2020年度改定に向け、「第2ラウンド」の前哨戦が勃発 ── 9月11日の中医協総会

20190911中医協総会

 2020年度診療報酬改定に向け、厚生労働省は9月11日の中医協総会で「横断的事項について(その1)」を主な議題に挙げ、前回改定後の算定状況などに関する111ページの資料を示した。質疑で委員の多くは、さらなる分析や追加資料の提出などを求める発言にとどめたが、終盤になって支払側委員が内容に踏み込んだ意見を陳述。かかりつけ医機能を評価する加算の見直しなどを求めたため、これに日本医師会の委員が反発し、厚労省が「第2ラウンド」と位置付ける秋以降の議論の前哨戦が勃発した。【新井裕充】
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 この日の総会は、薬価専門部会、保険医療材料専門部会に続いて開かれた。両部会では、業界からの意見陳述などを踏まえた「論点」が厚労省から示され、次期制度改革に向けた具体的な議論がスタートした。

 これらに続いて同一会場で開かれた総会では、次期改定に向けて事務局(保険局医療課)が関心を寄せている主な診療報酬項目について、最新の情報を盛り込んだ111ページの資料を提示。厚労省保険局医療課の森光敬子課長が約40分間にわたって説明した。

 資料内容の説明に先立ち、森光課長は「(秋以降の)第2ラウンドの議論を進めるにあたり、まず前回改定の影響の整理が必要ということで、平成30年度改定において新設した項目や、要件の見直しを実施した項目等について現時点で得られている情報を整理して本資料を作成した」とコメント。今後の議論の進め方については、「第1ラウンドと異なり、従来どおり外来、入院、在宅、横断的事項、個別項目、歯科、調剤に分けて議論を進めていただきたい」と説明した。

 質疑では、追加資料の提出や、さらなる分析を要望する意見が相次ぎ、改定内容に関する議論には踏み込まなかったが、終盤に支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が約10分間にわたって意見陳述。その中で、かかりつけ医機能を評価する加算に言及し、「算定要件を満たしていれば一律に患者に加算できる算定要件が(増加の)要因になっている。これが本当にかかりつけ医機能を果たしているのか、さらに議論していただきたい」などと発言したため、これに日本医師会の委員が反論した。

 森光課長の説明と、これに続く質疑の模様は以下のとおり。なお、資料説明は抜粋、質疑は全文を掲載している。再現が不能な箇所は【〇〇〇】とした。

説明 ── 本資料の趣旨や内容について

20190911中医協総会

〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ただいまより、第422回中央社会保険医療協議会総会を開催いたします。まず、委員の出席状況についてご報告いたします。本日は、染谷(絹代)委員(静岡県島田市長)、岩田(利雄)専門委員(千葉県東庄町長)が欠席でございます。なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、ご協力のほうをよろしくお願いいたします。

 まず、次期診療報酬改定に向けた議論として、「横断的事項について(その1)」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局よりご説明のほうをお願いいたします。では医療課長、よろしくお願いします。
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〇厚労省保険局医療課・森光敬子課長
 はい。資料「総─1」をご覧いただきたいと思います。
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001_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 次期改定に向けまして「第2ラウンド」が始まりますけれども、それに向けまして現在の状況につきまして、まず整理した資料となっております。

 2コマ目を見ていただきたいと思います。本資料の趣旨といたしまして、「第2ラウンド」の議論を進めるにあたりまして、「まず前回改定の影響の整理が必要」ということで、平成30年度診療報酬改定において新設しました項目や、要件の見直しを実施した項目等につきまして、現時点で得られている情報を整理して本資料を作成したものでございます。
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002_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 資料の内容でございますが、そこにありますように、まず「第1ラウンド」で取り扱った項目を中心といたしまして、平成30年までの社会医療診療行為別調査各年の6月審査分、それから施設基準の届出状況昨年7月1日時点のものを用いて最新の情報に置き換えたものとなっております。

 注(=※)でございますけれども、診療行為別調査につきましては30年の6月の審査分ということですので、改定後2カ月目の5月の診療実績というのがこの資料に反映されているということでございます。

