「医療保険回りは長島(公之)さんが中心だな」
松本吉郎氏(埼玉)が新会長に就いた日本医師会の新執行部は6月28日に職務分担を決め、翌29日に発表した。一覧を見た、ある厚生労働省幹部は冒頭のように理解した。【本根優】
日医が輩出する中央社会保険医療協議会委員は現在、城守国斗氏(京都)、長島公之氏(栃木)、江澤和彦氏(岡山)の3人だが、松本会長は29日の記者会見で、8~9月に「一部交代させる」考えを示した。
日医関係者が明かす。
「副会長が入る方向で調整することになる」
3人いる副会長のうち、猪口雄二氏(全日本病院協会会長、東京)は、すでに病院団体を代表する形で中医協委員を経験積み。つまり、新たに副会長となった茂松茂人氏(大阪)、角田徹氏(東京)のどちらかが、中医協委員に就くということだ。そのうえで、日医の職務分担で医療保険担当となった長島氏が、24年度診療報酬改定に向け、日医の「切り込み隊長」となる。
18年度改定は松本純一氏(三重)、20年度改定は松本吉郎氏、22年度改定は城守氏とバトンをつないできた中で、次は長島氏の出番ということだ。
松本執行部誕生を後押しした関東の医師会幹部は、10人いる常任理事のうち、「特に重責を担うのは5人だ」と指摘する。
筆頭である釜萢氏は全体を仕切る総務、さらに新型コロナウイルスをはじめとする感染症危機管理対策、予防接種を担う。松本会長が掲げる組織改革も担う。
城守氏は医師の働き方や日医総研がメイン。長島氏は医療保険に加え、情報分野も引き続き担当する。江澤氏は介護保険・福祉(認知症を含む)が主要な担当分野だ。
そして今回の会長交代で、松本氏が務めていた医療機関経営の担当を任されたのが宮川氏。宮川氏は以前から、税制や薬事を抱えており、今回、医療機関経営や医療機器が追加された。
松本氏は常任理事から会長に就任。そして茂松氏、角田氏は新任のため「副会長以上を経験済みなのは、“外様”の猪口氏のみ」という異例の体制だが、果たしてどこまで機能するか。