医薬品業界に身を転じた元厚生労働省技官が語る。
「昔から『経済課長をやれば、将来は安泰』と言われていた。退官後の“お世話”を業界がしてくれるという意味だろう」【本根優】
厚労省は12月24日、22年度の組織体制整備で、夏をメドに医政局経済課を「医薬産業振興・医療情報企画課」に変更することなどを発表した。
新たな課は、医薬品を開発する企業支援、サプライチェーンの強靭化、医療情報の利活用推進などを担う。
また、臨床研究・治験の活性化などを担ってきた研究開発振興課は「研究開発政策課」に改める。
新型コロナウイルス感染症へのこれまでの対応を踏まえて、組織強化を図るのが狙いだ。
さらに医政局に「医薬産業振興・医療情報審議官」「参事官(特定医薬品開発支援・医療情報担当)」を設置。「大臣官房企画官(医薬産業振興・医療情報担当)」も置く。
経済課は74年の組織改編で、薬務局(現医薬・生活衛生局)経済課となって以来、48年もの間、経済課の名で継続してきたが、来夏でその名前が消えることになる。
経済課長はこれまでに数多く事務次官を輩出し「出世ポスト」とも言われてきた。経済課になる前の企業課長を「医療費亡国論」で知られる吉村仁氏が務めていたほか、汚職事件で罪を問われた岡光序治氏、襲撃事件の被害者となった山口剛彦氏、平成に入ってからも江利川毅氏、阿曽沼慎司氏、二川一男氏が経済課長を経験し、その後、事務方トップの事務次官に就いてきた。
経済課に代わるのは医薬産業振興・医療情報企画課という長い名称。医薬品業界の関係者からは「これまで、シンプルに『経済課』『経済課長』と呼べたのに、新しい課や課長を何と呼べばいいのか」と、戸惑いの声が聞かれる。