 また、星(=※)の所を見ていただければと思いますが、30年の診療報酬改定の結果検証に係る特別調査、これは昨年、それからまた今年も行なっておりますが、これにつきましては別途、(診療報酬改定)結果検証部会において検証中でございますので、その部分についてはこの中に含まれておりません。そこをご留意いただければと思います。
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003_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 また、3コマ目を見ていただきますと、資料の整理にあたりましては「第2ラウンド」は(年代別に課題を整理した)「第1ラウンド」と異なりまして、従来どおり、外来、入院、在宅、それから横断的事項、個別事項、歯科、調剤というふうに分かれて議論を進めていただきたい、というふうに考えておりますので、資料につきましても、その内容に従って整理をさせていただいております。
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004_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 また、4コマ目を見ていただきますと、資料を見るにあたりまして、右上の所に、「第1ラウンド」で議論に用いた資料につきましては、例えば、そこにありますように「令和元年5月15日 中医協総会資料(改)」という形でですね、前回「第1ラウンド」には平成29年までのデータしかなかったものに足しまして、そこに合わせて付けさせていただいておりますので、資料の中には「第1ラウンド」の時に、「やはり改定後の資料がないとなかなか議論が進まない」といったご意見もございましたので、そこに付けさせていただいておりますので、参考にしていただきたいというふうに思っております。

 そうしますと、資料の説明をさせていただきたいと思います。
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説明 ── 外来医療について

 4コマ目でございます。そこは外来のほうから病院・診療所別の初診料の算定回数の年次推移ということでまとめさせていただいております。

 また、次のページ、5コマ目を見ていただければと思います。これは再診料・外来診療料の算定回数の年次推移ということでございます。ほぼ横ばいという状況でございます

 6コマ目を見ていただきますと、入院外の1日当たりの診療報酬点数の推移というところでございます。診療所では横ばい。また、病院では増加傾向にあるというのが見えるかと思います。

 7コマ目を見ていただければと思います。7コマ目からは、外来等における包括診療料等の状況でございまして、地域包括診療加算でございますが、これにつきましては届出医療機関数および算定回数は、おおむね横ばいとなっております。

 また、8コマ目でございますが、地域包括診療料でございます。これにつきましては若干、増加傾向でありまして、診療所における算定回数も増加傾向という状況でございます。

 続きまして、小児かかりつけ診療料でございます。これにつきましては、おおむね届出医療機関数、算定回数が増加傾向にあるというところが見えるかと思います。

 また、10コマ目。これは前回改定で導入されました機能強化加算の算定状況でございます。下の所の欄を見ていただきますと、届出医療機関数、病院は1,048、診療所は1万1,793。算定回数が178万回ということが示されておるところでございます。

 11コマ目。これは認知症地域包括診療料でございますが、算定回数等につきましては、おおむね横ばいというふうになっております。

 それから12コマ目。ニコチン依存症管理料でございますが、これにつきましても平成29年度に続きまして少し減少傾向となっているということが分かるかと思います。

 続きまして、13コマ目。生活習慣病管理料の算定の状況でございますけれども、生活習慣病管理料の算定状況につきましては29年度と同様にですね、平成30年度も減少傾向になっているということが分かるかと思います。

 14コマ目。これは認知症サポート指導料ですとか、認知症療養指導料2、3という形で、認知症等の患者の支援体制の確保に協力するサポート医、これを活用して診療していくということでございますけれども、算定回数はその下段の所にありますとおり、サポート指導料は450回、認知症療養指導料2が244回、3については 2,738回という算定回数になっております。
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質疑 ── 入院医療について

015_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 続きまして、入院のほうに移ります。入院のほうでございますが、16コマ目。年齢別の入院・入院外1件当たりの受診日数、年齢階級別の推移を付けてございます。

 前回「第1ラウンド」でも出したものでございますけれども、入院・入院外ともに1件当たりの日数は減少傾向にございまして、1件当たりの受診日数というのは10年前と比較いたしますと、45歳以上では減少幅が非常に大きくなっていると、この傾向が(平成)30年も続いているということが分かるかと思います。

 次に17コマ目でございますが、入院料別の届出施設数の推移でございます。ここからは入院料別に記されておりまして、これは施設数の推移でございます。一般病棟入院基本料総数としては届出医療機関は緩やかに減少傾向でございますが、例えば、急性期一般(入院料)1につきましては、ほぼ横ばいという状況でございます。

