総会のみ金曜日の開催です。今週水曜日の諮問から2日後、スピード決着の答申となりました。今年の中医協は今回が最終回です。【新井裕充】
マイナ保険証を普及させるための猶予措置や報酬上の対応、後発品不足に対応するための特例などが決まりました。今回もオンライン開催です。 YouTube でライブ配信されました。
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【議題】
1.個別改定項目について 9:35~10:50
<休憩> 10:50~11:50
2.答申附帯意見案について 11:50~12:02
<休憩> 12:02~12:20
3.答申について 12:20~12:39
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今週水曜日から激動(?)の3日間でした。2日前には目をつり上げて反対していた委員が、今回はニコニコ笑顔ですから、皆さん本当に役者だと思います。
簡単に振り返りますと、今週水曜日の21日昼過ぎに令和5年度予算の大臣折衝があり、そこに盛り込まれた内容を踏まえた諮問書が同日夕方から開かれた中医協に出されました。
主な内容は次のとおりです。
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① オンライン資格確認の義務付けの経過措置
② 医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱い
③ 医薬品の安定供給のための加算
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①は、マイナ保険証に対応できない医療機関への猶予措置。
②は、マイナ保険証を持参しない患者負担の引上げ。
③は、医薬品の安定供給のために患者に負担を求める特例です。
このうち②は中医協が始まる前に共同通信などが報じていましたので、中医協での議論には関係なく、
「マイナ保険証」がツイッターのトレンド入りを果たしていました。
SNSで一般の人の関心を集めるような(ひどい)内容です。支払側の反発は当然ながら大きいものがあり、審議の進め方への批判も出ました。
2日後の23日(金)に中医協がセットされましたが、当日の朝になっても中医協の開催案内には議題が示されず、「調整中」となっていました。28日(水)が予備日になっていましたので、調整がつかずに中止かも! と心配した記者もいたようです。
しかし23日9時半、無事に開催されました。会議の冒頭、小塩隆士会長がこのように述べました。
「大臣折衝による合意というのは政府としての決定です。その諮問を受ける中医協といたしましては、やはり重く受け止める必要がございます」
意訳しますと、「中医協よりも上の権限で決まったんだから、このまま進めますよ」ということで、シナリオ通り議事に入り、「短冊」と呼ばれる個別改定項目の説明がありました。
この時点では、点数は「●点」となっています。資料の説明は、短冊の内容を見やすくした「補足説明資料」を使用し、その後、短冊の説明に移るという順序で進みました。
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【点数が入る前の資料】
・短冊:「総-1」
・補足説明資料:「総-2」
【点数が入った完成版】
・短冊:「総-5」
・補足説明資料:「総-6」
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上記①~③の説明が約30分。その後の質疑は炎上することなく45分で終了しました。
ここでいったん休憩に入りましたが、再開時間は知らされず、「再開までしばらくお待ちください」の画面のまま待たされました。ジャスト1時間で再開したということは、委員には告知していたのでしょうか。この時点での視聴者数は350ぐらいでした。
再開後、改行のない文字のかたまりだらけの附帯意見案を眞鍋馨課長がそのまま読み上げました。もちろん異論なく了承されて再び休憩です。
小塩会長は次のように述べました。
「休憩中に事務局は答申案を作成して委員の皆さまに配布していただき、その上で、1号側委員・2号側委員の皆さまはそれぞれ分かれて、お話し合いをお願いいたします」
え? ZOOM会議でしょ。配布? 分かれて? と思った人もいるのではないでしょうか。会場での開催で資料が紙の時代の台本そのままですが、議事録に残す場合のことを考えたのかもしれません。
約20分後に再開し、答申案を了承。YouTube の画面がアップになり、答申書が手渡されました。「キャプチャーして使ってくださいね」という意味でしょうか。
答申書手交の後、本田顕子政務官があいさつ。次いで小塩会長のまとめ発言があり、最後に有澤賢二委員(日本薬剤師会)が退任のあいさつをして終了。「良いお年をお迎えください」となりました。
今回の改定内容については、本田政務官のあいさつがよくまとまっていますので、下記に張り付けておきます。21日の大臣折衝よりも前に完成していたのかもしれませんね。
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【本田顕子・厚生労働大臣政務官】
皆さま、こんにちは。厚生労働大臣政務官の本田顕子でございます。小塩隆士会長をはじめ、委員の皆さまにおかれましては、日ごろから厚生労働行政の推進に関してご指導をいただき、心から感謝を申し上げます。
ただいま、医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置、医療情報・システム基盤整備体制充実加算の取扱い、医薬品の安定供給に係る取組の推進に向けた診療報酬上の加算の取扱いについての答申を頂戴いたしました。
短期間でありながらも精力的にご議論をいただき、答申を取りまとめていただきましたことに改めて御礼を申し上げます。
今回の諮問の背景には、医療DXの推進と医薬品安定供給問題への対応という現下のわが国の医療に横たわる大きな2つのテーマがありました。
こうした課題への対応を経過措置、診療報酬という2つの観点から一体的にご議論いただきました。
委員の皆さまには多種多様な医療機関・薬局の対応にきめ細やかにご配慮をいただき、経過措置の範囲と期限を設定いただくとともに、オンライン資格確認を行う現場、医薬品の供給不安定に対応する現場、それぞれの負担について適切な評価を行っていただいたものと考えております。
厚生労働省といたしましても、この答申に基づいて速やかに省令などの整備を行い、来年4月からの施行について関係者の皆さまと連携しつつ、その準備に万全を期してまいる所存です。
また、附帯意見としていただきました事項につきましては、医療情報・システム基盤整備体制充実加算について早急に患者、国民の声を丁寧かつ幅広く聴き、医療の質の向上、状況等について十分に調査・検証を行う。
一般名処方に係る加算等の上乗せ措置について患者・国民の声をよく聴き、その実施状況および安定供給問題への対応状況について調査・検証を行うなどにつきましても真摯に受け止めて対応してまいります。
引き続き、国民皆保険を堅持し、国民の皆さまが望む安心・安全で質の高い医療の実現に向けて、委員の皆さまのご議論を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
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