安倍晋三元首相の盟友で、保守派の論客として知られる衛藤晟一参院議員(元首相補佐官、元少子化相)が4月8日、自民党本部で二階俊博元幹事長と面会し、二階派(志帥会)を退会する意向を伝え、そのまま受理された。背景には、どのような事情があるのか。【本根優】
衛藤氏の退会で、二階派の所属人数は42人となる。自民党内の6派閥のうち、安倍派、茂木派、麻生派、岸田派に次ぐ第5派閥という順位に変わりはない。
しかし、岸田政権誕生と二階氏の幹事長降板により、その影響力は低下の一途を辿る。衛藤氏がなぜこのタイミングで二階派を離脱するのか。他派閥の関係者は「(二階派幹部の)武田(良太)さんとの折り合いが悪いからだろう」と推察する。
一方で、議員バッジを外してもなお元気な姿を見せる伊吹文明氏(元衆院議長)の言動とも、衛藤氏の退会はリンクしている。
二階派はもともとは伊吹派。伊吹氏は二階派の最高顧問を長く務め、現在でも自民党内に出入りし、強い影響力を持つ。
伊吹氏は4月14日の二階派例会で、岸田文雄首相や茂木敏充幹事長の年金問題への対応、さらには細田博之衆院議長の衆院定数是正「反対」に対して、舌鋒鋭く批判を繰り広げた。
党内では、反主流派が菅義偉前首相をトップに立て「菅勉強会」を発足させる準備が進んでいる。二階派の武田氏、麻生派を離脱した佐藤勉氏らのほか、すでに存在する菅グループのまとめ役である坂井学氏らに、森山派、旧石破派などの面々が加わり、総勢80人規模になるとの観測も出ている。
衛藤氏の二階派離脱、伊吹氏の首相ら批判は、「反岸田」で一大勢力が結集する兆候という見方もできる。