 療養病棟については減少傾向ですが、療養病棟入院料1については増加傾向にあるというのが見えるかと思います。

 続きまして18コマ目。これは地域包括ケア病棟入院料等の届出でございますが、地域包括ケア病棟入院料につきましては増加傾向。同様に、回復期リハビリテーション病棟入院料の届出施設数についても増加傾向にあるのが分かるかと思います。
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018_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 続きまして19コマ目。これは届出病床数の推移でございまして、先ほどのは施設数でございました。これにつきましても先ほどと同様の傾向でございまして、一般病棟入院基本料につきましては病床数としても減少傾向。総数としては減少傾向となっております。療養病棟については1が増加傾向になっております。

 20コマ目につきましても、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟入院料についても施設数と同様に増加傾向にあるというのが分かるかと思います。

 続きまして21コマ目。新生児集中治療室の病床数の推移でございまして、届出施設数、病床数はいずれも増加傾向となっておるということでございます。

 22コマ目が小児の集中治療室の推移でございます。PICUにつきましては、病床数は増加傾向にあります。ただ、集中治療に関する点数の算定回数というのは近年ほぼ横ばいとなっているというのが見えるかと思います。

 (中略)

質疑 ── 在宅・訪問看護について

027_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 続きまして在宅・訪問看護の分でございます。28コマ目を見ていただきますと、在宅療養支援診療所については増加傾向でございましたが、近年、ほぼ横ばいという状況が続いております。それから、在宅療養支援病院については増加傾向にあるというのが見えております。

 続きまして33コマ目。在宅ターミナルケア加算の算定回数でございますが、イとロという形で分けておりますけれども、それぞれ、(イの)算定回数が185件、ロが32件というふうになっております。

 34コマ目が機能強化型訪問看護ステーションの届出状況ということで、前回の改定で機能強化型の3というものが創設されました。今の届出の状況でございますが、今、58カ所が届けられているという状況でございます。

 次に35コマ目。これは退院前後の医療機関からの訪問指導の状況ということで、退院直後の在宅療養支援に関する評価ということで、退院後訪問指導料を新設したというところでございます。それから訪問看護同行加算というのも設定したということでございます。

 それから36コマ目でございます。質の高い訪問看護の確保の一環ということで、療養情報提供加算、それから訪問看護情報提供療養費3というのを創設をしておりまして、いま現在の算定回数でございますけれども、422回の算定回数。(422回)算定されているという状況でございます。

 続きまして、37コマ目。この「喀痰吸引等を実施する介護職員等との連携の推進」ということで、そこに、新設しました点数でございますけれども、(看護・介護職員連携強化加算の)算定回数が現在22回ということになってございます。
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037_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会
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038_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 それから38コマ目は、複数名による訪問看護の見直しというのを行っています。算定回数につきましては、そこにありますとおり、(複数名訪問看護加算の)算定回数イ・ロ・ハ・ニという所を見ていただけますと、ご覧のとおりの数字となっているというところでございます。

 (中略)

説明 ── 横断的事項について

040_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 続きまして、横断的事項についてでございます。
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041_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 医療従事者の勤務環境改善ということでですね、総合入院体制加算の施設基準の見直しというのを行なっておりまして、対象を医師のみから医療従事者全体に拡大したという内容を行なったところでございまして、今、29年、30年を見ていただきますと微増ということで、届出医療機関が微増となっているという状況でございます。
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042_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 42コマ目は医師事務作業補助体制加算でございまして、これにつきましても評価を拡充をさせていただきましたけれども、届出医療機関数が少し増加傾向にあると。また、1のほうがですね、加算の1のほうが増えているということが分かるかと思います。

 (中略)

046_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 それから46コマ目でございますけれども、これは薬剤師の病棟業務の配置ということでございまして、病棟薬剤業務実施加算の届出医療機関数、(同加算は)1、2とありますが、それぞれ増加傾向にあるというのが報告されております。

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説明 ── 個別項目について

 それから、55コマ目からは「個別項目」というふうになります。
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055_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

(中略)

064_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 それから64コマ目がオンライン診療料の新設でございまして、申請された件数でございますが、算定回数が65回という状況でございます。
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064_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

(中略)

