3週連続でゾコーバです。今回も薬価専門部会のみのオンライン開催で、この日は業界ヒアリングが実施されました。【新井裕充】
ゾコーバの薬価収載に向けた検討は1月25日に論点提示、翌週の2月1日に対応案の提示と進み、今回がヒアリングです。
質疑を終えて業界代表の陳述者が退出した後、前回会合で出された意見の紹介があり、各委員がヒアリングの感想などを述べて閉会しました。
ヒアリング終了後の後半部分はこちらをご覧ください。
https://bit.ly/3lnDnZT
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1.ヒアリング 10:03~10:54
2.前回の意見の紹介など 10:54~11:07
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意見陳述者は3人です。
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① 日本製薬団体連合会・眞鍋淳会長
② 米国研究製薬工業協会・在日執行委員会・シモーネ・トムセン委員長
③ 欧州製薬団体連合会・岩屋孝彦会長
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①~③のブレゼン資料はタイトルがそれぞれ違います。
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① → 「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」に係る意見
② → 市場規模の大きな品目に対する対応についての意見
③ → 中央社会保険医療協議会薬価専門部会陳述資料
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①は、「感染症治療薬」に着目した意見。
②は、市場拡大再算定ルールに関する意見。
③は、イノベーション評価など従来からの業界意見です。
このうち②では、次のような質疑応答がありました。
〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
(前略) PhRMAからのご意見の中で、市場拡大再算定の適用の直近3カ月の市場規模を4倍にして年間販売額を推計する方法について懸念が示されております。
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できる限り精緻に、過大・過小な推計とならないような方法で実施すべきで、年間を通じた販売額の推計データの活用などの方法について検討することも考えられると思います。
一方で、医療保険財政への影響を考えると、迅速に推計して判断することも重要です。また、感染症治療薬の特性を踏まえた安定供給の確保も重要な視点となると考えます。
(中略)
本剤は緊急承認された初めての薬剤であり、現状、有用性などは推定の段階で承認され、その後、一定期間内に本承認を行うなど、通常承認の流れとは異なりますが、業界として、緊急承認された医薬品の薬価算定についてはどのように受け止められておりますでしょうか。この件については、各団体から受け止めやご意見を伺えればと思います。私からは以上です。
(中略)
〇米国研究製薬工業協会・在日執行委員会・シモーネ・トムセン委員長(通訳)
ご質問の中に、四半期の需要をもとにして1年間の需要の予測、販売の予測をする、この計算の方法についてのご質問があったかと思いますので、それについて、お答えさせていただきたいと思います。
私どもといたしましては、やはり実際の年間の販売額をもとにして計算すべきだと思います。
今、提案されておりますように、例えば直近の四半期の数字のみを見ていますと、そのときは、たまたま売上が大きかった、需要が大きかったということがあったかもしれないが、その次の四半期には感染が急速に収まって、そして売上が急速に下がるということもあります。
ですので、このように提案されております四半期のみの数字をもとにして年間を予測することでは無理があるというふうに思います。つまり、実際には予測した数字よりも、もっと低い数字の売上になる可能性があるというふうに考えております。
そして、このように非常に大きな上がり下がりがあると、スパイクがあったりなかったり、また急激に需要が下がるということは、これは感染症の特徴でもございます。
このお部屋の中にも専門家の方がいらっしゃると思います。いらっしゃいますので、おわかりいただけると思いますが、ここ3年間を見ましても急激に感染が広がり、そのあと、また下がるというようなことが何回も繰り返されてきました。
ですので、こういった状況の中で、これまでの市場拡大再算定の考え方を使って薬価を下げるというやり方については、私どもとしては無理があると思いますし、もし、そのようなことをされるのであれば、しっかりと十分に討議をされる必要があると思います。
そして、そのためには関係する企業も交えた上での、できるだけ早期の段階からの協議、討議が必要であるというふうに考えます。
(中略)
〇欧州製薬団体連合会・岩屋孝彦会長
(前略) 緊急承認されたものについての薬価の考え方でございますが、これにつきましてはですね、これから委員の皆さま方の間でも議論されることというふうに認識をしておりますが、
私が思っておりますのは、緊急承認をされるというのは、よっぽどの医療上の必要性があって、まさに急いで承認しなくちゃいけないと、そういう差し迫った状況での承認をされる、そういう医薬品であろうと、革新的な医薬品であろうということを前提に考えますれば、
この革新的な医薬品に対して、仮にもペナルティになるようなですね、そういうかたちでの薬価の、薬価付けというのはおかしいんではないかなというふうに率直に言えば感じております。
有用性の推定が仮に市場でですね、使われた結果、当初予想していたほどではなかったということが仮にあった場合であっても、私はそれに対してペナルティを与えるというのは、もうリスクを取る、そういう行動を行う企業がいなくなってしまうので反対であります。
このような医薬品については、ぜひともですね、それをエンカレッジするような、そういう薬価上の取扱いをお願いできればというふうに考えております。以上です。
〇中村洋部会長(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
はい、ありがとうございます。長島委員、森委員、よろしいでしょうか。はい。では森委員、よろしくお願いいたします。
〇森昌平委員(日本薬剤師会副会長)
はい。日本薬剤師会の森でございます。各団体ありがとうございました。緊急承認の発動の要件ですけども、国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延、その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品となっており、国民が緊急時にそうした医薬品にアクセスできるようにしなければならないと思います。
緊急承認された医薬品の薬価算定方法や本承認時の薬価算定をどうするのかについては検討課題とすべきと考えます。以上です。ありがとうございました。
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