厚生労働省保険局医療課は5月27日、中医協の薬価専門部会と総会を開催した後、報道関係者を対象とした説明会(記者ブリーフィング)を約20分間にわたり、Skypeによるオンライン形式で開催した。記者の質問はチャットで受け付け、これに厚労省の担当者が答えた。(新井裕充)
詳しくは以下のとおり。
〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
すみません、大変お待たせして申し訳ございませんでした。
ただいまから、中央社会保険医療協議会のブリーフィングを始めさせていただきたいと思います。
ちょっと調整に手間取って時間が掛かってしまったこと、申し訳ございません。
それでは始めさせていただきます。本日、午前中に中央社会保険医療協議会の薬価専門部会と総会が開催されました。
10時から10時45分ぐらいに薬価専門部会、その後、11時45分ぐらいまで総会という流れでした。
開催は、オンラインで開催しております。YouTube のほうで概要のほうは(ライブで)流しておりますので、そちらを見ていただいた前提で質問等をお受けしていきたいと思います。
まず専門部会についてですが、「部会長の選任について」と、「令和2年度医薬品価格調査について」を議題といたしました。
部会長の選任については、小塩会長に代わられてから初めての薬価専門部会でしたので、改めまして部会長と部会長代表を選任にすることとしております。
で、中村委員が部会長、秋山委員が部会長代理ということで決定いたしました。
その後、令和2年度医薬品価格調査について議論を行ったところですが、まず、令和2年度医薬品価格調査について、ご質問等ありましたら、お受けしたいと思います。いかがでしょうか。
はい、じほうの大浜さんから、「業界ヒアリングについて、実施日と、当日出席する団体を教えてください」というご質問を頂いております。
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〇柳沼宏氏(保険局医療課課長補佐)
医療課・柳沼ですけれども、中医協の中でもですね、できる限り早く業界ヒアリングをしてほしいというような要望がございましたので、日程については早急に詰めたいと思ってますが、現状のところはまだ未定でございます。
ヒアリングする団体ですけれども、例年、卸とですね、あと製薬3団体ですね、からヒアリングをしておりますので、同様に考えております。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
ほかにはいかがでしょうか。
週刊社会保障・高木さんより、「仮に調査を実施しない場合、骨太よりも前に政府として何らかの決定をする必要があるのでしょうか」という質問を頂いております。
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〇柳沼宏氏(保険局医療課課長補佐)
はい、続きまして、同じく医療課・柳沼です。
実施するかどうか、というところについて、例えば、今村先生などから「中医協としても考えがあるんじゃないのか」というようなお話があったところですけれども。
基本的に、今、骨太などの閣議決定において薬価改定をするというような内容で定まっているというところですので、
中医協の、その場でも議論ございましたけれども、「やるとなった場合、どのような方法がとりうるのか」というところについて議論をしていくということになろうかと思います。
それで、政府としてどうか、何か決定などがあるのか、ということですけれども、こちらについてはですね、何かこう、予断できるようなことがあるというわけではございません。以上です。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
よろしいでしょうか。ほかに、何かありましたらお願いいたします。
ハラダさんより、「卸が未妥結減算を気にしていました。これはどういうことなんでしょうか」 というご質問です。
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〇柳沼宏氏(保険局医療課課長補佐)
はい。未妥結減算制度というのはですね、その年度の前の年の9月の段階で未妥結の割合が高かった場合は、その翌年度の、基本的には、その診療料を減額するという規定なので、必ずその薬価調査がある時点の近くですね、ここではその妥結率を上げておくということになります。
なので、そういった未妥結減算を受けないようにするために妥結率が上がるであろうということが卸のほうから説明されたということですね。
ただ、「十分な価格調整が進んでいないうちに、妥結だけ進めるというのができるのか」っていうところが、ちょっと疑問であるというようなことを専門委員のほうからコメントがあったものと理解しています。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
よろしいでしょうか。ほかにご質問等ありましたら、お願いいたします。
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〇柳沼宏氏(保険局医療課課長補佐)
あ、妥結というのはですね、取引の価格が折り合うかどうかということなんですけれども、実際その、非常に多数の、その、医薬品の取引が行われていまして、その、納入段階より少しあとにですね、実際、公表して、こう、値段が決まっていくというのがこれまでの取引です。
で、価格が決まることを「妥結」と呼んでおりまして、その前の段階は「未妥結」の段階であるというふうに言います。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
よろしいですか。もし、また何かありましたら、個別にもお受けしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。あ、はい。
岩下さんから「業界ヒアリングの中で、2号(診療)側とは別に、購入側としてヒアリング対象となる病院を設けますか」というご質問です。
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〇柳沼宏氏(保険局医療課課長補佐)
はい。そのヒアリングの対象がどこかということですが、先ほど申し上げたように卸と製薬、通例、ヒアリングの対象となります。
で、一方で、いわゆる診療側の団体というのはヒアリングの対象と言うよりは、もう中医協委員としていらっしゃいますので、必要があればそこでご意見を頂くので、まあ、いわゆるヒアリング対象というふうには考えてはいません。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
よろしいでしょうか。もし、ほかにないようでしたら、続いて総会にまいりたいと思います。
続きまして、総会のほうに移らせていただきます。総会は、議題として
〇 先進医療会議からの報告について
〇 費用対効果評価専門組織からの報告について
〇 医薬品の処方日数制限について
〇 答申附帯意見に関する事項等の検討の進め方について
〇 新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について
ということでございました。
まず、ちょっと区切ってですね、先進医療会議と費用対効果評価専門組織について、ご質問等ありましたら、お願いいたします。
はい。高木さんから「先進医療について、組織診ではなく細胞診で遺伝子検査ができるというのがポイントという理解でよろしいでしょうか」というご質問です。