077_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 それから77コマ目でございますが、これは「がん患者の治療と仕事の両立に向けた支援の充実」というところで、新設された項目でございますが、算定回数が10回ということで報告を受けているところでございます(苦笑)。
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078_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 78コマ目でございますが、抗菌薬の適正使用支援加算の新設ということで、新たに抗菌薬適正使用支援加算100点というのを設けたものでございます。現在の届出医療機関数は1,057、算定回数5万6千件というところで報告を受けているところでございます。
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078_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 それから79コマ目が小児の抗菌薬適正使用加算ということで、文書等により丁寧に説明を行って、お薬を使用しないというような部分でございますけれども、算定回数については24万回という報告を頂いております。
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079_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 それから80コマ目でございますが、医療安全対策加算における医療安全対策地域連携加算を新設しておりまして、総合評価等の要件を新たに加えたりした、というところがございますけれども、下段にありますとおりの算定回数になっているということでございます。

 それから、81コマ目でございます。平成28年度においてのCT・MRI共同利用の状況ということでございまして、CT・MRIの算定回数は毎年増加傾向でございますが、あわせて共同利用についても一定程度増加してきているというのが見えるかと思います。

(中略)

説明 ── 調剤について

098_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 続きまして、調剤でございます。

 (中略)

105_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 続きまして、105コマ目でございます。残薬解消に向けた薬局の取組の評価ということでございます。服薬管理が困難な患者への服薬管理の活用、支援と、それから患者の残薬の整理については「外来服薬支援料」として評価をしているところでございまして、

 その算定回数については106コマ目でございまして、平成30年度、(前年度に比べて約2千件)算定回数が増えているというのが見えるかと思います。

 107ページは、続いてですね、多剤投薬の患者の減薬の評価ということでございまして、入院患者または外来患者が服用している6種類以上の内服薬を2種類以上減薬した場合の評価ということでございまして、(薬剤総合評価調整加算、薬剤総合評価調整管理料、同連携管理加算)それぞれ、いずれも前年度に比べて増加をしているというのが分かるかと思います。

 次に108は、薬局における減薬の取組の評価でございまして、薬局の薬剤師が処方医に提案を行い、実際に減薬をした場合の評価ということでございまして、(服薬薬剤調整支援料の)算定回数は189回でございます。

 (中略)

 最後でございますが、111コマ目でございます。これは処方日数が30日を超える処方の状況ということでございまして、31日以上の調剤料の算定回数は増加傾向にございまして、また調剤全体に占める31日以上の処方の割合というのは増加傾向にあるということが分かるかと思います。

 資料につきましては、説明は以上でございます。

質疑 ── 追加資料の要望など

診療側委員_20190911中医協総会

〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 はいありがとうございました。ただいまの説明につきまして、何かご質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。では松本委員、お願いいたします。
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〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 いくつか分析の依頼をお願いしたいと思います。まず18ページ目でございますけれども。
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018_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 地域包括ケア病棟入院料、管理料それから回復期リハビリテーション病棟入院料の所ですが、地域包括ケア病棟につきましては、やはり大規模の急性期の病院と、それから特にですね、その中でも公立・公的医療機関等が経営的な視点のみから参入していることが懸念されると思います。従って、ここのところで病床機能別( → 病床規模別?)、開設者別のですね、分析依頼をお願いしたいと思います。

 それから42ページ目ですけれども、42ページ目の医師事務作業補助体制加算の所ですけれども。
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042_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 ここもですね、できれば病院規模別とかでですね、どういう所が届出されているのか、あるいは届出されていないのかということをまた教えていただければというふうに思います。

 それから46ページ目ですが、薬剤師の病棟業務の評価ですが。
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046_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 ここをですね、積み上げグラフにしていただくと、届出医療機関数が増加しているということが分かります。病棟でですね、薬剤師さんが非常に活躍しているというところをもうちょっと見えやすくするような形でおを示しいただければというふうに思います。

 それから81ページ目ですが、28年度診療報酬改定後のCT・MRI共同利用の状況ですが、これは外来医療計画に【ハネル】ので、共同利用の定義というのを確認していただきたいというふうに思います。

