2023年4月26日の費用対効果部会(今後の進め方)

2023年4月26日の費用対効果部会

 令和6年度の制度改正に向けた議論がスタートしました。質疑で日本医師会の長島公之委員は「費用対効果評価自体の費用対効果もそろそろ考える時期に来ているのではないか」と述べました。【新井裕充】

 この日は総会と費用対効果部会が開かれました。総会の開催は3月22日以来、1カ月ぶり、費用対効果部会は昨年1月19日以来、約1年ぶりです。

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 1.総会 10:00 ~ 11:42
 2.費用対効果部会 【不明】 ~ 12:13
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 今回もオンライン開催です。総会後、YouTubeの画面が「非公開」になり、URLが変更されるまで視聴できない状態となりました。
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動画を再生できません
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 議題1について、閉会後の記者ブリーフィングによりますと、新たに公益委員に就任した安川文朗氏(京都女子大教授)が指名されました。

【議題】
 1.部会長代理の指名について
 2.費用対効果評価制度の見直しに向けた今後の議論の進め方について

 議題2では、今後の進め方やスケジュールが示されました。
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07_【費-2】今後の議論の進め方_2023年4月26日の費用対効果部会
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 スケジュールは次のとおりです。このあたりから視聴できました。
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09_【費-2】今後の議論の進め方_2023年4月26日の費用対効果部会
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 厚労省の中田勝己室長が次のように説明しました。
 「具体的には令和5年、6年に向けまして、このような検討項目につきまして、業界ヒアリングも含んだ上で、骨子、見直し等というスケジュールを検討しているところでございます」

 質疑で、長島公之委員(日本医師会常任理事)はこのように述べました。
 「7ページに提示された今後の議論の進め方に異論はありません。なお、検討に当たっては、人材育成の視点もさることながら、より実用的に、つまり、特定の研究者しか取り扱えないようなものではなく、費用対効果評価自体の費用対効果もそろそろ考える時期に来ているのではないかと考えます」

 ほかの委員の発言については、記者ブリーフィングでの説明をご覧ください。以下のとおりです。

〇厚労省保険局医療課・加藤琢真課長補佐
 聞こえますでしょうか。こちら、保険局医療課でございます。よろしくお願いいたします。
 
 本日は、費用対効果専門部会においてYouTubeの配信が、一時配信がされないというような事態が発生してしまいまして皆さまに大変ご迷惑をおかけいたしました。大変申し訳ありませんでした。以後、このようなことがないように努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 
 本日、少し体制が整っておりませんので、費用対(効果部会)のほうから先にご説明させていただきたいと思います。

〇厚労省保険局医療課医療技術評価推進室・中田勝己室長
 はい。医療技術評価推進室長の中田でございます。改めまして、本日の機材トラブルにおきまして、皆さまのYouTube配信が途絶えてしまったことにつきまして、お詫び申し上げます。
 
 一部配信されなかった部分もあるかと存じますので、もし聴かれていた方にとっては重なる話、重複する内容になるかもしれませんが、まず冒頭、ちょっと概要をご説明させていただいた後に質問を受けさせていただきたいと思います。

〇厚労省保険局医療課・渡邉洋之助課長補佐
 はい。保険局医療課の渡邉でございます。少し、費用対効果専門部会の議論の内容について説明させていただきます。 
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01_【費-2】今後の議論の進め方_2023年4月26日の費用対効果部会
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 まず事務局から主に「費-2」として、「費用対効果評価制度の見直しに向けた今後の議論の進め方」というのを資料に沿って説明させていただいております。
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09_【費-2】今後の議論の進め方_2023年4月26日の費用対効果部会
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 年末にかけての費用対効果評価専門部会の検討スケジュールについて説明をさせていただきました。
 
 こちら、資料がアップしてございますので、詳細の説明は割愛させていただきます。 

 その後、質疑応答でございまして、まず日本医師会の長島先生から、費用対効果評価は事例を積み重ねている状況であると。
 
 薬価制度を補完する観点ということは今後も守っていくべきと。
 
 ただ、その運用の今後の見直しに向けては令和4年度の改定の内容の検証から始めていくということで、ただ、今後の議論の進め方に、事務局から示したものに対して異論はないというコメントをいただいております。
 
