2年に1度の診療報酬改定の後、その任期切れが来るため、日本医師会会長選挙が行われるのが、慣例となっている。今年も6月末の代議員会で会長選が行われる見込みで、現職の中川俊男会長(北海道)が2期目当選を果たすか、対抗馬が現れてその座を奪うかが焦点となる。【本根優】
「新型コロナがこの状況で、中川氏を一期で降ろす話にはならないだろう」
関東地区の医師会の有力幹部はそう見通す。
対抗馬として、「中川政権」誕生の立役者で、その後、東京都医師会長として存在感を増した尾﨑治夫氏の出馬が取り沙汰されるが、尾﨑氏は年が変わっても具体的な準備に動いておらず、「打倒・中川氏」に転じることはないと見られている。
新年早々、全国の医師会関係者に衝撃が走った。福岡県医師会の松田峻一良会長が7日夕、特発性肺線維症のため、福岡市内の病院で死去したのだ。
松田氏は2010年に横倉義武氏が日医副会長に就任するのに伴って、福岡県医会長を引き継いでいた。12年に横倉氏が日医会長選に打って出て以来、ずっと選挙対策本部長として横倉氏を支えた。横倉氏が中川氏に敗れた前回20年の選挙では、それに伴って、松田氏が日医理事を辞退し、波紋を呼んだ。
尾﨑氏を除けば、中川氏を脅かすようなカリスマ性をもった「ポスト中川」候補は現れていない。
現職副会長として、今村聡氏(東京)、松原謙二氏(大阪)がいるが、ともに地元での支持基盤が脆弱。日医内での役員キャリアは長いものの、中川氏に反旗を翻すことは考えにくい。
ほかに大阪府医の茂松茂人会長、愛知県医の柵木充明会長ら、20年の日医会長選で横倉陣営の副会長候補に名を連ねた面々もいるが、こちらは逆に日医内での経験が不足しており、支持を集めにくい状況となっている。