厚生労働省は9月14日、局長級以上の人事を当日付で発令したと発表した。樽見英樹事務次官は「留任」という発表に間違いはないが、1ヵ月以内に退く見通しという意味ではミスリードと言える。【本根優】
「タイミングをずらしているだけだ」
官邸関係者によれば、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言延長で、次官人事も後ろ倒しになっている。樽見氏は1ヵ月以内に退任し、代わって吉田学内閣官房新型コロナ対策室長が事務次官に昇格することが内定しているという。
これで樽見氏、吉田氏と2代続けて、コロナ室長→事務次官という人事が行われることになる。
旧厚生省出身者の事務次官就任は5代連続。旧労働省出身の村木厚子氏以降、二川一男氏、蒲原基道氏、鈴木俊彦氏、樽見氏そして吉田氏とバトンが受け継がれる。
そして、吉田氏の後任のコロナ室長には医系の迫井正深医政局長が就く見通しだ。その準備のため、すでに内閣官房に異動し、コロナ室次長を務めている。
今後注目されるのは、1年またはそれ以上先に実施される次の事務次官人事だ。
ここ2代の事務次官待機ポストであるコロナ室長に医系の迫井氏が起用されることに、事務系のキャリアたちは身構える。国会関係者は「“迫井次官”の可能性が出てきた」と喧伝する。
一方で、それを否定する噂として「迫井氏は次官級の医務技監のほうに回るはず」との声も聞かれる。
旧厚生省出身者で、次の事務次官候補の本命と言えば、保険局長に留任となった濵谷浩樹氏だ。
早ければ1年以内に、迫井氏、濵谷氏が事務次官の座を争っていることになるのだろうか。
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