日本医師会は22~23年にかけて、医薬品関連部局の組織変更を行う。現在ある薬務対策室を格上げし、「医療技術課」を4月に新設する。端的に言えば、増加する「高額製品対応」ということになる。【本根優】
薬務対策室が発足したのは13年7月。横倉義武会長(当時、現名誉会長)は12年4月の就任会見で「本当に医薬分業が患者、国民のためになったのかを考えないといけない」と強い問題意識を示していた。それを翌年、具現化し、薬務対策室を設けた。
医薬品・医療機器の開発・承認・流通に関する事項や、薬剤師の業務、薬局の機能に関する事項に向けた対応に加え、当時の薬事法(現医薬品医療機器法)の改正を睨んだ検討を行うのがミッションとされた。室長には薬務行政経験のある薬剤師を起用し、中央社会保険医療協議会など厚労省の審議会への対応、担当役員の支援を行ってきた。
今回の組織再編の狙いは次のようなものだ。革新的で高額な医薬品・再生医療等製品の開発・上市が相次ぎ、国民負担や医療保険財政に与える影響が懸念されるなか「薬務をめぐる環境が急速な変化のなかで重要性を増している」ことを考慮。基礎研究から応用研究を経て実用化へ、その過程に非臨床、臨床試験・治験、薬事承認、保険適用、医療利用という一連の流れがあるなかで「より機動的な対応を取ることができる事務局体制の構築」を目指す。
中川会長は6月に任期が切れるが、2期目当選をめざして日医会長選挙に出馬することが確実視されている。22年度診療報酬の本体プラス改定(+0.43%)を評価する声がある一方で、リフィル処方箋の導入(▲0.10%)に対して、厳しい指摘や、それを許したことに対する責任論が会内で浮上している。
関西地区の医師会幹部は今回の組織変更について、こう解説する。
「もちろん薬務の重要性が増していることはあるが、中川(俊男)会長が『横倉カラー』を消したい意図も込めた“衣替え”だろう」