6月22日の日本医師会会長選挙を前に、劣勢が伝えられる前副会長の松原謙二氏(大阪)が、投票権のある日医代議員380人と予備代議員にハガキで、最後の訴えを行った。 【本根優】
松原氏は今回の選挙について「一人一人の国民を大切にする医療を守るための重要な選挙」と位置付けた。「財務省は財政至上主義、厚生労働省は医療管理のために今回の(24年度)診療報酬改定を行ったが、一人一人の患者さんに合わせた医療を守れるのは医師会だけ」と強調した。
さらに松原氏は「今回の改定は一部に過度な負担をかけ、病院、診療所、各診療科を分断する偏った改定」と指摘。その上で「医療現場を理解した、偏りのない改定が必要。あきらめず戦う日医に作り変えないといけない」と訴えた。
そして「各地区の自民党の議員の方に、医療現場は怒っていることを伝えるため、今回の選挙で、なるべく多くの代議員の先生方のお力添えを必要とする」と持論を展開した。
選挙は、現職で2期目を目指す松本吉郎氏(埼玉)と松原謙二氏(大阪)の一騎打ちという構図。22年も両者の対決で、票数は松本氏の310票に対し、松原氏は64票にとどまった。今回は全国8ブロックすべてが松本氏を推しており、圧倒的優位に立つ。
対する松原氏は、ハガキ以外にも、自身の主張を文書で発信して支持を得ようと試みてきた。松原氏は今回、公約に「国民皆保険制度を守る」「特定疾患療養管理料の対象疾患を元に戻す」「リフィル処方箋廃止」「薬剤不足解消」「かかりつけ医の制度化に断固反対」の5つを掲げた。
このうち「特定疾患療養管理料」を重視。24年度改定では、同管理料の対象疾患から「糖尿病、高血圧、脂質異常症」の3疾患が除外されたが、松原氏は「次期日医会長に戦う意志があれば、必ず戻すことができる」とアピールする。
加えて松原氏は、同管理料は「出来高制度の要。算定できなくなると、簡単に完全包括制に移行させられていく。次々と包括化され、最終的には(財務省の)家庭医構想に基づく『包括制かかりつけ医登録制度』になってしまう」と懸念を示す。
松本陣営の幹部は、同管理料で「減収ダメージが大きいと予想される、内科系診療所の票が一定程度は流れるかもしれない」と不安視する。
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