 一般的に使われている共同利用という言葉なのか、あるいは診療報酬上の点数の所でのことなのか、まあ、これは実態というのはどちらかと言うと、ここに示されているのは紹介という形だろうと思いますので、共同利用を進めるべきだという議論にはならないようにしていただきたいというふうに思います。以上です。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 はい、ありがとうございました。ほか、いかがでございましょう。では間宮委員、お願いいたします。
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〇間宮清委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)
 はい、ありがとうございます。77コマ目のですね、がん患者の治療と仕事の両立に向けた支援の充実。これ、新しくできたものだと思いますけれども、これ、届出の数、施設数から考えると、なんか、やたら少ないなというのがあって、これ、まあ、新しいからっていうのもあるのかもしれませんけれども、ニーズがないのか、何かハードルが高いのか、その辺の分析をお願いしたいと思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では今村委員、お願いいたします。
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〇今村聡委員(日本医師会副会長)
 はい、1点だけお願いしたいのがありまして、36ページの所の「質の高い訪問看護」の所で、療養情報提供加算のほうの算定回数はあるんですけど、訪問看護の情報提供療養費のほうのデータも一緒に合わせて、次回お示しをしていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では吉森委員、お願いいたします。
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〇吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)
 64ページのオンライン診療料等の新設、これについてですけれども、届出医療機関がこれを足すと970あって算定回数が非常に、診療料ですと65回と単純に少ないということだけでも、これが要件緩和して、というようなことではないと思うんですけれども、なぜこう少ないのか。

 この辺の理由、実態を把握して検証する必要があると思いますので、どういうような状況でどうしてるのかっていうことを踏み込んで検証できるような、というか、議論できるような実態把握がもしできればお願いしたいというふうに思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では、平川委員、お願いいたします。
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〇平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)
 28枚目のスライドの在宅療養支援診療所と在宅療養支援病院の所であります。病院のほうは増えつつあるんですが、診療所は頭打ちということでありまして、地域包括ケアに資するという観点では少し危機感を持って対応していく必要があるかなと思いましたが。

 この、診療所がなかなか頭打ちになっているというふうなことと、病院が増えつつあるというふうな要因について、さらに分析をお願いしたいと思います。以上です。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では猪口委員、お願いいたします。
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〇猪口雄二委員(全日本病院協会会長)
 先ほどちょっとお話が出ました46ページの薬剤師の病棟業務の話なんですが、これ2名と言う規定があってですね、これが中小規模の病院ではどのような算定になっているか、この辺もちょっと教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では、お願いいたします。
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〇有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)
 薬剤師の部分なんですが、この中でですね、やはり薬局の機能としては、やはり在宅、あるいは介護の居宅等に行っているという実態もありまして、どれくらい進んでいるかというところが分かるような資料を追加していただければと思います。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかかがでございましょう。では中村委員。
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〇中村洋委員(慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)
 これもちょっと調べていただきたいなと思いますけれども、78ページ、79ページに抗菌のほうの関係もいろいろ加算が算定されていると思うんですけれども。
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078_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会
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079_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 それによってどれくらいですね、抗菌薬の使用がこう、変わってきているのか、あるいは変わってきていないんであれば、なぜ変わってきていないのかというところも、ちょっと調べていただければなあと思います。

 あとさっき、ちょっとご質問がありましたけれども、オンラインでやっぱりこう、算定回数が非常に少ないんです。64ページでしょうか。
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064_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 どういった病気、まあちょっと、どこまで調べられるか分かりませんけれども、どういった病気とか、どういったことで、こういったオンライン診療が使われているのかというところは少し分かれば、ちょっといい情報になるのかなあ、というふうに思っています。以上です。
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。では幸野委員、お願いいたします。

質疑 ── 支払側委員の意見陳述

幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)_20190911中医協総会

〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 すいません、皆さん内容に触れられないんですけれど。(委員ら、笑い)

 今日、これ、資料を出していただいたのは「第2ラウンド」の議論を進めるにあたって、「こういったことを検討したらいいんじゃないか」とかいうふうな趣旨だと思うんですが、その辺について、今日、触れていいんですか?
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 あの……、触れて悪いっていうことはないと思いますけど。

 (会場、笑い)

 ただ、別の形で絶対にまた扱いますので、今回はとりあえず、なんて言うかな、「平成30年度の現状を示した」ということではありますけれども、問題点等々ございましたら、時間の許す限りで、ご指摘いただければ。
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〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 すいません、ちょっと「第2ラウンド」の議論を進めるにあたって課題になりそうなことを、ちょっとコメントしたいので、残った時間の中でやりますので、ちょっと触れさせていただきます。

 これ、30年の5月の診療分ということで改定直後なんで、これをもってどうこう決めつけるというのはちょっと時期尚早だと思うんで、検証部会等々を踏まえて本格的な議論をしたいと思いますけど。ちょっとそれぞれについて触れさせていただきます。

