日本医師会の松本吉郎会長は1月11日の記者会見で、新年の抱負や今年の重要課題について説明した。抽象的な原則論が多かったが、組織強化に関しては力を込めた。これに関しては「2期目、それ以降を見据えている証拠」(北日本の医師会関係者)との見方が出ている。【本根優】
医療界の重要課題として、松本会長は①新型コロナウイルス感染症、②かかりつけ医機能、③医療DX、④医師の働き方改革、⑤診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定を挙げた。
かかりつけ医に関しては22年の議論で「日本の医療の良さを残しつつ、かかりつけ医機能の在り方を検討する方向性が共有されたことは大変良かった」と感想を述べた。トリプル改定に向けては「医療と介護が連携して、すべての世代が安心して暮らせる地域づくりの礎にすべき」との考えを示した。「22年度診療報酬改定が医療現場に与えた影響を検証したうえで、24年度改定を考えることが基本」とも語った。
これらとは別に、会内的な課題については「組織強化」を掲げた。地域医師会との連携をより緊密にして、現場の声を踏まえた政策提言を行うことが狙い。会長就任時に、全国の医師会を訪問し、意見に耳を傾ける目標を立て「半年間で30以上の都道府県を回り、残りの地域の訪問も予定している。それが終われば、さらにもう1回、全国を訪問したい」と意欲を示した。
さらに、松本会長は「増大かつ多様化する会務に当たる有能な人材を広く登用し、適材適所に配置することは会務遂行能力の一段の向上につながる」と、早ければ6月に常任理事「4人増員」を行うと明言した。
前述の北日本の医師会幹部は「これら組織強化は、次の24年の日医会長選への“選挙運動”のようなものだ。今年は2期目に向けた準備の年という位置付けなのだろう」と推察する。