「ある意味、支持団体に対する誘引装置になっているのが、年末の税制改正と予算編成、そして6月の骨太(の方針)の時期だろう」
そう語るのは、自民党の元秘書。業界団体や企業が最も注目し、与党政治家たちにお願いに回るのが、やはり12月の税制・予算論議の時期になる。加えて、政府が策定する骨太の方針への記載ぶりに期待を込め、ロビーイングを重ねる時期が6月くらいまであるため、年間に2度のピークが存在することになる。 【本根優】
政治資金規正法改正論議の進行状況にもよるが、25年度予算編成に向けて策定する「骨太の方針2024」は、6月21日に閣議決定される見通し。
政府は、まず項目だけを箇条書きにして並べた骨子案を作成し、6月4日の経済財政諮問会議に示す予定。その後、6月11日の諮問会議には、骨子案に基づき、文章を加えた原案を提示する。自民党では厚生労働部会などの各部会や、政調全体会議、政調審議会で原案に関する議論を進め、6月20日に与党責任者会議を開いて公明党と足並みを揃える。6月21日の諮問会議を経て、同日中に岸田政権として閣議決定する流れだ。
社会保障に関する論点は何か。自民党の社会保障制度調査会(会長=加藤勝信衆院議員)がまとめた提言を見れば、主だったものがわかる。同調査会は、3点の検討を強く求めている。
まず、社会保障関係費の伸びについて「物価上昇・賃金上昇への対応が適切に行われるようにすること。その際、今後明らかとなる税収の状況も踏まえて対応すること」を要望。「デフレ心理を払拭し、賃金が上がることは当たり前との方向に社会全体の意識を変える」必要性を訴える。
さらに「賃金と物価が好循環する新たな成長型経済への移行を目指す中では、社会保障分野の再分配機能が十分に果たされることが重要」と指摘している。
次に「介護予防の推進等による要介護認定率の低下に伴う給付費の抑制や、医療DXによる効率化等に向けた取り組みを推進し、その効果を適切に反映すること」との内容を盛り込んでいる。
最後に、薬価の中間年改定に関しては、製薬業界などから批判が強いことも加味し「革新的な医薬品創出のためのイノベーション推進の観点、物価上昇や医薬品の安定供給の必要性といった医薬品を取り巻く環境が、制度導入時から変化していることを踏まえ、その在り方について見直すこと」を要望している。
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