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次期改定に向け、「個別事項(その1)」で議論〔②医薬品〕 ── 9月18日の中医協総会

支払側委員_20190918中医協総会

 厚生労働省は9月18日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=田辺国昭・東大大学院法学政治学研究科教授)の総会を開き、2020年度診療報酬改定に向けて「個別事項(その1)について」と題する92ページの資料を示した。1は「リハビリテーション」、2は「医薬品の効率的かつ有効・安全な使用」という二本立てで、厚労省保険局医療課の森光敬子課長が約40分間にわたって説明したあと、90分間にわたる質疑に入った。リハビリは約30分、医薬品は約60分という時間配分だった。リハビリは既にお伝えした。本稿では、医薬品の質疑部分をご紹介したい。【新井裕充】
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 この日の中医協は、厚労省2階の講堂で総会のみが開かれた。総会の議題には薬価収載が挙がらず、薬価専門部会も開かれなかったため、会場には空席が目立った。

 総会の議題は「個別事項(その1)」で、秋以降の「第2ラウンド」がスタートした。厚労省の担当者によれば、前回が「第2ラウンド」のスタートだったようだが、前回は平成30年度改定後の算定状況等に関するデータが示され、それに対して追加資料の要求が出された程度で、具体的な議論には入っていない。

 ただ、前回の総会終盤に、かかりつけ医機能の評価に関する議論を支払側委員が勃発させた。支払側は今回、「かかりつけ薬剤師・薬局いじめ」という作戦で攻め込み、診療側の分断を狙う展開となった。「かかりつけ」とは、どういう意味なのか。「かかりつけ医」「かかりつけ歯科医」「かかりつけ薬剤師」の「かかりつけ」は全て同じ意味なのか、違うのか。まずは「かかりつけ薬剤師・薬局」の意味を問うことから切り込み、有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)を質問攻めにした。有澤委員に対する日本医師会の“援護射撃”はなかった。

松本吉郎委員(日本医師会常任理事)_20190918中医協総会

 今回ご紹介する質疑は、会議開始から約1時間が経過した午前11時8分から12時4分の閉会まで。前半の約30分間は、いつものように静かなスタート。診療側と支払側の委員が、あらかじめ用意してきた台本に基づいて意見を陳述した。「資料をそのまま読み上げた」と言ってもいい。

 ただ、今村聡委員(日本医師会副会長)だけは「台本なし」「ぶっつけ本番」なのかもしれない。城守国斗委員(日本医師会常任理事)の発言はなかった。そのため、文字起こしの作業が大幅に軽減された。

 やや盛り上がり始めたのは、やはり支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)の発言から。独特の話し方のせいなのか、会場の空気を一変させ、居眠りしている傍聴者をたたき起こすのは、もはや才能かもしれない。「けんか腰」とは、あえて言わないでおく。本稿では、幸野発言以降を「後半」としたい。

 幸野委員がしつこく質問したのは、重複投薬に関する論点について。厚労省が示した論点では、「服用薬剤の把握や処方薬の総合的な評価・調整が重要」とした上で、「連携について、評価する」としている。幸野委員はこの「連携」の意味などを細かく追及し、これに厚労省の森光課長が答えた。また、「退院時薬剤情報管理指導料」に関する答弁もあり、幸野委員の質疑は10分間近く続いた。

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60_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 この中で、お薬手帳の利活用について厚労省の担当者があまり期待をかけていないような発言もあった。「情報が非常に氾濫してしまう」と冷ややかな認識だが、確かにそうかもしれない。

 幸野委員の質疑後は、「かかりつけ薬局・薬剤師いじめ」とも思える発言などで約20分間にわたる応酬があった。“攻撃役”を担ったのは支払側の染谷絹代委員(静岡県島田市長)、応戦したのは厚労省の田宮憲一・薬剤管理官と有澤委員(日薬)の2人。そして最後に、患者を代表する立場の委員が締めくくりの発言をして閉会となった。

 染谷委員は冒頭、「どこの薬局でお薬をもらうかによって値段が違う」と指摘した上で、「一番高いのは、かかりつけ医でもらうこと」と発言。日本医師会との全面戦争に突入かと思いきや、矛先は急カーブして日本薬剤師会に向けられた。

 質疑の模様について、詳しくは以下のとおり。個別点数がどうなりそうかを知りたい人は前半だけでいいかもしれない。なお、「リハビリテーション」の質疑については、こちらをご覧いただきたい。
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20190918中医協総会

質疑(前半)── 松本吉郎委員(日本医師会常任理事)

〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 (前略) ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。

 では、2番目のアジェンダのほうに移ってまいりたいと思います。医薬品の使用に関わる部分でございます。ご意見、ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。では松本委員、お願いいたします。
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〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 はい、ありがとうございます。それでは、論点の60ページ目から述べさせていただきます。
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60_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 重複投薬につきましては、保険財政上の問題もありますけれども、何よりも患者さんの治療のために解消すべき重要な課題だと思います。

 ただ、その際に注意しなければならないのは、重複投薬の定義づけだと思います。「重複」とは同一成分のことであると考えますので、慎重な議論をお願いしたいと思います。

 その上でですが、論点にあるように、重複投薬の解消に向けた取組をさらに進める上では、服薬薬剤の把握や処方薬の総合的な評価、調整が重要です。

 これは、その情報を持っている保険者の取り組みに加えて、実際には、かかりつけ医を中心とした評価、調整が必要だと思いますので、事務局には具体的な方策をご検討いただきますようお願いしたいと思います。

 最近は、降圧剤でも、例えば作用機序の異なる複数成分を組み合わせた配合剤が増えており、服薬管理が非常に複雑になっています。同じ有効成分を含む薬が重複して処方され、調剤されることを防ぐためにも、地域包括診療料等で求められているように、医師による一元管理が重要であります。

 52ページから53ページのとおり、地域包括診療加算、診療料の届出と算定は少しずつ増えており、また54ページのように、院外処方のため、おおむね2薬局と連携しています。
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54_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 しかし、それでも少なくて、特定の薬局への患者さんへの誘引になりかねません。一元管理が望ましい患者が利用する薬局で、24時間体制などの態勢を取るなど、薬局も変わる必要があると考えております。