 次に、日本薬剤師会の森先生から、どのような影響を与えているか関係者にヒアリングをすべきだというようなコメントをいただいております。

 それから、日本慢性期医療協会、日慢協の池端先生から人材不足についての費用対効果の専門的な人材の育成について、ご質問がございまして、今後の進捗について、わかることがあれば教えてほしいというようなコメントをいただいております。

 最後、健保連の松本先生から保険収載に当たっての是非についても検討事項に入っている認識であるということで、人材育成の点も含めての総合判断になるが、検討してほしいというようなコメントをいただいております。

 事務局からは人材育成について質問がございましたので、それに対して回答しておりまして。
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20_【費-2】今後の議論の進め方_2023年4月26日の費用対効果部会
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 資料の20ページに実績を示しているということで、徐々に増えてきているという認識と、それから、産・官・学のシンポジウムなどで広く周知しているところということを説明させていただいております。
 
 はい。大まかな概要でございますが、専門部会の概要については以上でございます。

〇厚労省保険局医療課・加藤琢真課長補佐
 はい。各社からご質問あれば、どうぞよろしくお願いいたします。

 (後略)

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 この日の質疑では、人材育成の必要性を指摘する声があったようですが、令和4年度の制度見直しでは「改正事項なし」でした。次期見直しで何か手を加えるのかもしれません。
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11_【費-1-1】令和4年度費用対効果評価制度の見直しについて_2022年1月19日の費用対効果部会
2022年1月19日の費用対効果部会資料「費-1-1」P11から抜粋
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 人材育成も重要でしょうが、注目したいのは専門組織との関係です。以下、1年前の会議を振り返ってみます。

 令和4年度改正案をまとめた昨年1月の会議では、石牟禮武志専門委員のみが発言。次のように厚労省の見解を求めました。

〇石牟禮武志専門委員(塩野義製薬医薬開発本部渉外部長)
 ありがとうございます。先ほどのご説明で「費-1-1」、11ページの(2)薬価算定組織との連携につきまして1点、確認をさせていただきたいということで、お願いしたいと存じます。
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11-2_【費-1-1】令和4年度費用対効果評価制度の見直しについて_2022年1月19日の費用対効果部会
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 「運用のほうで」ということも、ご説明の中でございましたけれども、骨子では、薬価算定組織から、また費用対効果評価専門組織から、お互いの評価結果を共有することということが記載されているかと存じます。
 
 「改正後」の見直し案、通知案におきましては、製造販売業者及び国立保健医療科学院からの報告を踏まえて、専門的見地から審査する項目の1つとして「エ」が加えられたということになっております。
 
 この見直しを見ますと、製造販売業者からの報告を踏まえて、例えば、ここにございます「イ」の「分析枠組み案の科学的妥当性」と同列で、この費用対効果評価専門組織が審査する項目になったというふうにも理解できるのでございますけれども、

 「骨子」の趣旨と、それから、この「改正後」の記載の関係というのをどのように解釈すればよいのか、また「運用で」ということがございましたけれども、念のため、確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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 なお、石牟禮武志専門委員は「運用」についても質問していますが、厚労省の公式議事録からは削除されています。

 資料説明で中田室長が「具体的な運用につきましては今後、詳細について、さらに詰めてまいりたい」と述べましたが、これは「利益相反に関する対応」についての説明でしたので、勘違いしたのかもしれません。

 そのため、質問のポイントは「専門組織が『有用性加算等を含めた評価等』を審査するのか」という点でしょう。中田室長は次のように答えました。

〇厚労省・中田室長
 はい。事務局でございます。この記載の趣旨につきましては、この骨子でまとめたとおり、薬価算定組織とお互いの評価結果を共有するということが目的でございます。
 
 したがいまして、ここでの対応といたしましては、費用対効果専門組織において直接審議を行うという趣旨のものではございませんので、その旨、ご説明させていただきたいと存じます。以上でございます。

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 1年前にこのような質疑があったことを振り返りながら改めて今回の論点を見ますと、「費用対効果評価専門組織からの意見聴取」という記載があります。
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07_【費-2】今後の議論の進め方_2023年4月26日の費用対効果部会
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 長島委員が指摘した「費用対効果評価の費用対効果」も含めて、今後の議論に注目したいと思います。

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