掲げているということは、そこで発言してくれるかどうか、ウオッチしているという意味。都道府県医師連盟を巻き込んでいるのは、衆院選での支援とも直結していることをほのめかしている」
つまり「頑張って発言してくれた方は、医師連盟として次の選挙で重点的に支援します」ということにもつながっているのだという。
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