 続いて74ページ目の入院時のポリファーマシーについてですが。
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74_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 これも、まず定義の問題として、言葉の定義ですが、単に服用する薬剤数が多いことを示す「多剤処方」と、それに管理して有害事象のリスク増加や服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態を指す「ポリファーマシー」とは正確に区別して議論すべきことをお願いしたいと思います。

 その上で、現在のように出した剤数や減らした剤数に応じて評価するという手法は、これまでにも何回か述べておりますけれども、意味がないというふうに思います。

 そういった意味では、今回、論点で示された、減薬の結果だけでなく総合評価の取組自体について評価するという方向性については賛成いたします。

 医療機関から薬局だけでなく、医療機関から医療機関への情報共有が重要です。医薬・生活衛生局の「高齢者医薬品適正使用検討会」でも、そういった議論が行われており、まずは省内で適切な情報を共有していただきたいと思います。

 日本老年医学会が提唱した、特に慎重な投与を要する薬物リストに挙げられた医薬品の使用実態につきましては、日本医師会総合政策研究機構によるNDBの集計表を用いた調査も行われているとおり、単に数を数えるということ以上にですね、どの薬に注意すべきかを啓発していくことも重要な取組だと認識しております。

 最後、88ページ目のバイオ後続品についてですが。
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88_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 論点に示された患者さんへの情報提供や説明など、バイオ後続品の使用を促進する前提として、まずは、一番大事なのは医師への情報提供や安定供給の確保などの環境をまず整備することが最重要だというふうに考えております。これがないと、なかなかしっかりと普及していかないのではないかというふうに思います。以上です。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 はい、ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。では、有澤委員、お願いいたします。

質疑(前半)── 有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)

〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。まず最初にですね、先週の中医協総会においてですね、1号(支払)側の幸野委員からご指摘があった点について、少しお話をさせていただきます。

 「外来服薬支援料」、コマでいくと59コマにありますけども、あるいは「重複投薬・相互作用等防止加算」。
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59_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 こういった算定回数が5万9,000の、そのほかに「服用薬剤調整支援料」ですね。こういったものについては5万9,000の薬局に対して算定が少ないのではないかというふうなお話をされていましたが、これについてはですね、このグラフの推移を見ていただけるように、ある程度、要件が緩和をされてきたという結果からなっていることとですね、実際にこれは算定回数に基づいて数字が出ています。この算定回数に至らないまでも、努力している薬局がたくさんあるということを申し添えておきます。

 その上で、重複投薬に関する現状を踏まえた上でですね、45コマ目になりますけれども、「5箇所以上」行っていること。
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45_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 以前にも申し上げましたが、これは30年の資料になりますけども、「5箇所以上」行ってる方であってもですね、「2箇所」あるいは「1箇所」という形の薬局に絞り込んでいるという傾向が出ております。

 そういうことからですね、57コマ目にありますように、かかりつけ薬剤師の指導料の算定は、ほぼ横ばいになっておりますが、
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57_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 これについてはですね、先方、いわゆる患者側からの求めがあって初めて、署名があって算定要件にこぎつけるわけですので、このような理解を受けれるような形で、さらにかかりつけ機能を薬局としては提供していきたい、として考えております。

 そして、そういったことからですね、55コマ目に、患者に処方されている全ての医薬品あるいは患者が受診している全ての医療機関の把握と医師の負担軽減になるように、しっかりとですね、求めがあれば必要な情報提供を行って連携をしていきたいというふうに考えております。
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55_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 それから、入院時のポリファーマシーについてであります。
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73_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 73コマ目にありますが、当然、診療情報提供の中で、薬局に対する情報提供は全て在宅に移行時というふうに米印が付いております。

 実際には、ある程度重度であっても、在宅の薬剤の訪問指導にこぎつけない方はたくさんいらっしゃいますので、そういった需要等も十分勘案していただいた上でですね、やはり医療機関からの薬局への情報提供っていうのは、一定の評価をしていただければと思います。

 それから、バイオ後発品であります。
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87_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 バイオ後発品にあってはですね、うしろの87コマ目にあるように、バイオ医薬品の開発促進事業というのは、国を挙げて行われているわけですが、そういった中で、薬局に取り扱ってるバイオ後続品というのは、まだまだ少ないんですが、これから増えてくる中でですね、やはり薬局を起点にしてバイオ後発品に替えていくというよりは、やはり医療機関主体で替えていくことが、まず使用促進につながると考えています。

 そういった点から、特に医療機関の薬剤師はですね、審査報告書あるいは添付文書、情報等を収集して、薬事委員会においてですね、評価をするということを行い、さらに医療従事者の適正な理解、あるいは患者さんの理解、こういったものを求めつつ、バイオ後続品の使用につなげて医療費を削減するというふうな道があると思います。

 そういった点からもですね、バイオ後続品、適用等も違ったりもしますので、そういったものは医療機関の薬剤師が積極的に体制を整備をしていく中で、そういった後発医薬品の使用体制加算のようなものを、体制についての整備を評価していただけたらと思います。以上です。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。では平川委員、お願いいたします。

質疑(前半)── 平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)

〇平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)
 はい。最初に46枚目のスライドで、服薬状況の把握というのがイメージ図でございます。
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46_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 大変、【・・・】だと思いますけども、これ、どのくらいの取組実績があるのか、どのくらい普及しているのかっていうのを、まずお聞きしたいというふうに思ってます。

 それから、もう1つ、そういった中で、この服薬状況の把握っていうのは、誰が責任を持ってやるのかっていう、ちょっといまいち、ひとつよく分かっていない。主治医機能の1つとして主治医がやるというのもあるんでしょうけども、もしくはかかりつけ薬剤師がやるのか、もしくはここにあるような、46ページにあるような保険者が責任を持ってやるのか。