 まず、外来については4ページに示されているとおり、初診料の病院に占める割合が16%前後で、あまり横ばいになっているというところで、外来の機能分化というのが少し進んでないんじゃないかというふうなことを感じます。

 それから、10ページの機能強化加算の部分なんですが、これは逆に、一気に算定回数が付いてるというふうな所なんですが、これも検証部会をとおして、どういった状況になっているのかというのを調べる必要があると思うんですけど、初診料の算定回数の約1割をこの機能強化加算が付いてるというところ。まあ、地域包括診療加算なんかは1.7%と比べると非常に多い算定率となっているというふうなところがあります。

 でまあ、これは算定要件を満たしていれば一律に患者に加算できる算定要件が要因になっているということで、検証部会の中でこれが本当にかかりつけ医機能を果たしているのかということについては、検証部会のデータをもって、さらに議論していただきたいと思います。

 それから、12ページのニコチン依存(症)管理料なんですが、これも総括としては喫煙率が減ってるからというふうなこともあるんですが、それプラス、平成28年度では対象患者も拡大されたという改定も行ったんですが、この平均継続回数がどうなっているのか。脱落者が出てるんじゃないかという懸念もありますので、その辺のところのデータも示していただきたいというふうに思います。外来については以上です。

 あと入院については、やはり17ページにありますとおり、7対1、10対1の急性期病棟が改定後も大きな変化がないというのは、入院医療を検討していく中で最大の課題であるというふうに思ってます。

 それから、33ページの在宅ターミナルケア加算というのも算定がほとんど少ないというとこがあるんですが、まあこれ、人生の最終段階のガイドラインという要件が追加されたんですけど、こういったものが影響しているのかどうか。これ、前年度との対比とかも見て、検討していただきたいというふうに思います。

 それから、医療と介護の連携ということが、これから地域包括ケアシステムを構築していく中で必要なんですが、37ページに示されているように看護・介護職員連携(強化)加算がほとんど算定されてないと。

037_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 まあ、出だしということでしょうがないかもしれないんですが、こういったところは今後も注視していく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 それから38ページの複数名の訪問看護の所なんですが、これは看護補助者と同行する「複数名訪問看護加算」については、前回の議論で1カ月で算定回数が400回を超えるというふうな頻回訪問を是正するという形で、頻回訪問の点数が包括化されたわけなんですけど、これによって本当にこの効果があったのかどうかということで、改定前後のデータをぜひお示しいただきたいというふうに思います。在宅については以上です。
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038_横断的事項について(その1)_20190911中医協総会

 個別項目につきましては、先ほどから出ております、オンライン診療が普及してない要因について検証していく必要があると思います。

 それから、77ページのがんと仕事の両立。これは社会的な課題になっておって、両立をさせるための環境を整えていくというのが非常に重要な課題になってるんですが、改定直後ということもあって算定回数がほとんどないということについては、今後も追っていく必要があるというふうに思います。

 それから81ページのCT・MRI(共同利用の状況)なんですが、これ共同利用が増加しているっていうふうに評価されてるんですが、CT・MRIの算定回数を見ると、共同利用に比べてまだまだ非共同利用のほうが圧倒的に多いというデータが示されておりますんで、2020年度の次期改定に向けては、さらに共同利用を促進するためのメリハリある診療報酬上の対応が必要なんじゃないかというふうに思います。

 それから、歯科については特にコメントはございません。

 調剤についてなんですが、106ページにあります「重複投薬・相互作用等防止加算」それから「外来服薬支援料」が増加傾向にあるというのは見て取れるんですが、これ、絶対数を見てみると少ないんじゃないかと。

 5万9千ある薬局のうち……、を考えると、確かに右肩上がりで増えてるんですけど、この薬局するに比べると、薬局の本来業務であります、こういった減薬等の取り組みについての本来機能の算定が少ないので、これも右肩上がりでよしと評価するんではなくて、絶対数を増やすということの取り組みが必要であるというふうに思います。

 それから、108ページの服用薬剤調整支援料、これ、アウトカムが求められるので、確かに難しいとは思うんですが、これも薬局の数に比べては187回というのは本当に少なすぎて、どれだけの薬局がこういう取り組みをしてるのかっていうのがちょっと疑われるところで、これも引き続き推進していく策を考えていく必要があると思います。