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〇櫻本恭司氏(保険局医療課課長補佐)
はい、ご指摘のとおりでございます。
組織診でやるものが今まで一般的だったんですけども、今回、細胞診でできるということで、簡易的にできるというところが今までなかったところでございます。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
はい。ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
はい。ありがとうございます。そうしましたら続いて、医薬品の処方日数制限について、ご質問等ありましたら、お願いいたします。
はい。週刊社会保障・高木さんより、「投薬日数制限の新たなケースだと思いますが、事務的な手続きは告示での対応になるのでしょうか」(という質問を頂いております)。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
告示での対応となります。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
はい、告示での対応ということです。ほかにはいかがでしょうか。
はい。「松本委員から覚醒剤原料の一律ルールが必要との発言がありましたが、これまでは・・・に則って日数制限を決めていたのですか」というご質問です。
▼ 同日の総会で松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は次のように質問した。「今回提案のあった品目、リスデキサンフェタミンメシル酸塩製剤の投与期間を30日分を上限とする案に対しましては了承いたします。しかしながら、根本的にですね、麻薬や向精神薬と同様に、この覚醒剤の取扱いについてもルールとして明確化していくことを検討すべきと考えますが、これについてはいかがでしょうか」
これに対し、森光敬子課長は「そのご提案につきましてはですね、事務局として受け止めまして、今後検討させていただきたいというふうに思っております」と答えた。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
基本的には、対象となる薬剤と、あとはそれの実際の使い方等から判断してまして、ご指摘のとおり、現行だと精神薬と麻薬の2種類について14日もしくは30日の中で決めていたところです。
で、今回はその枠に収まらない新しいものが入ってきたので、それを事例として今回ご議論いただいて、課長から申しましたように、覚醒剤において、全体のルールについて今後整理をするという対応を予定してるとこでございます。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
よろしいでしょうか。はい。ほかにご質問等ありますでしょうか。
よろしければ、続いて、答申附帯意見に関する事項等の検討の進め方について、ご質問等をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
はい。鳥海さんから「2020年度は調査を行わずに、21年度に膨大な量の調査を行うというのは現実的でしょうか」というご質問です。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
あの場で、2号(診療側)の松本委員から「20年はやらずに」というようなご意見も挙がったところでございますが、
課長のほうから「やらないというよりも」というところで、「やり方を工夫しながら今年度も、そして次年度も」ということでお答えしたかと思いますので、「今年やらない」ということを決定したという事実はございません。
▼ 同日の総会で松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は次のように質問した。
「先ほど医療課長からですね、新型コロナウイルス感染のですね、拡大の影響を配慮しながら進めていくという発言をいただきました。大変、ご配慮いただきましてありがとうございます。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大によって医療現場は診療報酬改定前の状況と大きく異なっておりまして、改定の影響をですね、例年どおりの方法で調査できる状況にはないと思います。今回の提案は、各項目の分担や検討に入るということの是非でありますので了承いたしますけれども、新型コロナウイルス感染症による混乱の推移をよく見た上で、調査・検証につきましては、例えば、今年度は実施せず、来年度だけ行うなど医療現場の負担などに配慮した上での検討を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか」
これに対し、森光敬子課長は次のように答えた。
「検証部会ですとか、それぞれの分科会でですね、どのような調査をするのか、また、それがコロナの影響を受けてですね、医療現場に混乱をもたらすというようなことであればですね、その部分については次の年度に移すというようなことも考えられるかと思います。それぞれの検討の場においてですね、しっかり、コロナの影響をどう、何と言いますか、(コロナの影響)に、配慮した形で検討いただきたいというふうに考えておるところでございます」
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
はい。まだやらないということは決まっていませんので、今後の議論かと思います。
今、費用対効果についてご質問ありましたので戻ります。
「テリルジーとキムリアについて、20年8月の新薬収載時に費用対効果評価結果に基づく価格調整が行われる見通しという理解でよろしいでしょうか」というご質問です。
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〇櫻本恭司氏(保険局医療課課長補佐)
はい。医療課・櫻本です。ちょっとですね、「何月に最短で」というところまでは現段階では申し上げられないんですけれども、
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あくまで、「総-2-1」の参考2の流れで、標準的な期間っていうのを書かせていただいていて、この流れでやらせていただくと。
で、今、話があったのは専門組織の(ⅱ)の「企業分析の確認」みたいな所での、今回議論がありましたので、
今後、例えば、公的分析は「3ヵ月」のほうのものになるか「6ヵ月」のほうなのかとか、次の「3ヵ月」のところ、というところを考えていって、最終的に価格調整まで行くというとこなので、
現段階ではちょっと、8月かどうかまでは明言できない状況です。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
よろしいでしょうか。
はい。それでは答申附帯意見のほうに戻りますが、「14番は『総会』と記載されていますが、どのように進める予定か具体的に教えていただけますでしょうか。また、今回改定では実施されていないと思いますが、検証とはどのようなことをするのでしょうか」というご質問です。
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14番というのは、「病院内における医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の取組」についてですが……。