 そのへん、主体は一体、どこが今後、どういう方向で管理を、状況を把握していくのかというふうなところが、どうもよく見えてこないなというふうに思います。

 結局、どこの機関に対しても加算で対応しようと言ってますけども、今後、どういう方向で考えていけばいいのかというのを教えていただきたいと思います。

 たぶん、国保連合会や支払基金、それなりの情報がですね、集約されて、そこで分析すれば分かるような気がしますけども、そのへんの活用も今後どうしていくのかというのがちょっと見えませんので、少し教えていただきたいと思います。以上です。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、医療課長、お願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい。この重複投薬を防止するということについてはですね、それぞれの立場の方がですね、積極的に今まで関わってきていただいてると思います。

 おっしゃるのは、全体をまとめて誰が本当にやるのかということかと思いますけれども、基本的には、実は医師は患者さんから聞き取った情報やお薬手帳を確認をした、そこで分かる情報の中で最適の処方をされているというふうに思いますし、そこで重複が分かれば、そこで停止をされる。

 また、薬局は薬局で、同じようにお薬手帳、そして処方箋の内容を確認をして、分かるところに関しては、その中で聞き取れるものに関しては、それは対応されてる。

 また、保険者のほうでは、最終的に分かるレセプト、縦串なり、させてですね、重複が分かるものについてはお知らせのお手紙をしたり、保健婦の訪問というようなことをされてるというふうには思います。

 実際、全く効果がないのかというと、データでお示ししましたとおり、かなり効果を上げてる部分ではあると思いますが、そうはいっても、なかなか正直言えば、それほど人数が多くなくても、どうしても重なってらっしゃる方がいると。

 これについては、患者さんの例えば認知機能の問題があったり、お一人暮らしで、いろんな全てのことが1人で把握できないとか、いろんな背景がある部分は当然あると思います。そういうところに、どのように関わっていくのかということについては、基本的には、例えば私どもとしては、主治医の役割も非常に大きいと思いますし、あと、それを支える薬局の役割も非常に大きいと思います。

 先ほど、松本委員のほうからご指摘いただきましたので、どのような形で、この重複投薬を解消していくのかということについて、少し、私どもとしても、次の回でもご提案をさせていただきたいというふうに思っております。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では平川委員、お願いいたします。
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〇平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)
 すみません。なんとなく手工業的でですね、それぞれで全力で頑張れば、なんとかなるというふうに聞こえるんですけども、もうちょっと、一応、たぶん、やっぱり高齢者が対象といえば、やっぱり国保連データ、国保連の審査とですね、ちゃんと連携をして、ちゃんとそこでデータを整理をして、かかりつけ医でもいいですし、保険者でもいいですし、いろんなシステムとして少し考えていかないと、「それぞれの機関、頑張ってください。加算付けますから」と言うだけでは、なかなかちょっと、うまくいかないんじゃないかなというふうに思いました。

 特に保険者が頑張るといっても、横浜市みたいなですね、保険者もあれば、町村のようなですね、きめ細かい保健師の指導で対応できるというところもいろいろあるかと思いますけれども、そのへんもいろんなパターンがありますので、もう少し丁寧に考えていってもいいのではないかなというふうに思いました。

 それからもう1つ、減薬の関係ですけれども。
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74_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 74枚目の論点の所で、1つ目の丸で、「減薬の結果だけでなく、総合評価し調整する取組自体について、評価することを検討してはどうか」ということで、減薬の結果だけではなくて、減薬というのは当然、当たり前のことだというふうな認識で考えていいのかどうか。

 いやいやいや、今までのですね、例えばこれ、データ上でも6剤以上は、やっぱり少し問題があるんじゃないかという、そういうことに基づいてわれわれ、議論して、この減薬についての評価っていうのを重ねてきたわけでありますけれども、

 それは、そのへんのデータもすっかり関係なく、「総合評価」という方向に重きを置いていく考えなのか、それとも引き続き減薬というのを重視しつつ、その上で総合評価し、調整する取組を進めていくのか、そのへんのニュアンスについて教えていただきたいと思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では医療課長、お願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい。そこの表現の詳しい、詳細ということでございますけれども、基本的には、今、資料の中でお示ししましたように、入院中における減薬というかポリファーマシーに対しての対策というのは、先ほどご説明しましたとおり、患者をですね、スクリーニングして、1つひとつ、その患者の状況を確認をし、そして処方提案をし、そしてまた確認をするというような、そういうプロセスを踏んで、そして最終的に処方変更になる方もいれば、処方の数が減るという方もいらっしゃいます。

 実際、今の評価というのは処方が減るというところ、最終的な本当の、【・・・】で議論していただきました、本当に最終的な成果としての2剤減というところを評価をするということで、今まで来たかと思います。

 今回、示した、「総合評価をし、調整する取組を」ということの意味でございますが、そのような手前のですね、病院の中で各職種チームをつくり、そして体制を、そのようなスクリーニングの体制をとるといったような「体制」の部分についても評価をしてはどうかというご提案でございます。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 よろしゅうございますか。では、松本委員、お願いいたします。
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〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 先ほど、平川委員がおっしゃったことに関してですけども、先ほども申し述べましたけども、保険者の取組に加えて、最後は、実際にはですね、かかりつけ医、もしくは現場がやっぱりやらないと、例えば2つの薬が出されたうち、両方いっぺんにやめられたら困るわけですので、そういった調整はですね、最後は現場に委ねていただかないと、できないんですね。

 「手工業的」という表現が正しいかどうか、ちょっと思いましたけど、それはちょっとどうかなと。最後は現場に委ねていかないと、最終的にはできないことだとご理解いただきたいと思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、今村委員、お願いいたします。

質疑(前半)── 今村聡委員(日本医師会副会長)

〇今村聡委員(日本医師会副会長)
 はい、ありがとうございます。今、松本委員が申し上げたことに重複するかもしれませんけれど、保険者が分かるデータというのは、あとの事後のデータですよね。われわれがやってることは、その瞬間に、その患者さんにどういうお薬を出すか。

 ですから、その瞬間に、いわゆる医療機関から相互作用のあるような薬が出ていないかどうか、重複投薬をしていないかどうかということを、その場で瞬間的に判断しなくてはいけないので、そういった意味では、やっぱり保険者がやる役割と医療機関あるいは薬局がやる役割は、これは明確に違っているというふうにご理解をいただければと思います。

