5月19日、大阪府医師会役員選挙が行われ、副会長の中尾正俊氏が、会長の高井康之氏を破り、初当選を果たした。正副会長の対決を中尾氏が制した格好だ。選挙結果は193票対49票で、中尾氏が大差をつけた。 【本根優】
「2年間の任期中、失点と言える失点は見当たらない」(高井氏を支持した府医関係者)にもかかわらず、なぜ高井氏は会長の座を追われることになったのか。
前府医会長の茂松茂人氏(日医副会長)との関係性に起因する部分が大きい。2年前、松本吉郎氏が率いる日医執行部が立ち上がる際、茂松氏が府医会長から日医副会長に転じる際、後継指名したのが、他ならぬ高井氏だった。
ところが、その後、府医の会務運営を巡る意見対立から、茂松氏が高井氏を完全に見限った。そして、次の府医会長候補として、副会長の中尾氏を担ぎ、支持を広げていった。その間、府医事務局内のハラスメント問題など、真偽の定まらない対立点から、高井氏と「中尾氏&茂松氏」の溝は決定的なものとなり、批判合戦が繰り広げられた。
茂松氏が根回しし、選挙戦回避を画策したものの、高井氏は最後まで譲らず、実際に選挙に突入。フタを開けてみれば、中尾氏の圧勝だった。これにより、日医副会長の続投が内定していた茂松氏は、地元の支持が得られることになり、松本執行部2期目に向けた、自身の立場に関する障害はなくなった。
府医関係者によると、こうした泥仕合が繰り広げられる中、うねりにはならなかったものの「あの人」も参戦していた。
中央社会保険医療協議会委員などを歴任した元日医副会長の松原謙二氏だ。今回の選挙に関して、自身の見解を文書で発信するなど、存在感を発揮しようと試みた。さらに府医役員選挙では、日医代議員などに名乗りを上げたものの、当選は叶わなかったという。
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