 それから、最後の111ページの長期処方というとこなんですが、調剤全体に占める「31日以上」の処方の割合が増加傾向にある一方、長期処方に対応するため平成28年度に導入した分割調剤というのが全く普及されてないという状況もあるということで、長期処方に伴う残薬の解消等、医薬品の適正な使用を推進するためには患者や薬局が使いやすい診療報酬上の新たな対応が、新たな仕組みが求められるんじゃないかということをコメントさせていただきます。

 以上、今時点での分析における「第2ラウンド」の議論の課題というのを少しコメントさせていただきました。

 (発言を終える前に、松本吉郎委員が素早く挙手)

 すいません長時間で。

質疑 ── 日本医師会委員の反論

日本医師会委員_20190911中医協総会

〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 では松本委員、お願いいたします。
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〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 はい、時間(の関係)もありますので、1点だけ、今、幸野委員の発言について反論させていただきます。7ページ目の地域包括診療加算と、10ページ目の機能強化加算について発言がありましたけど。

 まあ、機能強化加算が10%算定されているというのは、この届出医療機関が10%なので、そこの医療機関が初診料に関して加算しているのは、これは10%、届出があれば10%。当たり前の数字なんですね。

 それから、地域包括診療加算の1点数パーセントということですけれども、これはもう全くその、算定の仕方が、対象が違うので、この2つは比較しても全くナンセンスなんですよ。それは、幸野委員は前からそれ、分かってらっしゃらないので、そこのところは少し、ちょっと、ご理解を賜りたいなというふうに思います。

 地域包括診療加算が横ばいとなっていますけど、これを見ますと30年は少し増加しています。これは、別に算定する気がないから伸びが鈍いんじゃなくて、要件が厳しいからだというふうに思いますし。

 機能強化加算はですね、かかりつけ医の機能の一部しか、逆に評価されていないことが課題だと思いますので、かかりつけ医機能の強化があってこそ、幸野委員がおっしゃったような「病院と診療所の外来の機能分化」ができるので、ここはしっかりと進めていきたいというふうに思っております。以上です。
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。幸野委員、どうぞ。
.
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 いや、まあ、あの、本格的な議論をするつもりはありませんが、確かに、取り方の難しさは私は分かってます。地域包括診療加算は患者の同意が必要ですので、それなりに難しくて、機能強化加算は自動的に取れる点数ですので付けやすいと。

 で、果たしてそれが、同じようにかかりつけ医機能を増やすために評価されていいのかっていうところを今後議論しなきゃいけないということで言わせていただきました。
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 どうぞ。
.
〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 それをおっしゃるならですね、最初にまあ、幸野さんがおっしゃったから私も発言したわけですし。

 この2つを比較するっていうのは、もよもと土台が違うんですよ。機能強化加算というのは施設に対する要件で取れるものですから。

 地域包括診療加算は、それに付随してですね、患者さんに対する容態を見て取れる加算なので、全くこれを比べてみるということ自体が違うっていうことを言ってるわけです。
.
〇幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)
 もっと、ちょっと分析してみたんですけど、この機能強化加算の算定要件を満たしている理由っていうのが、この施設から推定すると、在総管(在宅時医学総合管理料)とか施設総管(施設入居時等医学総合管理料)を取っている所が最も多いんじゃないかというふうに、算定できてて、

 地域包括診療料とか小児のかかりつけというものよりも、在総管、施設総管で算定要件を満たしているっていう所が多いということが想定されるんで、果たしてそういうのが「かかりつけ医機能」として正しいのかな、ということで言わせていただきました。
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〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 まあ、きりがないかもしれませんが、
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〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 いや、あの、
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〇松本吉郎委員(日本医師会常任理事)
 ちょっとだけ。このかかりつけ医機能の中にはですね、やはり在宅の患者さんとか、介護保険に対するちゃんとした対応をするとかっていうことが入っているので、それは当たり前のことだというふうに思います。
.
〇田辺国昭会長(東大大学院法学政治学研究科教授)
 ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。では、ほかにご質問等もいないようですので、本件に関わる質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 本日の議論を踏まえまして、引き続き次回以降、さらに議論を深めてまいりたいと存じます。本日の議題は以上でございますけれども、事務局から「その他」(の議題)として、(主な施設基準の届出状況等の)資料が提出されております。事務局より、ご説明のほうをお願いいたします。では、保険医療企画調査室長、よろしくお願いいたします。

 (後略)

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