 それから、数を減らすことが大事なのか、そうでないのかっていうお話ありましたけど、やっぱりあくまでもお薬の弊害が出ているかどうかっていうことが大事だと思います。

 例えば、入院されたときに数が変わらなくても、降圧薬を替えることによって、ある薬は腎機能に影響が出るので、この薬からこの薬に変更しますとか、あるいはそういったいろんなお薬、例えば胃潰瘍のお薬であってもですね、こういう薬を使うと認知機能に影響するので、こちらのプロトンポンプインヒビターに替えますというようなことを、病院の中では分析をして、そしてかかりつけ医のほうに、こういう、先生が出していたお薬については、こういう問題があるということをわれわれ考えたので、このように変更しましたと。退院後は、ぜひこの処方を継続してくださいというような情報提供がされてくるというのが、今の現状だと思います。

 その際に、松本委員からもおっしゃったように、医療連携ということで、今、病院側はそこが情報提供されることで評価されていると。われわれは、じゃあ1カ月間、その処方を続けたことによって、従来、入院前の状態と、どう変わったかっていうのを確認をしているわけですけれども、そのことを病院側に、いわゆる医療連携として返送する、情報提供を戻すということに関する評価というのはないのでですね、そういった医療機関同士の連携については、ぜひ評価をしていただきたいなというふうに思っております。

 ちょっと私のほうに今、当てていただいたんで、併せて申し上げたいことが幾つかありまして。

 例えば、今、一般名処方というのは非常に普及してきていて、いわゆる、それが後発医薬品の、いわゆる使用率向上につながっていると思いますけれども、他院から出ているお薬が、お薬手帳を見るとですね、いわゆる後発品名で書かれているわけですけれども、われわれ、長年ですね、やっぱり先発品というものに慣れていてですね、膨大な後発品の名称っていうものを全て頭の中に入れてるわけではありません。

 従ってですね、複数の医療機関にかかっておられる方が来られたときにですね、そのお薬が、いわゆる相互作用が自分の出しているお薬と合うのかどうかであるとか、あるいは重複してないかどうかっていう確認をですね、結構手間をかけて、薬局にお問い合わせをしたりしております。

 ぜひともですね、お薬手帳の中の薬品名の記載についてはですね、もう少し工夫をしていただいて、そういった手間がですね、あんまり発生しないようにしていただければというふうに思っています。

 それから、もう1点はですね、これも松本委員もおっしゃったし、今回のポリファーマシー解消の中で2種類以上の減薬ということで、こういった数をただ減らすということは見直そうということですけれども、もともと起点が今、6種類以上使っているということを前提にしているわけです。

 平川委員からもお話あったように、やっぱり数減らすことも大事じゃないかという意見もありましたけれども、6種類以下でも有害事象というのは発生しているというのがデータとして出ています。

 従ってですね、起点を問題にするのではなくて、結果として有害事象を減らせたっていう、1剤減らしたことによって減らせましたっていうことがあるのであればですね、数ではなくて、有害事象を減らしたということを評価していただくということが重要じゃないかなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、平川委員、お願いいたします。
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〇平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)
 はい、ありがとうございます。大変よく分かりましたが、それであれば、この【・・・】のポリファーマシーの減薬に対しての1つの基準として、6種類以上の投薬で有害事象の発生増加に関連したデータというのは、これを前提にして話をされておりましたので、より多様なですね、データを用いて議論をしていかないと……、そういう必要があるんじゃないかと思います。

 診療報酬上、どう評価するかという観点でありますので、そういうふうな、いろんな切り口あるかと思いますけども、今後の議論に資するようなものが必要なんじゃないかなというふうに思いました。

 あと、もう1つ。確かに処方するときは、今日、どういうふうな処方をするかということはあるかと思いますが、やはり長期的に見ても、やっぱりデータを集積して、それによってどういうふうな処方が必要なのか、もしくは、何て言うかな、もうちょっと、お薬手帳ということだけに頼ったり、手書きで頼ったりですね、そういうことじゃなくて、もうちょっと、それぞれのかかりつけ医だったり、かかりつけ薬局・薬剤師であったり、保険者であったり、そのへんの役割っていうのをもう少し整理して、やっていく必要があるんじゃないかなと思う。

 印象としては、やっぱり、「それぞれの機関がみんなで頑張ってやりましょう」ということでしか見えないので、システムとして考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思いました。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、吉森委員、お願いいたします。

質疑(前半)── 吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)

〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
 はい、ありがとうございます。まず60ページですけれども、先ほど来、減薬の役割分担というお話が出てました。
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60_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 この丸の1番目にありますけど、われわれ保険者の立場から言いますと、事後のレセプトをきちっと分析して、同じような症状の中で多種類の薬品が使われている。そういうものを整理して見える化して、これに対して薬局ならびに医療機関と連携して、こういうのを患者さんにどういうふうに提案していくかというようなことは取り組んでいるということはご理解をいただければいいと思いますし、役割分担としては、そのへんをきっちりやっていくということなんだろうと思います。

 それを踏まえて、ちょっと意見でございますけれども、この2つ目の丸のお薬手帳についてでございますけれども、この49ページとか55ページにこう、示されてますけども、
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49_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 特に医療機関においてお薬手帳の活用状況が低調である、25%。医師が、さらには55ページですね。全ての受診医療機関や医薬品を把握することが大きな負担になっている。こういうこと。
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55_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 また、50ページにあるように、お薬手帳の留意点といいますか、活用の留意点等々が示されていることになる。
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50_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 こういうことを踏まえますと、やはり重複投薬の防止にお薬手帳の利活用を1つの柱というふうに考えるならば、先ほど、今村先生からもありましたけど、いま一度、お薬手帳の在り方の議論、これをしっかりする必要があるんじゃないかというふうに思います。

 また、これはちょっと、中長期的な視点で申し上げれば、平川委員からもありましたけれども、服用薬剤の把握、処方薬の総合的な評価・調整の円滑な対応・連携の評価、これを検討する方向は当然、理解をしておりますけれども、現行のようなアナログ的な対応方法で医療機関、薬局間の連携を強化していく。これは一定の限界がある、これは事実だろうと思います。手間ならびに精度を含めれば、そういうことだと思います。

