調査実施小委員会と総会が開かれました。予定より1時間以上も早く閉会しましたが、一波乱ありました。【新井裕充】
次期改定の基礎資料となる「第24回医療経済実態調査」の内容を審議する調査実施小委員会は約1カ月ぶりの開催です。
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1.調査実施小委員会 10:00 ~ 10:28
2.総会 10:30 ~ 11:44
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前回11月16日の小委員会では、医療経済実態調査の主な内容が示された「実施案」を了承。それを踏まえ、今回は具体的な「調査票案」が示されました。
この「調査票案」を今回の小委員会でスンナリ了承し、続く総会に報告してシャンシャンという流れが予想されましたが、意外に難航しました。
表紙の写真は、議論を踏まえ厚労省の眞鍋馨課長が「スケジュール的な制約、予算的な制約もあるので、大きく変えるのは今のところ技術的には厳しい」と理解を求めている場面です。
前回の小委員会では、公益側の飯塚敏晃委員(東大大学院教授)から一般診療所の調査について注文が出ていました。
飯塚委員は次のように要望しました。
「内科以外に関して、より抽出率を上げるような層化(グループ別)の考え方を一般診療所の中でも取り入れることも考えるべき」
この発言に、支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)から“援護射撃”が入りました。
安藤委員は「飯塚委員からも話があったように、診療報酬改定をするために必要なデータを得るのであれば、今のやり方では十分ではない」と苦言。
その上で、「飯塚委員から指摘があったように、診療科別に、それぞれ必要なデータ数を決めた上で、そのデータ数が集まるようなデータを取得することが非常に大事ではないか」と述べました。
こうして迎えた今回の「調査票案」の提示ですが、飯塚委員らの期待に応える内容ではなかったようです。
事務局(保険局医療課)との押し問答がしばらく続きました。
KY発言などで会議が紛糾したときなどは、最後に課長が一発かまして終了となるのが恒例ですが、今回は公益委員の発言ですから、そうもいかないのでしょう。
座長の秋山美紀氏(慶大教授)が次のようにまとめて小委員会は閉会しました。
「軽微な修正については基本的に小委員会長である私のほうで調整を受けることとして、必要と判断した場合には各委員の皆さまにご連絡をするという取扱いをさせていただくということについて、ご承認いただくということでよろしいでしょうか」
すごい承認の取り方ですね。一応、了承ということになりました。
しかし、続く総会で飯塚委員が再び発言。
「現在の回答状況、あるいはサンプル数等を検討いただいて、診療科別に抽出率を変更する等、より信頼性の高い統計となるよう、事務局におかれてはお考えいただくように、お願いしたい」
これをお読みになっている方の中には、いったい何が問題なのか、いまいち伝わらないかもしれません。
具体例を挙げますと、「開業医は儲かっている」「眼科と整形の収益が高い」「都会の9時~5時のビル診は地域医療に貢献していない」──。
こんな批判の根拠にされるのが診療報酬改定前に結果が報告される「医療経済実態調査」なのです。旗振り役は日経新聞です。
しかし、サンプル数が少ないと「こんなn数では」という反論が出ちゃいますので、調査を開始する前に、しっかり集まるようにしておこうという狙いでしょうか。
しかし、「診療科別の収支」というのはすでに終わった議論です。答えが出ないということです。
かつて、中医協の下部組織に「医療機関のコスト調査分科会」というのがありました。何年ぐらいやったでしょうか。無駄な時間だったという思い出しかありません。