政府の「医療DX推進本部」は今春をメドに医療DXの推進に関する工程表を公表する。すでに骨子案のパブリックコメントを募集し、4月6日を締め切り日に設定している。骨子案で「診療報酬改定DX」に関しては、コストや負担の軽減が強く謳われている。【本根優】
具体的には「診療報酬改定時に医療機関等やベンダが個別にシステム改修やマスターメンテナンスに対応することで、人的、金銭的に非常に大きなコストが生じている。限られた人的資源、財源の中で医療の質の更なる向上を実現するためには、こうした間接コストを可能な限り低減させることが重要」との認識を示す。
その上で「マスタ及びそれを活用した電子点数表の改善・提供、診療報酬算定と患者の窓口負担金計算を行うための全国統一の共通的な電子計算プログラムとして共通算定モジュールを開発・提供する」方針だ。
加えて「デジタル化に対応するため診療報酬点数表におけるルールの簡素化・明確化を図り、これらのマスタ、モジュールとの連携を前提とした標準型電子カルテの提供により、医療機関のシステムを抜本的にモダンシステム化していく」と示している。
肝心な改定時期との関わりについては「これらの取り組みにより、医療機関等の負担軽減を図るとともに、診療報酬改定の施行時期について検討する」と記した。
自民党の厚生労働関係議員の1人は「24年度改定の時期をずらすような話にはならないだろう」との見方を示す。
一方で、厚労省幹部は「改定の時期について、過渡期にある中で『前倒し』は困難。検討材料になるとすれば『後ろ倒し』だろう」と語る。ただ「それこそ、検討の時間的制約だけでなく、予算や改定率などとも絡んでくる。それを踏まえて『施行時期について検討する』という書きぶりになっている」と解説する。
.