 私の今の現状の理解では、実効性はちょっと別にしますと、再来年、2021年の3月には、マイナンバーカードの保険証利用がスタートするということになっておりますし、また、この仕組みを利用して、同じく2021年の10月には、医療機関、薬局においてオンラインでの患者の投薬状況などを確認できるような方向で検討を進めてるというふうに認識をしております。

 こういうことを踏まえ、また一方で地域包括診療料等でも、その算定要件として、他の医療機関との連携、通院医療機関や処方薬、全て管理するというのは要件化をされておりますわけですけれども、こういう要件も併せて、適切な投薬管理、医療機関の負担軽減、

 こういう観点から、やはり将来的には、こういうようなオンラインによる投薬状況等の確認を要件化していくということは、ぜひ進めていくべきでありますし、効果的かつ確実に確認できる体制、こういうものがやはり評価すべきだというふうに思っております。これは重複投薬でございますけれども。

 次に74ページのポリファーマシーの1つ目の論点でございますけれども。
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74_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

、「減薬の結果」でなくて、「総合評価し、調整する取組自体」について評価をすることを検討するというご提案ですけれども、これは先ほど来、ありますけれども、減薬の数、アウトカムだけではなくて、やはりそのプロセス、これを評価するということの提案だと思いますけれども。

 やはり、プロセスを評価していくのであれば、どのようなプロセスを経ると、どのようなアウトカムが得られやすいのかということは、やはり客観的なデータを出していただいて、それに基づいて議論をしていく必要があるんじゃないかなあというふうに考えますし、入院時のポリファーマシーへの取組において、ここに一例として病院の取組事例等が掲載していただいておりますけれども。

 高齢者が多く加入する国保、広域連合等では、さまざまな取組も実際、医療機関と連携してなされているというふうには承知してますので、可能であれば、そのような取組で得られた分析データなどの知見があれば、ぜひ、ここの場に出していただいて議論していくというと、議論が深まるんじゃないかというふうに思っております。

 また、この74ページの2つ目の丸の論点ですけれども、
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74_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 これは非常に重要な視点だと理解はしておりますけれども、やはり診療報酬上の評価を行う前に、薬局に直接、その情報を提供する、情報共有の考え方、その概念とか体制、これについての整理がまずは先決じゃないかというふうに思っておりますし、

 方法論として、もしお薬手帳等を活用するんであれば、先ほど申し上げたとおりでございますので、お薬手帳の機能をどういうふうにするか、十分に議論をする必要があるんじゃないかというふうに思います。

 最後に、バイオ後続品でございますけれども、88ページですか。
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88_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 このバイオ医薬品は、当然、その間、難治性の疾患には効果が高いということでありますし、そのバイオ医薬品の後続品であるバイオ後続品を安定(的)に供給していくこと、これについては患者にとっても、医療費を抑制する上でも、非常に重要なことだというふうに考えております。

 一方で、バイオ医薬品や後続品は低分子の化学合成品とは違いまして、高分子かつ複雑な構造をした医薬品であるということでありますから、ジェネリック医薬品以上にですね、その品質、安全性、有効性について、患者サイドへの丁寧な説明、理解を得る、こういうことが重要だと考えております。

 バイオ医薬品や後続品の特性について、当然、患者はもとより、医療従事者の中でも、まだまだ十分にその知識、認知度、理解が促進されているというふうには言えない状況だというのも、このいろいろな資料から分かるところであります。

 そういう意味では、この88ページの論点でございますけれども、やはりバイオ後続品について誤った理解が広まってしまうということは本末転倒だと思いますので、

 例えば厚労省が開催している講習会等を受けている医療従事者が一定存在するなどの人材育成と、その体制整備、これがまずは先決であり、バイオ医薬品や後続品の正確な知識、その理解について患者、国民に対して医療サイドが説明責任を果たすための在り方、方策、そういうものを評価していく方向で検討すべきだというふうに思います。以上です。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ありがとうございました。では幸野委員、お願いいたします。

質疑(後半)── 幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)

〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。論点に沿って、ちょっと確認しながら意見を申し上げたいんですが、まず60ページの論点の意味なんですが、
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60_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 最後から2行目の「連携」、「これらを円滑に行うための対応や連携について、評価することを検討してはどうか」ということなんですが、これは誰を評価するという想定で書かれているんでしょう?
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では医療課長、よろしくお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 これについてはですね、重複投薬、先ほど平川委員、それから吉森委員からもお話ありましたけれども、この重複投薬についてシステマティックに、いわゆる連携して、 きちっとそれぞれの役割を定めて進めていくことが必要だろうというふうに思います。

 そうした場合に、それぞれの役割をどのように果たすのかということが当然必要になりますし、その役割を果たすんであれば、それに見合う評価をするということで書かせていただいております。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では幸野委員、お願いいたします。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。薬局・薬剤師には、連携するために「重複投薬・相互作用防止加算」とか平成30年度に新設された「服用薬剤調整支援料」という評価が既にされていると思うんですが、

 この書き方を見ると、「医療機関が協力した場合は、この医療機関に対しても評価をする」というふうに読めるんですが、そういうこともあり得るということなんですか?
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では医療課長、よろしくお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい。薬局、それから医療機関、それから先ほど言いました保険者、それぞれの役割、整理をさせていただきたいと思います。

 その上で、それぞれのやるべきことが今の、例えば今の加算で同じように評価するべきものなのか、それとも新しくつくるべきものなのか、それをご議論いただきたいというふうに思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、どうぞ。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい、分かりました。薬局・薬剤師に対しては、かなり今まで追い風が吹いてきて、こういった評価が付いてきたと思うんですが。

 先ほど、有澤委員(日本薬剤師会常務理事)は薬局は頑張って、これ、一生懸命対応しているっていうふうにおっしゃったんですが、われわれ保険者とかから見ると、まだまだ薬局が医療機関に対する減薬とか重複投薬に対する働きかけが少ないんじゃないかというふうに思ってまして。

