6月22日に行われる予定の日本医師会役員選挙をめぐって、すでに次期会長の行方は、注目点ではなくなっている。現職の松本吉郎氏(埼玉)が3月31日の日医臨時代議員会で正式に立候補を表明。全国からブロック単位での推薦を受けており、「当選確実」な情勢となっているためだ。 【本根優】
松本氏の陣営は、6月初旬に選挙対策事務所開きを都内で開催する予定。そこに都道府県医師会長らが集まり、松本陣営としての「キャビネット」が披露されるとみられる。
関係者によれば、副会長、常任理事は入れ替えが必至。まず、全日本病院協会会長と兼務し、中川俊男前日医会長の執行部から2期4年副会長を務めてきた猪口雄二氏(東京)が退く。
その代わりに、釜萢敏氏(群馬)の昇格が取り沙汰される。釜萢氏は、政治団体の「日本医師連盟」の組織内候補として、25年7月の参院選に出馬することが決まっている。仮に日医副会長に当選しても、任期途中に参院選を迎えることになるが、そのこと自体は過去にも例があり、問題にはならないという。
残る角田徹氏(東京)と茂松茂人氏(大阪)は続投する公算が大きい。
ただ、茂松氏は地元で火種を抱える。大阪府医師会長だった茂松氏が日医副会長に就く際、後を託したはずの高井康之氏(現大阪府医師会長)との関係が悪化。茂松氏が府医副会長の中尾正俊氏を担いただめ「高井氏対中尾氏」という構図で5月19日に選挙が行われる見込みだ。
その結果として、高井氏が勝利した場合、茂松氏は地元会長の支持が得られない苦しい立場に追い込まれる。ただ、多くの医師会関係者の見立ては、次期執行部の副会長は「茂松氏、角田氏、釜萢氏」というもの。これを前提とすると「病院を代表する副会長が不在」という別の問題も残る。過去十数年は、病院経営の立場で中川氏がおり、中川氏が会長を務め、松本氏に実権が移ってからも、猪口氏がいる体制だったからだ。
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