総会、括弧、検証部会……。
▼ 事務局、相談中。
うーん……。
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〇厚労省の担当者
検証部会の中で議論をしていくっていうだけですかね……。
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〇柳沼宏氏(保険局医療課課長補佐)
すいません、医療課・柳沼ですけれども、14番に関してですが、「総会、括弧、検証部会」とありますけれども、
具体的なその検証の方法などについては、検証部会などでの議論の中で決まっていくということになると考えております。
その、具体的に進めるやり方ですね、それは、ほかの所も同じだと思いますけれども、「今後、検討」ということになります。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
ほかには、いかがしょうか。よろしいでしょうか。
それでは最後に、新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について、これまで実施した取組をまとめた報告をさせていただきました。
これに関して、何かご質問等ございますでしょうか。
はい。「救命救急入院料等の特例の確認ですが、専用病床を確保した病院の専用病床に入院している重症患者は3倍、そうでない重症患者は2倍ということでしょうか」(という質問です。)
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
医療課・木下でございます。ご指摘のとおりです。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
はい、ほかにはいかがでしょうか。
「コロナ患者がいなくなった場合、特例の算定患者もいなくなるわけですが、それでも解除基準などを議論するのでしょうか」(という質問です。)
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
医療課・木下です。解除と言うか、今の特例の扱いの解除という理解でお答えいたしますけれども、
コロナの患者がいる、いないというよりも、政府全体としてコロナの特例的な対応というものが、この診療報酬に限らず全体的にやられておりますので、その取組状況を踏まえて診療報酬もそれに合わせていくということで、
診療報酬だけで、要は、今のルールをやめる、やめないという議論を中医協でやるということは想定していないところです。
▼ ここで、次の質問を見た厚労省の担当者から笑い声。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
「新型コロナへの対応は、これで一段落ですか」というご質問ですが。(笑い)
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
気持ちの上では一段落。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
これで一段落と言うか、これまでもですね、いろいろな事情が変更してきたり、何か発生した時には随時対応してきたところですので、
一段落すればいいとは思いますが、まだ何かありえた時には引き続き対応するということはあり得ると思ってます。
はい。高木さんより「救急医療管理加算の15日目以降についてですが、3倍の点数を算定していた患者は、専用病床から移ったあとも3倍の点数を継続して算定できるのでしょうか。また、前回お尋ねした新生児特定集中治療室管理料等の35日目以降の点数はどのような取扱いになったんでしょうか」というご質問です。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
医療課・木下です。2つ目はすいません、まだご回答できてないんですが、ちょっと今、まだ内容を確認しているところです。改めてご回答いたします。
で、1つ目のお尋ねは……。
ここで言う「専用病床」がICUとかを想定されているとしたら……。
ICUから一般病床に移った状態のことと……。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
いや……。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
違うか……。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
たぶん、おっしゃっているところが、今回、3倍のところが専用病床を確保して、コロナ患者を受け入れるという要件になっているんですけれども、
それは病院単位での考え方ですので、仮にその病院内でですね、ICUから移ったり、あるいはそのコロナ病床から移ったりっていうことがあっても、その病院の中で3倍となっていますので、引き続き3倍ということになると思います。
はい。ほかにはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。あ、もう1問ありました。
「200床以上の病院が電話初診をした場合、選定療養費は請求できるんでしょうか」というご質問ですが。
200床以上の病院については、選定療養が請求できる病院となっておりますけれども、電話等初診の場合のこちらのルールは変わらず適用されるものと考えていただいて結構です。
はい。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい。それでは、ありがとうございました。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
まだ。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
すいません、もう1問あります。
はい。「先日の大臣合意の文書は医療課に伺えば頂けますか」ということです。
お越しいただければ、紙でお渡しすることは可能です。
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〇厚労省の担当者
ホームページにはアップされてないんでしたっけ?
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〇厚労省の担当者
されてない。
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〇厚労省の担当者
あ、そうだっけ? 財務(省)の……。
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〇奥山晃正氏(保険局医療課課長補佐)
ほかにはよろしいでしょうか。はい、それでは、これで中央社会保険医療協議会・薬価部会と総会のブリーフィングを終わりたいと思います。
はじめに時間が掛かってしまったことを改めてお詫びいたします。どうもありがとうございました。
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〇木下栄作氏(保険局医療課課長補佐)
ありがとうございました。
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〇柳沼宏氏(保険局医療課課長補佐)
ありがとうございました。
(配信終了)
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