 薬局は「薬剤服用歴管理(指導)料」という点数を持っている中で、いろんな算定要件が付いているんですが、こういった中で、やはり薬剤師は調剤だけが業務じゃないんで、薬剤師の本来業務っていうのは調剤後にこういった減薬とか重複投薬を医師にちゃんと報告して対応するっていうのが、この管理料の本質だと思うんで。

 まずは、こういった周り、医療機関とか保険者とかに付ける前に、ちゃんとした服用歴管理料の中で薬局がしっかりやっていただきたいというところです。

 特に今回、薬機法(医薬品医療機器等法)が臨時国会等で通ると、この中には調剤時だけではなくて服用期間中に管理するということも要件化されるということもありますので、周りに評価を付ける前に薬局・薬剤師がきちっと本来業務をやるということをしっかりやるということが必要じゃないかと思いますので、これはちょっと時期尚早ではないかということを意見として申し上げさせていただきます。

 外来服薬支援料も頑張っているっていうふうにおっしゃいましたけど、5万9,000いる薬局がこれによりますと7,000、8,000近くやられているんですが、これ、単純に計算すると8軒に1軒ぐらいの薬局しか取り組んでないと。

 これで果たして薬局の機能を果たしてるのかっていう、ちょっと、われわれにとっては疑問が残るところでありますので、一義的には、例えば、薬剤服用歴管理料の中に、「医療機関に情報を提供すること」というのを要件として入れたりですね、そういったことを考えて、もっと薬局の本来業務というのをきっちりとやるという方向に持っていくべきで、周りの環境をつくるというのは、そのあとの議論じゃないかというふうに思います。重複投薬については以上です。

 あと、74ページの入院時のポリファーマシーも考え方としては分かるんですが、ちょっと具体的に先走って、「取組自体」を「評価する」というのが、ちょっとイメージがわかないんですが。
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74_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 取組をやってたら、その病院に対して、例えば体制加算を付けるという、そういうイメージでしょうか?
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では医療課長、お願いいたします。
.
〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 やり方はいろいろあるとは思いますけども、先ほど吉森委員がおっしゃったようにアウトカムだけではなく、そのプロセスの部分を評価するということで考えていただきます。

 「体制」という言い方もありますし、「こういう体制であれば、こういう加算」というやり方もありますでしょうし、「こういうチームで関わった」といった場合に取れるといったようなやり方もあるでしょうし、いろんな診療報酬上のやり方があると思いますが、基本的な考え方としては先ほど言ったように、結果である部分だけではなく、その手前の部分、そういう取組について評価を、プロセスのほうを評価をしていただきたい、ということでございます。
.
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 はい。ということは、プロセスに対して評価するっていうことは、その評価が付いた病院は全ての患者に対して取れるということになるんでしょうか。それとも結果を出した患者に対して取れるということ?
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では医療課長、お願いいたします。
.
〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 それは、どのような評価にするかということは多少ある意味、ここでご議論いただきたいと思いますが、「全ての患者に対して」というやり方もありますが、

 例えば、「一定のこういう患者像」を示した上で、「こういう患者さんに対して行ったとき」という、「変わったとき」という算定のやり方もあるかと思います。いろんな評価の仕組みがございます。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 分かりました。じゃあ、そのところはこれからの議論ということで理解いたします。

 あともう1つ目の「退院時薬剤情報管理(指導)料」について、「薬局への情報がない」ということなんですけど、これは他院時薬剤情報管理料の算定要件の中に、これ、患者とか家族に知らせるだけじゃなくて、「これを薬局に持っていけ」というふうなことを算定要件に入れることで足りるんじゃないかと思うんですが、違いますか?
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では医療課長、お願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい、「どの算定の要件に入れるか」というところもちょっとあるかと思いますけれども、今は、いわゆる評価をしているものがないということでございます。

 それで、ですので、退院時に今、例えばいろいろ情報提供している先ごとに、「情報提供すれば評価できる」という形になっていますが、薬局に対してそれがありませんので、今、ある意味、やってもそれは評価されていないという状況だということでございます。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では薬剤管理官、補足をお願いいたします。
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〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
 はい。今の幸野医院からのご指摘の点でございますけれども、「退院時薬剤情報管理指導料」につきましては73コマ目にございますとおり、
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73_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 入院中に使用した主な薬剤の名称等につきましてですね、患者の手帳に記載した上で退院後の薬剤の服用に関する必要な指導を行った場合に算定するといった形になってございます。

 一方、今回ご議論いただいておりますのは、例えば72コマ目にございますとおり、これは国立長寿医療(研究)センターの「退院時薬物情報サマリー」の例でございますけれども、
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72_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 入院中にですね、薬剤について中止して、そのあと、経過も良好であったといったような形で入院時のポリファーマシーの解消に向けてですね、医療機関内で多職種連携で取り組んで、そのあと、どういう理由で、これは薬剤を中止して、しかもその経過も良好であったかということも含めてですね、

 そういった情報をしっかりと退院した際に外来の診療の主治医、それからあとは薬局のほうにも情報提供することで、入院中に行なったポリファーマシーの取組がですね、そのまま外来に移行してもしっかりと医師と薬剤師が連携して取り組むことができるようにといった形で、その情報提供について今回議論をしているということでございます。

 吉森委員からもちょっと、いろいろとご指摘がございましたけれども、お薬手帳というのが1つ、ツールとしては考えられるところではございますけれども、一方、お薬手帳というのはですね、当然、医療機関、薬局との間の情報の共有という意味で、もちろん重要な役割でございますけども、

 一方、患者自身がですね、自分の服用している医薬品について把握するとともに、その薬の使い方を理解するなど、医薬品に関する意識を高めるといった役割もございますので、例えば、少なくとも退院時の薬剤情報サマリーのようなものですね、非常に膨大な量のものも含めてですね、お薬手帳に全部情報を入れるということがですね、果たして現実的に患者の理解度の点、あるいはお薬手帳がですね、すぐこう、情報が非常に氾濫してしまうとかですね、そういった観点からお薬手帳の本来の趣旨を考えた場合にですね、適切なのかといった点については議論が必要なのかな、検討が必要なのではないかなというふうに思っておりますし、

