記者会見での返答による事情説明では、全国の医師会関係者の理解が不十分と感じたのだろう。日本医師会の中川俊男会長が5月6日、都道府県医師会長に宛てて「リフィル処方に関する誤った報道について」との文書を送付した。【本根優】
“報道”がどの媒体のどの記事を指すかなどは明確にしていないが、「一部、中央社会保険医療協議会で、リフィル処方箋の導入を阻止してきたという報道があった」としつつ、中川氏はその点を否定している。
「前回(20年)改定まで、中医協では分割調剤についての議論を行っており、リフィル処方を論点とはしていません」と断じた。
それに続けて「22年度改定で導入されたリフィル処方について、日本医師会が診療報酬改定率と何らかの取引をしたような憶測に基づく情報もありますが、そのような事実も全くありません」と否定した。
こうした内容が、松原謙二副会長の「独自発信」に対する封じ込め策であることは明らか。松原氏は4月、現役副会長ながら、中川氏に反旗を翻すような発信を行い、波紋を広げた。その発信の中には、自身が中医協委員時代には「何度も拒否した項目」との主張や、「日医会長(中川氏)は表面上のプラス改定のためにリフィル処方を選んだ」との見方も含まれていた。
中川氏は4月27日の記者会見で、松原氏の発信に関して問われ「日医とは考えが違い、残念だ」などとコメントしていた。俄かに浮上した日医内の「閣内不一致」によって、全国の医師会がざわつく中、改めて松原発信の否定を、あえて文書で行ったことになる。
日医会長選挙を含む役員の選挙(6月25日)まで2ヵ月弱。前回、「中川政権」の誕生に力を尽くした関東の有力な医師会幹部はこんな見立てをする。
「次(の日医会長)は中川さんかもしれないし、そうでないかもしれない。中川さんだとしても、副会長3人(松原氏、今村聡氏、猪口雄二氏)のうち2人は違う顔ぶれになっている可能性が高い」