「あり得ない!」
「何が起きたのか!?」
日本医師会の内外で、こんな声が飛び交う事態が起こった。松原謙二副会長(大阪府医師会出身)が4月下旬、地元の医師会役員に対し、中川俊男会長を強く批判する文書を送ったのだ。【本根優】
文書は松原氏が「大阪府地区医師会役員」に宛てたもの。日医の現役副会長とは思えない強い表現で「中川批判」を繰り広げた。
22年度診療報酬のプラス改定(+0.43%)を得るのと引き換えに、リフィル処方箋の導入を許したという見方に基づく批判だ。
「わずかな見かけだけのプラス改定のために禁じ手を用いるなど言語道断。リフィル処方を絶対に廃止しなければならない」
リフィル処方については「診察を省略して患者さんの希望と薬剤師の判断に任せるなど、患者さんを守る医師としての処方権を放棄したも同然」と主張した。
リフィル処方箋の導入経緯に関しては「新聞報道で初めて知り、驚愕した」とし、自身が中央社会保険医療協議会委員を務めていた時代は「診療報酬改定ごとに何度も拒否した項目だ」と記した。
松原氏はリフィルにとどまらず、第2弾として、オンライン診療をめぐっても中川氏に批判的な発信を行った。一連の発信は、6月25日に実施予定の日医役員選挙(会長、副会長、常任理事など)を睨んだ動きとの受け止めが広がる。
突然の「謀反」に、中川氏も黙ってはいない。4月27日の記者会見で質問を受けて、コメントを残した。
「日医の考えと一致していない。その違いについては残念だ」
「日医に同意を求めて(リフィル処方箋が)導入された事実はない。政府が決めたことだ」
松原氏は記者会見には毎回出席し、中川氏の隣の席に座ってきた。この日も当初は出席予定だったが、急遽欠席した。
関東の医師会幹部は「(松原氏は)確信犯。次期、日医執行部に“残れない”ことがわかっての行動だろう」と見ている。