12月17日までにケリがつくと目されていた22年度診療報酬改定率を巡る政府・与党内の調整は、膠着状態のまま、週末を迎えることとなった。【本根優】
診療報酬技術料(本体)に関して、すでに2つのプラス要因が出ている。
菅義偉前首相時代に決めた不妊治療の保険適用(0.3%程度)と、岸田文雄首相肝煎りの看護職員の処遇改善(0.2%程度)だ。これを足して、計0.5%程度の引き上げは織り込み済みということになる。
日本医師会の中川俊男会長は15日の定例会見で、それを踏まえて「0.5%ちょっとで終わるのであれば、改定財源が見当たらなくなる。大幅なプラス改定が必要と思っているし、そう要請している」と述べた。
さらに、岸田文雄首相に直談判する予定があるかと問われると「直接会うかはわからないが、いろいろなかたちでコミュニケーションはとっている。そういう意味では意思疎通は取れている」と語った。
しかし、自民党関係者は首を捻る。
「中川さんは岸田首相と面会が果たせてないばかりか、茂木(敏充)幹事長や、高市(早苗)政調会長とも会えていない」
厚労関係の幹部議員らは、17日夕時点で、改定率をめぐる攻防は「財務省と厚労省の事務レベルではどうにも溝が埋まらない状況」に陥っていると明かす。
「あとは総理の判断になるだろう」との観測が根強い。
状況としては、プラス要因が計0.5%程度ありつつも、財務省は入院医療の見直しで0.2%程度の適正化を図り、トータルで0.3%程度の引き上げまでは容認する姿勢だ。しかし、それでは「看護・不妊」を除くと、実質マイナス改定になってしまう。
厚労省は改定財源確保に向けて、上積みを目指す主張を続けているものの、旗色が悪い。