コロナ重症・中等症の評価を2倍から3倍に引き上げ ── 5月25日の総会(持ち回り開催)

20200525中医協総会ブリーフィング

 厚生労働省は5月25日、中医協総会を「持ち回り」の形式で開催し、重症・中等症患者の評価を2倍から3倍に引き上げるなどの「特例的な対応案」について承認を得たと発表した。(新井裕充)

 これを受け厚労省は同日、報道関係者を対象とした説明会をSkypeを用いて開催し、今回の対応案について説明した。

 厚労省担当者の説明は以下のとおり。資料は厚労省ホームページをご参照いただきたい。

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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 それでは、ただいまから本日行われました持ち回りの中医協のブリーフィングを始めたいと思います。

 資料が、たった今、ホームページのほうにアップされましたので、ご覧いただければと思います。

 資料をご覧いただきながら、ご説明させていただきたいと思います。まず、本日午前中に財務大臣と厚生労働大臣の間で、診療報酬の特例措置に関する大臣間の合意が行われました。

 これについては、別途、財務省のほうからプレスリリースがなされていると思います。

 4月17日の大臣合意によって特例的な評価を行ったところですが、その後の新型コロナウイルス感染症患者の診療における受入れの実態が明らかになってきたことを踏まえ、今般、重症・中等症の新型コロナウイルス感染症患者の診療および医療従事者の感染リスクを伴う診療について、追加的に特例的な評価を行うということとされております。

 また、今般の措置については迅速な対応が求められることから、2度の大臣合意による国費措置額を超える対応を行うこととし、令和2年度における所要額、国費約200億円程度について、新型コロナウイルス感染症対策予備費により措置するということとされております。

 ここに記載のあります内容を踏まえて、本日午後に中医協の持ち回りが開催されました。

 その資料が今、ご覧いただいていると思いますので、順次説明させていただきたいと思います。じゃ、木下のほうから説明します。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 それでは、「中医協 総-1」の資料に沿いまして、木下のほうからご説明申し上げます。

 表題にありますように、「新型コロナウイルス感染症患者の受入れに係る診療報酬上の特例的な対応について」となっております。

 2ページをお開きいただければと思います。2ページに、今回の特例的な対応の4つの項目をまとめて記載しているところでございます。

 1つ目としましては、「重症・中等症の(新型コロナウイルス)感染症患者に対する診療の評価の見直し」ということで、特にICUの点数等の見直しをここに掲げております。

 詳細については、後ほど3枚目以降でご説明したいと思います。

 2つ目に関しましては、「重症・中等症の(新型コロナウイルス感染症患者の)範囲の見直し」ということで、それぞれ重症患者・中等症患者の範囲についての見直しを2つ目の対応としているところでございます。

 また、3つ目に関しましては、コロナの患者の長期的な対応ということが必要になっているということもございましたので、それに対する対応を3つ目の柱としているところでございます。

 4つ目に関しましては、入院早期、救急外来等で来た場合の患者の取扱いということで、そこに含まれる疑似症患者の取扱いの明確化というのを4つ目の柱としているところでございます。
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 詳細な内容ということで、3枚目をお開きください。

 3枚目に、これまでの経緯と今回の対応というものをまとめているところでございます。

 まず3枚目になります。1つ目でございますが、重症・中等症の患者の評価の見直しということで、

 4月18日の事務連絡におきまして、重症の患者に関しましては、それぞれ、例えばECMOでありますとか人工呼吸器の患者に対する、それぞれの患者に対する人員配置を踏まえまして点数を2倍に引き上げたところでございます。

 あわせまして、中等症の患者に関しましても救急管理加算の2倍相当の加算をできることを4月の段階において対応を行ってきたとこでございます。

 その後でございますが、今般、医療機関に対しましてアンケート調査やヒアリングを実際に行わせていただきました。

 その結果としまして、ECMOの運用にあたっては、やはり2倍以上の人員配置が必要ということが確認されたところでございます。

 2つ目としまして、PPE等の感染症の防護措置を取った場合の、着用した状態では通常と比べまして業務の効率が落ちるといったことが問題として挙げられたとこでございます。