 また、患者のアドヒアランス不良などについての情報提供などに関して言いますとですね、例えば「直接、患者さんを通して」というよりは、「直接、医療機関と薬局がやり取りをする」というようなことも、(そのように)することが適切な場合もありうるかと思いますので、そういったことも含めて検討が必要なのではないかなというふうに思っております。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 はい、今村委員、お願いいたします。
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〇今村聡委員(日本医師会副会長)
 ありがとうございます。先ほど、吉森委員からもございましたし、いろんなやり取りでポリファーマシー、入院時のポリファーマシーで、総合調整の、いわゆる取組についての評価について「一定の、こういうエビデンスに基づいた議論が必要だ」っていうご指摘があったかと思います。

 数であれば、例えば、7が5になったといったら、単純にそれ、分かるわけですけれども、私、先ほど例に挙げさせていただいたような、例えば、お薬を変更すると。降圧薬を変更しましたと。これは腎機能を保護するためにやります。今、国も重症化予防でですね、糖尿病性の、例えば腎症予防ということが大変、大きなテーマになっているので、これって種類を変えることそのものに相当、意味がある。

 あるいは、認知症の患者さんが非常に増えてきているわけですから、その認知機能をより落とさないようなお薬を使うというような変更というのも、ものすごくインパクトとして大きな意味があるわけですけど、それをなかなかですね、今の現状で調査するっていうことは多分難しいんじゃないかなというふうに思います。変更がされていたとしても、なぜ 変更したかという理由まで分かるわけではありませんので。

 それで今、そういう研究レベルでですね、何か、「そういったお薬を変更する」と、「こういう目的で変更すると、このようにいい」って、多分、長寿医療センターの、先ほどお話があったと思うんですけれども、

 何らかのですね、そういった今の研究で分かっていることなどもですね、ぜひ出していただければ議論できるんじゃないかなというふうに思いますので、事務局にはちょっとお願いをしたいと思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では染谷委員、お願いいたします。

質疑(後半)── 染谷絹代委員(静岡県島田市長)

〇染谷絹代委員(静岡県島田市長)
 57コマ目のかかりつけ薬剤師の指導料の算定状況という所で、処方箋の枚数の1.5パーセントにしか相当していない。
.
57_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 「なぜ、かかりつけ薬局は浸透しないのか」というところについてですね、私はやはり議論が必要なのかなと思っていまして。

 患者さんはよく分かっていらっしゃらないかもしれないけど、同じ薬をもらうんでも、どこでもらうかで金額が違うんですよね。たぶん一番安いのは院内処方で、そしてそのあとは例えば門前薬局で、一番高いのは、かかりつけ医でもらうことです。この指導料が入るからですよね。

 で、そのことを了解しないとサインを頂けないわけで、「いや、毎回350円、400円って加算がされたら、いやあ、いいよ」って、やっぱり利用する側は思ってしまいます。そういうところに一番、このかかりつけ薬局……、まあ、本当はいいシステムのはずなのに浸透しない理由がどこにあるのかという……

 ここの場っていうのは、現実的な現場でどういうことが起こっているのかっていうことですね、もっと利用者の立場からも議論しなきゃいけないなと思っています。

 コンビニよりも数が多くなっている、この薬局についてですね、今のまんまのやり方だと、かかりつけ薬剤師も増えていかないし、その淘汰も起こってきますし、それからドラッグストアのような大きな調剤する場所も増えてきてですね、まさに戦国時代のような状況になっている中で、

 利用する患者さんにとってどういうやり方が一番、何て言うか、利便性もあり、かつ、また医薬品についても安く手に入れることができるのかというところについてですね、そういうことの議論をね、まあ、難しい議論もいっぱいされていて、私はたまにしか来ないもんですから、よく分からないことが多いんです。

 だけれども、現場がどうなっているかということについてですね、常に意識を持って議論をすべきだと思いますし、このかかりつけ薬剤師がこれほど浸透しないことの理由はどういうふうに捉えておられるのか、そこをちょっと聞かせていただけますか?
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では薬剤管理官、お願いいたします。

質疑(後半)── 厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官

〇厚労省保険局医療課・田宮憲一薬剤管理官
 はい。おそらく有澤委員からもご発言があろうかと思いますけれども(苦笑)。

 かかりつけ薬剤指導料の算定状況という、算定薬局数、実際に届け出をしている薬局数で見ますと、実際は5万9,000の薬局のうち算定薬局数が2万4,000ぐらいはございますので、半分ぐらいはそういったかかりつけ薬剤指導料の算定要件を満たしている、届出がされていることになります。

 また、かかりつけ薬剤師指導料も全ての薬剤師が算定できるわけではなくてですね、実際には要件、56コマ目にございますけれども、
.
56_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 「保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験がある」とか、当該薬局においてですね、「1年以上在籍している」薬剤師であるとか、それから適切な「研修認定制度等」を利用していることとか、そういった一定の資質を満たした方が算定するという形になってございますし、

 また染谷委員からもご指摘がありましたとおり、しっかりと算定するにあたっては、かかりつけ薬剤師というものがどういう役割を果たすのか、例えばいろいろ、「お薬の整理もする」とか、「いつでも薬の相談に乗りますよ」とか、そういうこともご説明をして、さらに当該患者さんからも、「どういうことについて薬剤師にいろいろ相談したりお願いをしたいか」ということも確認した上でですね、それで同意書に署名していただいた上で算定する形で、かなり厳格になっているというところもございます。

 ですので、診療報酬上の算定要件ですので、そこはしっかり厳格にやっておりますけれども、ただ地域におけるですね、地域住民に対していろいろ、さまざまな健康相談も含めてですね、(相談に)乗っている薬剤師さんというのは中には当然いらっしゃいますし、

 その場合に、算定要件というかですね、そういう形の患者さんとの関係の中でですね、算定をしていないというようなことも多々あろうかと思いますので、少なくとも診療報酬上はしっかりと要件を定めてやっていると。

 ただ、おっしゃるとおり、そういった形で地域住民、その患者さんの、来局者の理解を得られる形でですね、しかもその期待に応えられるようなサービスをしっかり提供できるような、そういった薬剤師・薬局を増やしていかなければいけないというのは、そのとおりかというふうに思っております。
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、染谷委員。
.
〇染谷絹代委員(静岡県島田市長)
 国民はですね、十分にこの制度のメリット、デメリットを理解しているところまでいっていないのではないかと思います。

