公明党は9月9日、同党の熊野正士参院議員(医師)のセクハラ疑惑を報じた週刊誌の発行元2社を相手取り、東京地裁へ提訴すると発表した。石井啓一幹事長が記者会見で明らかにした。【本根優】
もっとも熊野氏のセクハラそのものについて争うのではなく、山口那津男代表と北側一雄副代表がセクハラ行為の事実を隠して、熊野氏が再選を果たした参院選に臨んだとする部分が名誉毀損に当たるとして、損害賠償と謝罪記事の掲載を求めるというのが理由だ。
一方で、旧統一教会との関係をめぐって、自民党が所属する国会議員の半数近くで何らかの接点があったと公表したことについて、石井幹事長は、自民党は社会的に問題が指摘される団体との関係を断つよう徹底することが必要との認識を示した。
終わりの見えない旧統一教会問題で支持率を下げる自民党と、セクハラ疑惑に揺れる公明党。7月の参院選後、与党の不安定さが際立つ。
熊野氏は活躍が期待される医系議員のひとりだったが、疑惑を晴らすことができなければ「議員辞職」を余儀なくされそうだ。
公明党は7日に発出した文書で、熊野氏が知人女性にセクハラ行為をしたなどと複数の週刊誌で報じられたことに対し、「事実なら議員辞職を求める」とのコメントを出しているからだ。
公明党の医系議員と言えば、OBに初代厚生労働相の坂口力氏、惜しまれつつバッジを外した福島豊氏、厚労副大臣などを務めた渡辺孝男氏らがおり、現在も元厚労省医系技官の秋野公造氏がいる。
公明党によると、熊野氏は「入院中」で確認ができない状況だが「仮に事実であれば言語道断で、公明党議員としてあるまじき行為」と断じた。
クリーンなイメージが党のイメージを傷つける不祥事報道は、15日告示、25日投開票の代表選にも影響を与えかねない。来春の統一地方選に備え、支持母体の創価学会を含めて人気の高い山口氏の8選を求める意見と、山口氏の長期登板で人事刷新の機会を失い続けていることによる鬱憤が、入り混じっている状況だ。