 さらに3点目としまして、こういったコロナの対応をしている職員に関しましては、メンタルヘルスの対策とか、休暇をある程度確保しなきゃいけないということもありまして、待機要員も含めますと、やはりそれ以上の人員の確保が必要ということが、指摘があったとこでございます。

 これらの理由を考えまして、現に受入れをいただいてる医療機関におきましては、実態として、通常の配置の3倍以上の相当の人員を確保しているということが確認されたとこでございます。

 それを受けまして、今回の「対応(案)」としまして、下の表にあるとこでございますが、
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 通常の点数の、これまで4月18日以降、2倍という対応をさせていただいたとこでございますが、

 やはりそのユニット全体の配置状況ということを確認したところ、通常の3倍程度、それ以上の配置がされているということで、それに見合う評価ということで、それぞれの点数を3倍相当にするという提案をさせていただいたとこでございます。
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 続きまして4ページにお進みください。

 4ページでございますが、まず2つ目の柱としまして、対象となる患者の範囲の見直しのとこでございます。

 これまでの対応としまして、ICUの患者さんにつきましては、人工呼吸管理等を要する患者さんを対象としてきました。

 また、それ以外、宿泊療養とか自宅療養の対象とすべきでない方については急変等のリスクに鑑みて、医療機関におきまして一定程度、やはり感染を防ぐためには管理が必要ということも指摘がされてきたとこでございます。

 それを受けまして、重症患者の範囲につきましては、ICUに入っている患者さんで、医学的見地から、そういった管理が必要な人を対象とするということで、現行の、人工呼吸器やECMOに限らないという対応をしたいというふうにご提案をさせていただいております。

 また、中等症の患者につきましても、従来は酸素療法が必要な方という、対象としてたところでございますが、急変等のリスク管理が必要という観点から、その対象患者に関しましても、米書きにありますように、「酸素療法が終了した後の状態など、急変等のリスクを鑑み、宿泊療養、自宅療養の対象とすべきでない」方を対象として、こちらも対象の範囲の見直しをご提案させていただいたところでございます。

 また3つ目の柱でございますが、こういった急性期を脱したような患者さんにつきましても、その後の長期にわたった治療が必要なケースもあるということで、

 現行の中等症の加算につきましては、14日という算定日数の上限があるところでございますが、継続的な診療が必要な場合には15日目以降もこの加算の算定ができることと。

 また治療の結果、こういった急性期の状態は脱したという状態であっても、その後も引き続き入院管理が必要なケースというものも想定されますので、

 そういった患者さんを、転院を受け入れた側の医療機関につきましても、こちらにあります二類感染症の入院診療加算、250点相当を算定できることとするというのもあわせて、後方の医療機関に対する対応というものもご提案させていただいているとこでございます。

 4つ目の柱としまして、新型のコロナウイルスが疑われている患者さんで、入院が必要なんですけども、まだPCRの検査等が判明せずに、ほかの患者さんとも同室にできずに個室管理が必要となるような患者さんもいるというご指摘もあったとこでございます。

 これらに関しましては、疑似症として入院措置がされている期間につきましては、今般の特例的な対応の対象とするという取扱いを明確にさせていただくというとこでございます。

 この入院期間の入院医療費につきましては、感染症法による公費(負担医療の)対象となるというところも、あわせて確認をさせていただいたところでございます。

 簡単ではございますが、今回の見直しの柱の4つのご説明になります。

 5枚目以降は、これまでの対応の例として参考資料を付けているところでございますので、適宜、ご参照いただければと思います。以上でございます。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 はい。以上の内容につきまして、本日、持ち回りで採決いたしまして、ホームページにも載ってございますように、中央社会保険医療協議会として承認する旨のご了解がいただけたところでございます。