 例えば、かかりつけ薬剤師になっていただいてもですね、その方が異動があったり、あるいは産休に入ったりしたら、「かかりつけ薬剤師」ではなくなるわけですよね。

 そういうようなことも含めてですね、細かな、国民一人ひとりが病院を受診して、お薬を頂く。一人ひとりがですね、このメリットやデメリットや、薬に対してさまざまな、同じ錠剤でも、もらう場所が違ったら金額も違ってしまうというような実態について知らされていないし、

 賢く使おうと思う人はですね、やっぱりできるだけ安くお薬を手に入れたいと思うでしょうし、こういった啓発、啓蒙というところにも力を入れていただきたいというふうに思います。
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、有澤委員。

質疑(後半)── 有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)

〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 はい、ありがとうございます。かかりつけ薬剤師についてはですね、利用者目線からすれば値段は安いほうがそれに越したことはないと思います。

 ただですね、それは単に今、薬局ビジョンの中で薬剤師がやはり対人業務にシフトしていく中で、当然、かかりつけ薬剤師の同意に関してはですね、初めて来た人でもらうわけではなくて何回かのお付き合いの中で、かつ転勤だとかそういうさまざまな事情はあるけれども、当然そういう時が起きればですね、代わりに引き継ぐ人をしっかりと紹介していく、そういったようなきめ細かな対応ができるっていう人がかえって利用者の方から選んでいただけるというふうに認識してます。

 ですから、そういう点ではきめ細やかに、ずーっと何回かの来局時にやはり信頼してもらえる環境をつくった上でのものだということなので、値段のことも含めてですね、当然、お話をして理解していただいた上で署名を頂いて、最終的にはかかりつけ薬剤と。

 ただですね、こういう算定のいかんを問わず、やはり普段のお付き合いの中で、かかりつけ薬剤師機能はしっかりと提供していくということは今、実践させているところでありますし、これからこれを広げていった上でですね、当然、算定まで、要件まで達することがベストだろうというふうには考えています。
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では染谷委員、お願いいたします。
.
〇染谷絹代委員(静岡県島田市長)
 はい。私も制度としては素晴らしい制度だと思っているんです。ただ、現場ではですね、普通はお医者さん、内科の先生にかかると、そのお医者さんを出た所に薬局があってですね、そこでお医者さんで処方されたものはその薬局で薬をもらい、また皮膚科に行くとですね、皮膚科の前にも薬局があってですね、そこで薬をもらっているっていうのが現状なんですね。

 かかりつけ医っていうのは自分の住んでいる所の身近な所や自分が行きやすい所で、どこの病院にかかってもそこで処方を頂くから、いろいろな意味で薬が重複していないかとか、出る薬の中身とかを薬剤師さんが見てくださって、必要なら医師に連絡をしていただけるっていう制度だと思っているんですが、

 薬局の配置と言いますか、いわゆる各医院の前に薬局があるような現実がたくさんあるというかですね、「かかりつけ薬局」って決めていくこと自体が難しいような気がするんですが、そこはどんなふうにお考えですか?
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では有澤委員、お願いいたします
.
〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 まあ、薬局があるわけですから、病院の隣で、例えば内科の隣にあって、皮膚科にあっても内科さんの薬局が気に入れば皮膚科の処方箋も合わせてそこを使う。まあ、薬局がある……、

 なければ別ですよ。その地域に一軒しかないといえば話は別ですが、少なくとも選択ができる余地の中で隣にある薬局だろうが、その隣にある薬局を一本に、まあ、一元化して利用していくっていうことも、使っていただければそれで十分だと思っています。
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では、間宮委員。

質疑(後半)── 間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)

〇間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 はい、ありがとうございます。重複投薬もポリファーマシーの件も、やっぱり情報の管理なんじゃないかなというふうに思うんですよね。

 その中で、お薬手帳の活用ということを言われてますけれども、お薬手帳って、薬だけの情報があるのみで、しかも活用という意味ではこの49ページで見るように、
.
49_【中医協総会】個別事項(その1)_20190918

 薬局では見せるけれども医療機関では見せないことが多いということなわけで、それだとやっぱり活用しているとはやっぱり言えないわけで。

 先ほど来、「お薬手帳の見直しも必要なんではないか」というお話もありましたけれども、自身のことで言えばですね、お薬手帳自体は持っていなくてノートを利用していて、そこに受け取ったシールなんかを貼りますし、検査結果なんかもそこに全部貼ってですね、お医者さんとディスカッションしたことについてもそこに記入していくということをやっていけばですね、お薬手帳という性格のものではなくて、診療ノートみたいな形で自分の診療に関する全てのデータがそこに……、

 全て、全部とは言いませんよ。全部とは言いませんけれども、ほとんどのデータがそこに記録されるわけですね。それを受診時にそのままお医者さんに渡すとですね、それを見て検査の結果とかそういったものも見ていただけますし、「ほかの病院でこういう薬が処方されてるんですね」ということも確認していただけるわけですね。

 そういう意味ではですね、お薬手帳の今の記載だけではやっぱり不十分かなと思いますんで、やっぱり医療機関からのデータですね。

 さっきのポリファーマシーに関しても、退院時の情報っていうのはもちろん膨大なデータを全部乗せるっていうのはあまりよろしくはないかもしれませんけれども、ポリファーマシーの件で言えば、「この薬を減薬しましたよ」というだけの情報であればそれは載せられるわけで、そういうものっていうのを、そういう情報をそういう診療ノートみたいなものにね、記載しておくっていうことが大事なんじゃないかなというふうに思いますので、お薬手帳の利活用というものはですね、もっと広い視点でですね、考えていく必要があるのかなっていうふうに思います。以上です。
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。

 では、ほかにご質問等もないようでございますので、本件に関わる質疑はこのあたりとしたいと存じます。本日の議題は以上でございます。

 なお、次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。それでは本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもご参集ありがとうございました。

 (散会)

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