総会は嵐が吹き荒れました。まるで屋上から物を投げ下ろすように、大臣折衝で合意を取り付けてから中医協にたたきつけるような荒技で、支払側委員は反発しました。予定時間を1時間近くオーバー。2時間半に及ぶ長い会議となりました。【新井裕充】
今回はイレギュラーな時間帯の開催です。昼過ぎに令和5年度予算編成の大臣折衝があり、17時から薬価専門部会と総会が開かれました。
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1.薬価専門部会 17:00~17:16
2.総会 17:19~19:47
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総会では、まず大臣折衝事項を踏まえた諮問書が出され、続いて諮問書に示された3項目について説明がありました。
大臣折衝事項の「7.その他」に盛り込まれた内容は、マイナ保険証を普及させるための措置が2項目、医薬品の安定供給問題への対応が1項目です。
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この大臣折衝事項を踏まえて総会に示された諮問書には、表題の下に内容が書かれています。長いです。
「医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置、医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱い及び医薬品の安定供給に係る取組の推進に向けた診療報酬上の加算の取扱いについて」
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これを簡略化すると次のようになります。
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① オンライン資格確認の義務付けの経過措置
② 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱い
③ 医薬品の安定供給のための加算
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①は、マイナ保険証に対応できない医療機関への猶予措置。
②は、マイナ保険証を持参しない患者負担の引上げ。
③は、医薬品の安定供給のために患者に負担を求める内容です。
質疑で、患者を代表する立場の間宮清委員は次のように述べました。
「医薬品の不足に関してはですね、国がジェネリック医薬品の使用を促進する中でたくさんの企業が生まれてきて、その企業の不祥事が起こした、その不正ですね、それが原因であるということですけども、そういうものを未然に防ぐことができなかった行政にもやっぱりこれは問題があったというふうに思っています。
それらの影響で医療機関に負担がかかっているということでありますけれども、だからといってですね、これ、患者が費用を負担するというのは、これは筋が違いますよ。一番迷惑を被っているのは患者なんですね。一番不安の中にいるのは患者自身だということをご理解いただきたいというふうに思います。安定供給の正常化に向けてですね、具体的な対策みたいなものっていうのも示されてないと私は思うんですね。
そんな中で、診療報酬ですとか調剤報酬に患者の負担っていうのを、報酬を引き上げて患者の負担を増やすというのは、やっぱり患者の理解を得られないというふうに思います。なので、この提案というのは、まったくもって受け入れられないというふうに思っています。
これ、1つ聞きたいんですけど、患者がこれを負担すると、解消するんですかね、この今の不安定な供給というのは。患者が何か、この診療報酬でこう、お金払えば解消されるんですか? それを聞きたいです」
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