「鴨下さんもまでもか」
8月に入り、自民党の医系議員で最もキャリアの長い鴨下一郎氏(元環境相)が、次期衆院選には出馬せず、今期で政界を引退することを表明した。医療・医薬品業界の関係者の間では、新型コロナウイルス禍での大物医師出身議員の引退にショックの声が聞かれる。【本根優】
鴨下氏は、社会保障政策を中長期的な視点で検討する党の社会保障制度調査会長や、新型コロナに関する「ワクチン対策プロジェクトチーム(PT)」の座長を務めてきた。
3月に新設された社会保障制度調査会の下部組織「創薬力の強化育成に関するPT」も、鴨下氏の働き掛けで設置が決まった。
鴨下氏は元々は心療内科医。93年の衆院選で日本新党から出馬し、初当選。その後、自民党に移り、環境相や党国会対策委員長などを歴任した。ただ、国対委員長を「体調不良」で13年に辞任したように、以後も体調不安を抱えながら、議員活動を続けてきたが、このタイミングで引退を正式に決断したことになる。
鴨下氏周辺によると「党の東京都連会長として先の都議選を指揮し終えたことが大きい」という。
鴨下氏は石破茂元党幹事長の側近として知られ、政治活動を共にしてきた。その石破氏には「1年ほど前から、身を引く話はしていた」(鴨下氏周辺)という。
鴨下氏は、医療関係の党の要職を数多く務めてきたため、引退により、多くのポストに穴が開く。
自民党の医師出身議員では冨岡勉氏も今期限りで引退。衆院で残るのは今枝宗一郎氏、三ッ林裕巳氏、國光文乃氏、新谷正義氏、大隈和英氏、安藤高夫氏あたり。参院では羽生田俊氏、自見英子氏、古川俊治氏といった面々がいる。今後、党内で「ポスト鴨下」を誰が担うかという医系議員同士の競争も激しくなることが予想される。
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