 ご意見については、それぞれの委員から提出があったものについて、ホームページに載せてありますので、ご覧いただければと思います。

 説明は以上になります。今から、ご質問等、ございましたらお願いいたします。

 ▼ 以下は質疑の模様。チャットでのやり取りのため、厚労省担当者の発言のみであることをお許しいただきたい。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 日経のアライさんから、「いつから適用しますか」という質問を頂いております。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 適用日につきましては、明日、5月の26日を予定しております。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 週刊社会保障の高木さんより、「新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、新生児治療回復室入院医療管理料も3倍の対象となるのでしょうか」という質問と、「14日までの二類感染症患者入院診療加算については変更はなく、現在の特例措置が継続するのでしょうか」という質問を頂いております。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 1ポツ目に関しましては、NICU等々も3倍の対象となります。

 2ポツ目の二類感染症の加算につきましては、まず1点、14日の制限はまずなくって……。

 少々、お待ちください。

 2ポツ目の14日までの加算については変更は……。

 えっと、順番からいきますと、まず二類感染症のほうの変更はないですけども、そもそも14日までという制限はないので、「現行の特例措置が継続」というお答えになります。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 よろしいでしょうか。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 高木さん、大丈夫でしょうか。あ、大丈夫ですね。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 じゃ、次の質問です。エムスリーの水谷さんから、「幸野さんの意見にありますが、解除の基準やいつまでというのは現時点で考え方はあるのでしょうか」という質問を頂いております。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 現時点におきましては、特段、解除の基準とかの考え方は特にございません。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 はい、次にGHCの鳥海さんから「疑似症患者について医学的に重度と判断すればICU等に入室させ、3倍の点数算定が可能なのでしょうか」という質問を頂いております。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 医学的見地から必要だと、入院が必要だということであれば、3倍の点数が可能になります。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 ただし、疑似症が陽性……。

 陽性と言うか、陰性が確定した場合は、通常の患者さんということで元に戻ることになります。

 陰性になった時点より、あとの治療については通常の点数になって、今回、陰性になるまでの間の疑似症の間の部分について3倍になると。

 3倍と言うか、いろいろな特例の対象になるという見直しになっております。
 次に、日本テレビの浜野さんから「重症患者の対象範囲ですが、ICUの管理が必要な患者でECMO、人工呼吸器に限らないということですが、ほかにどのような状態が考えられるのでしょうか」という質問を頂いております。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 1つとしましては、ECMOとか人工呼吸器を離脱できた直後の患者さんとかにつきましては、

 その装置、医療機器としては、そういったものから離脱できてる状態ではありますけども、

 管理としては、「ICU相当の管理が必要」というケースがございますので、そういう機器の着脱後で状態が不安定なケースというものは、引き続きICUの管理が必要ということで、そういった方はそのまま継続するというようなことを想定しています。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 これまでで、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 はい、高木さんより「新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料、新生児治療回復室入院医療管理料は、疾患と出生体重によっては35日以上の算定も可能ですが、算定期間中は3倍が続くのでしょうか」という質問を頂いております。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 そこは整理してない……。

 すいません、そこは未整理なので確認します。

 えーと、QAかな。えーと、どうしようかな。

 うーん……。

 後日、QAかな。今日のQAは間に合わないよな……。

 個別の回答は速やかにできるかと思いますけど、周知という意味では、ちょっと後日の事務連絡などのQAで周知という形になろうかと、今は思います。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 よろしいですか。すいません。ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

 日経のアライさんから、「今回の疑似症の定義は、感染症法上の疑似症の範囲のことを指すのでしょうか」という質問です。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 はい、感染症法上の疑似症の範囲になります。ご指摘のとおりです。

 何人、来てんだ、今日は……。50人。すごいな……。

 じゃあ、あと、個別で。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
 よろしいでしょうか。

 はい、それではこれにて、本日の中医協のブリーフィングを終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
 ありがとうございました。

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