7月10日投開票の参院選で、自民党が大勝した。医療関係職能団体が全国比例で擁立した主だった候補も順当に当選を決めた。サポーター(後援会)名簿集めに出遅れた日本医師連盟の組織内候補、自見英子氏(元厚労大臣政務官)は、なぜ勝つことができたのか。【本根優】
日医会長に就任したばかりの松本吉郎氏(日医連常任執行委員)も13日の記者会見で「安堵と言ったらあれだが……」と思わず本音を漏らした。自見氏が、自民党・比例名簿の得票順で実質6位(政党が決める特定枠の2人を含め8位)での当選となったことについて「組織の力を示すことができた」と胸を張った。
自見氏の順位は医療関係団体候補のなかでトップ。日本薬剤師連盟(神谷政幸氏)、日本看護連盟(友納理緒氏)など他団体が、6年前の16年参院選より票を減らしたにもかかわらず、自見氏は21万3369票を獲得し、16年の21万562票から約2800票の上積みを実現した。
松本氏はサポーター名簿の集まりが当初低調だったものの、日医連が徹底して全国に働き掛けた結果、各都道府県の医師連盟、郡市区医師連盟の協力で徐々に浸透が図れたと分析した。
実際の集票状況を見ると、自見氏や横倉義武元日医会長の地元、福岡をはじめ、九州8県で全体の票の約3割を集めている。
ただ、こんな話をする都道府県医師会幹部もいる。
「SNSを駆使した戦術で、組織選挙並みの票(19年は約54万票で、自民党名簿順4位)を集めてきた山田太郎(参院議員)さんと、子ども家庭庁の関係で、連携してきたのが幸いし、SNSを通じて自見氏に票が上乗せされた」
いわば空中戦の成果で、必ずしも医師会の組織力が強固になっているわけではないというのだ。
どちらにせよ、日医・松本執行部とすれば、発足間もない時期に実施された参院選で十分な結果を得て、順調な船出にはなったことになる。