新型コロナウイルス禍で、厚生労働省老健局の面々が深夜まで送別会を開き、国民的な批判を浴びた。該当する課を率いていたのが、医療界でも名の通った幹部だっただけに、医療関係者にはより一層、衝撃をもって受け止められた。【本根優】
老人保健課の職員23人は3月24日、都内の居酒屋で送別会を開催。都はコロナ対策で午後9時までの営業時間短縮を飲食店に要請していたが、午後11時まで空いている店をあえて探して予約し、午後7時15分ごろから午後11時50分ごろまで、長々と会食をしていた。
この大宴会の“言い出しっぺ”とされるのが、眞鍋馨老健課長だ。眞鍋氏といえば、15~17年に保険局医療課に在籍。宮嵜雅則医療課長の下、費用対効果評価制度の創設などに力を注いでいた。その後、文部科学省高等教育局医学教育課企画官を経て、老健課長に就任。21年度介護報酬改定を手掛けた矢先に、失態を演じる結果となった。
日本医師会の中川俊男会長は31日の定例会見で「報道を聞いて、率直に耳を疑った。第3波が収束しないなかで、(緊急事態宣言)解除の意味が理解できなかったのかと、極めて遺憾に思う」と語った。
鈴木康裕前医務技監や迫井正深医政局長のように、老健課長を経て、保険局医療課長を務めることで、介護・診療報酬どちらの改定も担い、局長以上に出世するというのが、医系技官の最近の王道。眞鍋氏が今回、味噌を付けたことは、今後の医系人事にも大きな影響を与える可能性がある。
もっとも日医は別のことに肝を冷やしたとの話も聞かれる。
「当初、その送別会に日医役員も出席していたという噂が出ていたが、結果的に事実でなかったようだ」(地方医師会関係者)